34,ちょっと贅沢に作ります!
まず、牛乳に卵、砂糖を加えよく混ぜ合わせる。材料を目にしたクリスティアは、何かを思い出したかのように口を開く。
「なんだか、あなたが前作ってくれたプリンに似ているわね」
確かに材料自体は、プリンと変わらない。……というか、大抵のお菓子はこの三種類の材料があれば作れてしまうのだけど。(※個人的な感想です)
だが、今回は少し思考を変え、前世では、高級ともいえる『あの食材』を使う。
「まぁ、材料自体は、プリンとそう変わらないが。……でも今回は、この食材も使う!!」
一人不敵に笑う俺は、懐から『とある食材』を取り出しだ。ルシアたちはそれを見て驚愕してしまった。……なぜなら俺の手には。
まるで焦げたかのような真っ黒な……木の枝のような食材だった!!
俺が取り出した食材を見たルシアは、そのあまりにも衝撃的な食材に驚いてしまった。
「あ、あの……アレンさん。その、手に持っているものはなんですか? 」
恐る恐る、俺が持っている木の枝の食材(?)について聞いてくる。……まぁ驚くのも無理もない。
「ん、これか? これは、『バニラビーンズ』と言って東方でしか採れない植物で。乾燥、燻製して作られた食材だ」
俺は、バニラビーンズについて懇切丁寧に説明する……がどうもピンと来ていない様子。……まぁ無理もない。この世界の住人からすれば、植物を使った料理すら珍しいというのに、こんな炭のような食材を見れば、理解不能になるのは当たり前か。
「まぁ、口で説明しても分からないだろうし。とりあえず匂いでも嗅いでみてくれ」
正直、クドクド説明しても理解されないと思った俺は。論よりも証拠という事で、バニラビーンズを一本ルシアへと手渡す。
凄く不安そうな表情で受け取ったルシアは、恐る恐るバニラビーンズの匂いを嗅いでみる……すると。
「はぁ~、な、何ですか。この甘い香りは……ッ!!」
匂いを嗅いだ瞬間、今まで嗅いだことのない甘い匂いが鼻の中を通過した。そのあまりにも甘い匂いに、ただ嗅いだだけのルシアの表情は、まるでスライムかと言わんばかりにとろけた表情になる。
幸せそうな表情をするルシアを見た他のもの達も、我先と言ったようにバニラビーンズの匂いを嗅ぎ、嗅いだほとんどのものがルシアと同様の反応を見せた。
(スライムがいっぱい……)
そんなことを思っていると、匂いを嗅いだクリスティアは、いつも通り堂々とした立ち振る舞いでその場に立っていた……流石は公爵令嬢だなと感心してしまった。
「確かにいい匂いね。でも、本当にこの『ばにらびーんず』?と言うものも食べられるのかしら?」
「食べれるぞ。……まぁ、でも実際に食べるのは外身じゃなく、この中にある物だけどな」
俺は不敵に笑いかけ、バニラビーンズの処理を行う。
まず、包丁の先端でバニラビーンズに切り込みを入れる。切り込みを入れた、少しずつ外の皮を開いていく
中を開いたら、黒い粒々と小さな魚の卵のものが入っている。それを見た他のもの達は一気に恐怖した表情になり、その場から一歩引いてしまった。
(まぁ、初めて見る人からすれば食べていいものか恐怖するだろうな……)
そんなことなどお構いなしで俺は、中の黒い物体を包丁の背など使いほじくり返し、容赦なく液体の中に投入、しっかりと混ぜ合わせる。
その後、液体を鍋に移し替え、沸騰させないくらいまで混ぜながら温める。
この時に、先ほど中身を出したバニラビーンズの外側を香りつけの為に、一緒に鍋に投入。
火にかけるや否な、牛乳とバニラビーンズのほのかで甘い香りが厨病内を充満させる。
ふわぁ~。
その瞬間、その場にいた全員の手が止まる。中にはみっともなく口から涎を出すものまでいた。
「とてもいい匂いね」
そんな中、未だに堂々とした立ち振る舞いで俺に近づいてくるクリスティア。いつも通りのクールな表情で俺に話しかけてくるが、チラッと横を見ると、口角を上に上げどこか少しうれしそうな表情をするクリスティアの姿があった。
「あら、どうしたのかしら、アレン君。私の顔に何か?」
髪を上にまくり上げながら、下から覗いてくるクリスティア。その表情がどこか少しセクシーに見えてしまった俺は、一瞬ドキッとしまい、顔をプイっとクリスティアと逆の方へと振り返った。……そんな甘酸っぱい光景を見ていたルシアは、頬を膨らませ、少し怒った表情を見せていた。
そんなこんなで混ぜていると、沸騰する手前まで温まっていた。俺は、すぐに鍋を火から離し、先ほど中に入れたバニラビーンズの外側取り出した。
「それ、取り出しちゃんですか?」
取り出したことに疑問を持ったルシアは、突然質問してくる。俺は咄嗟に、「これは香りつけの為に入れていただけで。外身事態は食べられないから」と説明。
その後、本来であれば。粗熱が取れるまで待機していないといけないのだが、今回は別の方法をとる事にした。……それは。
ヒュゥゥゥ~。
クリスティアの氷魔法で強制的に冷ましながら混ぜるという手法だ!!
「あ、あなたねぇ~。私の氷魔法をこんな風に使う人なんて、アレン君くらいな者よ」
「褒められたと思っておこう」
そんなやり取りを行いながら俺は、ひたすら鍋を……。
混ぜる……混ぜる……混ぜる……ッ!!
……流石に一人では疲れるので、他の人と交代しながら混ぜていく。ちなみに、俺に協力してくれた者は、アイスを食べれる権利を与えると言ったら、我先と言わんばかりに協力者が増えた。
「ふぅ~。……それじゃあ俺はソースでも作りますか!!」
ようやく手が空いた俺は、アイスが完成するまでの間。アイスの上にかけるソース作りを行った。
そんなこんなで作業をしていると、かき混ぜていた料理人達から「出来た!!」といった報告を受ける。俺は、出来たという鍋に顔を覗かせるそこには……。
しっかりと凝固された、『アイスクリーム』がそこにはあった。
感動をあまり、言葉を失いかけたが、アイスと時間とも勝負。
まずは、出来たアイスをスプーンか何かで皿に移す。……本来なら、アイスクリーム屋とかにある、あの専用の器具が良いのだけど、そんなものはないためスプーンで代用。
皿に盛りつけたら、別口で作っておいたソース……今はブルーベリーが旬のためブルーベリーを使ったソースをアイスにかけたら……完成!!
『バニラアイス ~ブルーベリーソースを添えて~』




