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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第六章 幼馴染とはかけがえのないものなり?
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尋問

「さて、と洗いざらい話してもらいましょうか?」


マリさんの部屋に戻り、ソファにアレックスを放り投げながら言い放つ。

しかし、アレックスの反応は無い。


「……狸寝入りはやめなさい。私はそこまで強く打ち込んではいないわよ?」

「……あ、バレてたか」


ケロッとした表情で起き上がる。

マリさんは優しく私を別のソファに降ろす。

私もそろそろ会話位は出来るくらいに回復してきた。


「私もそれは聞きたいところです」

「レミちゃん! 大丈夫なの?」

「まぁ、会話くらいなら」

「少しでも辛かったら言ってね?」

「分かりました。それより、アレックスの話を聞きましょう」

「んー……そうだなぁ、何処から話せばいいものか……」


腕組みをしながら、首をかしげる。

本当に悩んでいるのかすら怪しく思える。


「ならこちらから質問するわ。貴女たちのターゲットは誰?」

「ああ、そんなことか。分かっていると思うけど、レミリアだよ」

「やっぱり私だったんですね。ですが何故?」


答えが分かっても、やはり俄かには信じられない。


「あー……黙秘……は許されないよねぇ、流石に。言いづらいけど、とあるブックマンからの依頼だよ」

「同族から?!」


マリさんが驚いた声を上げる。私に至っては言葉を失う。


「―――人だって、暗殺するのは人だろう?」

「ああ、そういえばそうですね」

「え、そこは納得するのね。でも、何でレミちゃんを?」

「そこは分からないなぁ、なんとなく目障りだったのかもしれないし」

「私が目障り? 殺したいくらいまでに?」

「いやー、半分なのに成績優秀で飛び級。魔族なのに皇国で公務員で勇者の側近。いじめられていた奴なのに今は人生が楽しそう。なのに、なのになのになのに。この『なのに』って便利な言葉で、理由はいくらでも付けられると思うよ?」


呆れたように、ため息をつきながら予測を言うアレックス。

与太話のように話しているが、それが真実のような説得力がある。


「……そういうものですか……」

「とにかく、ボクも以来の目的はそこまで分かっていないんだよねぇ……。まぁ、暗黙のルールっていうのかな?」

「じゃあ、依頼人って誰? 今からとっちめてくるから」


ニッコリと笑ってはいるものの、その声は非常に冷たく感じる。


「おや、後輩思いの先輩だこと。それには及ばないですよ、ご令嬢」

「どういうことですかアレックス? 及ばない、とは」

「あー、それはボクの上司が何とかしてるんじゃないのかな? 多分」

「上司?」

「ボクは公安だ」

「は?」

「え?」


公安って、あの公安!?


「同族をしょっぴきたくてねぇ、泳がす必要があったんだ」

「けど、そこまで分かっていたのなら、別件逮捕だなんだで、捕まえてしまえばいいじゃないですか? わざわざマリさんを巻き込んでまで!」


そう、私がターゲットなら最初から、私を狙っておけばよかったんだ。

マリさんから離れるタイミングを敢えて狙えばよかったはずだ。


「んー、多分だけど、私を巻き込んだ方が良かったのよね、きっと」

「ご明察。勇者様の家系に危害が及ぶとなれば、動かざるを得ないし、別件逮捕にも十分だ。だから泳がせたんだ」

「で、公安がなにゆえアサシンなんてことを?」


そう、いくら公安といえども、暗殺なんて公務員がやっていいことの範疇を越えている。


「潜入捜査、でしょ?」

「またもやご明察。ボクが大っぴらにレミリア達に協力できなかったのは、それが理由だね」

「でも、失敗する、もしくは失敗に見せかける必要があった。なぜならレミリアに手をかけたくなかったから」

「……そういうことです」

「けど、意外です。貴女、そういうことはドライじゃないですか?」


他人に興味の薄いブックマンの中でも、アレックスは特に薄い。無いといってもいいほどだ。


「あー、まぁ、そうかな?」

「んー、ぶっちゃけちゃうけど、貴女、レミちゃんが好……」

「わー! わー! わーわー!」

「いきなり何ですかアレックス、取り乱して……」

「黙っておくことにしましょうか。けど、レミちゃんがターゲットっていうのは、予想外だったわ」

「ボクも意外だったなぁ、大物狙いよりも、私怨で動くっていうのは。あ、もちろんこれは予想なんだけどね」

「そういえば、アレックスの特性についてですが……」

「“インビジブル”のこと?」

「そうです。感じたところ、視覚以外にも存在の希釈というイメージでした。ですが、貴女はすぐに姿を現した。ずっと隠れていればいいのに、とは思えたのですが? その方がお仲間にも目撃されないでしょうし」


隠れられているなら、そのままで攻撃を仕掛けた方が良いに決まっている。


「返り討ちに合う必要があったしなぁ……。あまりネタ晴らしもしたくないけど、“インビジブル”はずっと使っていられるようなものじゃないんだよね。それに、同業にはしっかりと見られているわけではないはず……多分だけど」

「そうか、私たちに倒されておけば、ただ単に失敗したと思われるだけ、ってことですね」

「そうそう。そういうこと」

「私も驚いたのだけど、まさか自分から撃たれに行くなんて思わなかったわ」

「え?」

「いやー、もうちょっと上手くやれると思ったんだけどねぇ……。ワザと当たって死んだふりのはずが、初撃がまぁ、重たい重たい」

「えーと、マリさんの攻撃に、自ら当たりに行ったんですか?」

「顔を差し出して、額で受けるつもりだったけど、前に踏み込むので精一杯だった」

「……アレックス、首と胴体が繋がっている幸運に感謝した方がいいですよ」


アンタッチャブルの全開で障壁を作り出しても、素手で突破するような膂力を持っている先輩なのだ。

生身で受けていいレベルを超えている。


「そうそう、あまりにも分かりやすく誘うものだから、何か狙いがあるのかと思って軽めにしただけだからね?」

「……ただ、その後、何発撃ち込んだんです?」

「あー、それはボクも聞きたい、さっきから体の彼方此方痛くて」

「肩、脇、胸、腿、お尻ね。ちゃんと意図に気づいて、死なないように耐久力が高いところを選んだわ!」

「道理で……」


率直に言って、撃ち込みすぎです。

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