3話
ガタン、ゴトン。
ガタン、ゴトン。
頭にはドナドナと歌が流れている今日この頃、行間通り只今馬車に揺られております、黒木碧です。
なぜ今こんな状況なのか、さっきまでリアルサバイバルをしていたではないかとお思いのアナタ方の為、回想に入ろうと思います。
~~~~~
「目覚めろ俺の野性、何とかなる方向を思い付くんだ」
自然を感じる姿勢である鷹のポーズを取りながら呟いてみる。
「······駄目か。いけると思ったんだが」
どうやらただの鷹のポーズでは物足りないらしい。
「これは逝くべきか、全裸の鷹!」
文字通り、全裸で鷹のポーズだ。
小学生の頃、やっていたら補導されたのは思い出だ。友人には阿呆だと笑われた。彼は助けてくれなかった。
しかし! 今こそ、解放する時!!
「逝くぞ! 全裸のた≪『隠密』の解析が終了しました≫···うん?」
服に手を掛けた時、視界に解析の終了を報せる文字が出た。
ほぅ、『隠密』とな? ······やるではないか過去の俺。今2番目に必要な【能力】じぁないか! 因みに1番は金が手に入る【能力】だ。当然だろ?
「確か、〖術化〗を使うんだったな」
······どうやって使うんだろう。まぁ、取り敢えずやってみよう。
普通に叫ぶ。
「うむ、では······術化!!」
······
全力で叫ぶ。
「······じゅつかああぁぁ!!」
······
腰辺りに両手を重ねながら叫ぶ。
「じゅぅぅつぅぅぅかあああああ!!」
······
「何が悪いって言うんだよ!?」
何も起きなかった。
ただ恥じを晒しただけである。
「『隠密』だろ? コソコソ隠れるってだけの力に、なんで···なんでこんな恥ずかしい思いしないといけないだ······」
≪【能力】〖隠密Lv1〗を想像しました≫
「······はぁ?」
え、なに、考えるだけ?
考えるだけで〖術化〗出来たの?
······なら、さっきの苦労は? 恥ずかしい思いまでして叫んだ、俺の苦労は?
「······これ以上考えるのは止めよう。本気で発狂しそうだ」
さて、じゃあステータスを見よう。
―――――
名前:黒木碧
種族:人種
Lv.5
【能力】
解析﴾隠密﴿
演算Lv.1
術化
隠密Lv.1
―――――
隠密Lv.1···隠れるのが上手くなる。
······。
ふざけているのかと、馬鹿にしているのかと言いたくなった。
誰に?
この説明文を書いた奴にだよ!!
何これ? いや、ホントなにこれ? 隠れるのが? 上手くなる? もっとマトモな文章書けや! 小学生を相手してるんじゃないぞ!
······はぁ、もういいよ。とにかく町があるなら街道もあるはずだからそこに行こう。もしかしたら誰か助けてくれるかもしれないし········考えておいて何だが期待はしていない。
それと一応、〖隠密〗も使っておこう。効くかどうかは知らないけど。
□□□
思っていたよりも街道は近かった。
歩いて10分もしていない。そんな距離にあった。なんか開放的な気分になったので背を伸ばすとボキボキと音がした。骨、砕けた? と心配になる位鳴った。それだけ緊張していたのだと思う。
「ん~! っと、それじゃあ行くか······ん? あれは···」
再び出発しようした時、町とは逆方向から一台の何かがゆっくりとこちらへ向かってきていたのを見た。
(お、おお! 馬車じゃん!)
パカラパカラとお馬さんは可愛らしい。ぶにゅりと男の御者の脂肪は揺れている。乗り心地は悪そうだ。
しかしここは媚びていこう。明日の自分の為に!
「あっはぁ~ん! おじ様、乗せてぇ~ん♪」
手を振り、内股で走りながら呼び掛けてみる。
パカラパカラ。
完全スルー。
視界に入れすらしない超自然なスルーだった。馬車は俺を追い越していってしまう。
······
「へい、オジキ! 用心棒なんてどうでい!」
筋肉を主張しながらもう一度呼び掛けてみる。
パカラパカラ。
これもスルーだった。
しかしふと思う。
あれ、おかしくね?、と。
そしてジッと荷台見詰めてみる。
~~~~~
以上が〖隠密〗が超有能であることがわかった過程である。
いやね?
嘗めてましたわ〖隠密〗。
凄いなんてモノじゃなかった。ヤバい【能力】だ、これは。
恐らくだけど、隠れるの範囲が途轍もなく広い。気配から匂い、足音に声。なにより姿すら隠しているのだ。ヤバイ。
しかもまだLv.1。
これ以上の成長が約束されている未来のスターなのだ。きっとこれからたくさんお世話になるね。




