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こちら異世界移民局!~転生・転移チートを許さない世界の物語〜  作者: ひろほ
第四章 まったり恋バナ公務員。
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夜更けのシングルトーク

あーでもない、こーでもないと人様の恋愛について語りつくし、まだ酔いの冷めやらぬ火照った体で帰宅した。

そのままベットになだれ込み、今日の出来事を反芻する。

先輩と仕事して、先輩とご飯食べて……沢山お話して、沢山褒めてもらって……なんと幸せな日だっただろう……。

満たされた気持ちでウトウトしていると、つい出会った日のことを思い出す。

きっと、先輩は覚えていないだろう。


炎に包まれた瓦礫、傾いていく世界、響く轟音。

生まれて初めて味わう死への恐怖。

そんな中、私は先輩と出会ったのだった。


私の種族は幼い時期がとても短い。

一年も経たずに成体となり、知識や知能も、体が発達するとともにオドを通して一族の経験が流れ込んでくる。

そのほんの僅かな可愛い時期に魔族の父に人間の母を持つ私が、両親に連れられて、この国の母方の実家へ行った時のことだ。

あろうことか観光がてら訪れた展望タワーが、転生・転移者に襲撃されてしまい、タワーが爆発、そして炎上。


ぽっきりと中ほどから折れ、倒れ落ちる燃えたタワー。

真下にある窓から地上の風景が見える。

剥き出しの鉄骨に洋服が引っかかり、宙吊りのような体。

転がるように、または落ちるように、高速で飛んでくる瓦礫。

落ちても、瓦礫に当たっても、床や壁に叩き付けられても、死を予感させるのには十分だ。

体は既にガラスや細かい金属片が突き刺さり、肌はところどころ熱で焼けている。

痛くて、苦しくて、辛くて、近くに居たはずの両親を探した。

―――そして、それは直ぐに見つかった。

父の特徴的な爪と肌の色を持つ片腕、主を失った胴体を、巨大な柱と柱の間に見つけてしまった。

そして、母は―――私の目の前をたった今落ちていった。

悲しみよりも絶望が私の中に去来する。

もう生きることを諦め、それを理解したかのように、服がちぎれ、私も落ちて―――いかなかった。

ガシッと体を抱えられる。

まだ華奢な体の感触だったが、なんとも言えない心地よさでもあった。

私を抱えたまま、瓦礫をかいくぐり傾いていない床へ私を下す。

炎の赤と空の青を背景に、私を救ってくれた少女はゆっくり倒れ落ちていくタワーの半分に手を伸ばす。

それを私は何をするのだろうと、呆けながら見ていた。

タワーの鉄骨を少女は掴む。

そのままでは引き込まれてしまい、少女自身も落ちてしまうだろう。

しかし、次の瞬間、私は目を疑った。

タワーが止まったのだ。

まさか、あんな少女が? だが、事実止まっているのだ。

少女は何かを叫びながら、落下を防ぎ続ける。

体から奔流する魔力、手足から発せられタワーに伝わる魔力行使の跡である光の道。

なんて綺麗なんだろう、と不謹慎にも私は思った。

少女に精霊が、自律AIのロボットやコンバットスーツが、錬金で作り上げていく足場が、すべて揃った時、徐々にタワーはあるべき角度に戻っていく。

止めるのみならず、持ち上げるなどという馬鹿げた現象。

あまりにも現実離れしすぎている。

そして、その現実離れの時間稼ぎのせいか、スクランブル発進した航空機、各種のスペシャリストがタワーに取りつき、遠くどこかへ運んで行った。

天井が無くなったこのフロアに、次々と救急隊が駆け付ける。

そんな中、私と少女の二人は知らず知らず顔を合わせた。

彼女の方から私に近づき、私の頭を撫でながらこう言った。


「――――――大丈夫だよ」

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