ドレス決定!
スマホから投稿
マリさんのお相手はおじいちゃんに譲り、私とおばあちゃんはクローゼットルームに来た。
子どもの頃は「入るな」とキツく仰せつかっており、数える程しか踏み入ったことはない。
大きくなってからは、自由に使って良いとも言われたが、服に興味の無い私は見向きもしなかった。
「久しぶりに見ると、圧巻ですねぇ……」
部屋に入ると、視界は服に埋め尽くされた。
うーん、やっぱり何が何だか分からない。
「さて、会食に行くとのことでしたね。フォーマル系のドレスは確かこの辺りに……」
迷いなく奥へ入るおばあちゃんの後に着いていく。
あーだ、こーだと忙しなく服を選ぶ姿をぼうっと眺めていると、ピタッと手が止まった。
「あら、これは……懐かしいわね。レミリア、これなんてどうかしら?」
おばあちゃんが手に持っているドレスは、黒のロングドレスだった。
胸元は小さな石が編み込まれたレース。
スッキリしたシルエットが、滑らかな光沢のある生地を引き立てている。
キュッとしたウエストから伸びるスカートは、レースと生地の二重構造のものだった。
そして何より―――
「このレースの模様、ミストラル家の紋章ですよね?」
「あら、気付いたのね。私が5代目の勇者様より賜ったものです。あの方も女性でしたから、お下がりということです」
「……これにします」
「もう少し選んでも良いのですよ?」
「いえ、これがいいんです。気に入りましたし」
ミストラル家と繋がりが持てそうな気がするし、何よりマリさんが勧めてくれたものとも似ている。
「では、ミストラル様に見てもらいましょう。ちゃちゃっと着替えてしまいなさい」
「えっ? 今すぐですか?」
「着こなしなどを見なければなりませんからね、場合によっては直しも必要ですよ」
そうか、丈や胴回りなどを確認しないといけないのか。
ミストラル家のものと聞いて舞い上がってしまった。
「まぁ……必要ないとは思いますが……」
と私の胸元を見ながら、おばあちゃんはそう言った。
失礼極まりないババアだ。




