作戦ガールズトーク2
スマホからの投稿
「じゃあレイ、とにかく相手を褒めなさい」
総司令官から発せられた言葉はヤスモトさんの案そのものであった。
事前に聞いていた私たちは頷くものの、肝心のレイさんは呆気に取られている。
「褒めるて……何を褒めればえぇねん」
「これはヤスモトさんからの受け売りだけどね、とにかく何でもいいのよ。髪型だろうと、仕事だろうと」
「何でもえぇのか」
腕を組み、視線下に向け思案に耽る。
かと思えば、突然顔が真っ赤になる。
ああ、きっと変な妄想でもして恥ずかしくなったんだろう。分かる分かる。
「で、どーせやらかすとは思うから、アメとムチでプラマイゼロになるわよ」
「やらかすのは同意しますがプラマイゼロになりますかね?」
率直な疑問をぶつけてみる。
褒められて悪い気がする人は少ないだろうけど、それがなじられたことと天秤にかけて、釣り合うのだろうか……。
「こちらの心情的には、なるわねー。係長の気分は知ったこっちゃないわ」
「おい、肝心なところ投げっぱなしかい」
「どーせあんたのことだから、やらかしたらやらかした分だけ消極的になっちゃうでしょ? 心の貯金を作っておきなさい、ってことよ」
「まぁ、そもそもなじるな、という話ではありますよね」
「レミちゃん、それを言ったら元も子もないわ。事故は起こるのだから、前後作を考えるべきよ」
「いやマリ、事故て」
「あー、事故というより事件とした方が正確かもね」
「悪化しとるがな」
悪意はないにせよ、あながち間違いではない気がする。
「とにかく、相手を思いやること」
「労ってあげるくらいの気持ちでいいんじゃないですか?」
「あー、確かにそのくらいの気持ちがレイさんにはちょうどいいのかと」
「労う……か……。参考までに聞きたいんやけど、係長てどんなとこが凄い、というか褒めやすいん?」
「「「速い」」」
異口同音に答える。
真面目とか丁寧とか、他にも良いところはあるが、飛び抜けて『速い』印象が強過ぎるのだ。
「速さになんかプライドとかあるんか? それなら褒められたら嬉しいやろ」
「あら、良い着眼点ね」
「そういえば、褒められたことのないことを褒められるって、ちょっと嬉しくないですか?」
私は自身の経験から口を開いた。
拒絶の意味合いが強い私の特性ーーーアンタッチャブルを、先輩に褒められたことはとても嬉しかった。
「なるほど……アリですね」
「レミちゃん、ナイスよ!」
「ほう、せやったら、褒められそうで褒められんとこってなんや? 参考までに教えてーや」
テーマが二転三転しながらも、かしましく場は盛り上がっていく。
激務にカテゴライズされる私たちの仕事の息抜き。
なによりも心地よく、穏やかに過ぎていく。
まぁ、話の内容は剣呑なことなのかもしれないけれど。
とにかく、明日への活力を得ていける大切な時間なのだ。




