5話
恐らく異世界らしき場所で迷子になった翌日、俺は屋根裏でネズミと共に夜を明かした。
流石に町にいながらの野宿は格差社会の構図を表している様で嫌だったのだ。屋根裏ならギリギリセーフだったから本当に良かった。
≪『言語』の解析が終了しました≫
視界に一文の結果が出た。
よし、これで言葉がわかる。それさえ判ればこっちのものだ。顔がそこそこ良い俺は話術もそこそこ良いのだ。······ふりじゃないよ?
使うには〖術化〗しないといけないけど、どんなのにしよう?
「ん~······」
······うん、決めた。
今回の術化の力は“全ての言語を操れる”だ。
≪【能力】言語理解Lv.1を想像しました≫
うむ、じゃあ町に繰り出すのだ!
□□□
『₠₩<₠₩£₳₠₦﹩₢₢₳₦₠₳£₷₠₲₠₳£₳₣£』
『㏈㎽㏅㏇㎽㏄㏇㎼㏄?』
『㏂㏏㏊㏖㏁㏉㏃!!』
うん、こんなこったろうと思ってたよ。
ちょっと【能力】さん?
言語、理解してないじゃん。どこを理解したの? 理解が抜けてただの言語だ、これは。
「······そう言えばステータスを見てなかったな」
―――――
名前:黒木碧
種族:人種
【能力】
解析﴾隠密・言語﴿
演算Lv.2
術化
隠密Lv.1
言語理解Lv.1
―――――
言語理解 Lv.1···知らない言語の理解を促進させる。
「いや促進させるだけかよ」
こう言う言葉がわかる能力って、お約束として常備されてしかるべきじゃないの?
駄目だ。このままじゃ今日も屋根裏で寝ることになる。
よし、もっとよく考えよう。促進させるってことは、だ。それそのものに触れてさえいれば理解は深まるはず。完全に【能力】まかせだけどそれはいいだろう。······俺が学ぼうとすれば数ヶ月じゃ全然足りない。
そしてしれっと〖演算〗はLv.2になっていたことに気が付く。どこから経験を得ているのか気になるが考察は······また今度でいいや、時間ないし。
今は朝の市場が開催されているみたいで人は多いので触れ合いには事欠かないだろう。さっきからずっと〖隠密〗しているから誰も気付いてくれないけどね!
何処かで話す声に耳を傾けながら、辺りをふらつく。よく見ると······いや、よく見なくても武器を背負った人が沢山いる。どの位かと言うと、どこを見ても最低一人は見える位にはいる。
恐ろしや。
武器を持たない住民が怯えていない理由がわからない。見慣れているからって何時襲いに来るか分からないのに。規制が掛かっていないから、ここでの犯罪率はそう高くないのかな?
武器を背負った人達にビビっていると後ろから騒がしい声が上がっている事に気付いた。
なに、強盗? 悪い奴がいるもんだな。やっちゃいけないことをやるなんて。俺? 何のことかわからない。
気になったので俺を騒がしい方向へと足を進めるとそこにはパレードの様に真ん中を開ける住民達がいた。有名人でもくるのかな?
近寄る為に〖隠密〗を切る。そして見ると真ん中の道を歩いていたのは五人の武器を持った人達。
大槌と盾を持った巨漢の男。
弓を持った耳の長い女。
杖を持った神父らしき男。
杖を持ちローブを来た髪の長い女。
そして妙にキラキラした雰囲気を持つ暗い赤色の鎧を来て腰に剣を持った男。
そいつらが笑顔を振り撒きながら歩いていた。美男美少女だからか、やたらと絵になる姿にちょっとイラッとしたのは仕方のない事。
これ以上いても暇なので町の探索を続けよう。······美少女達にはまた会えたらいいなぁ。




