24 本部2
今朝も気分爽快で、食欲いっぱい。
モリモリ朝食を食べていると、武尊が私を見てため息をついた。
何よ、朝から。
「空はいつも元気だな」
そういう武尊はちょっと声が疲れていますが。どしたの?
金髪美女の宮下さんが、今日もホテルまで迎えに来てくれる。
「おはようございます。あらタケル、昨日の和服、とってもセクシーだったのに今日は洋服なのね。でも洋服もなかなか素敵ね」
宮下さん、いつの間にかタケルって呼び捨てだし、武尊のこと褒めてるし、笑顔かわいいし! でも坊さんの和装がセクシーだなんて、世も末だと思うよ。
「おはようございます。和服を褒めていただけると嬉しいです。でも、洋服のセンスはフランスの方には全く敵いませんよ。宮下さんもいつもお綺麗です。今日は、私は同行できないので、空をよろしくお願いします」
武尊、褒められてまんざらじゃない感じ。
む。なーにがお綺麗です、だよ。確かに宮下さん綺麗だけどさ。
ねえねえ、私は?
私も羽の色にあわせた白い可愛いワンピースなんだよ?
武尊の方を向いてちょっとワンピースの裾をつまんでアピールしてみせる。
「空、貴重品はちゃんと持ったか? それから食事の時、一滴も酒を飲むなよ」
こちらをチラリと見た武尊、いいたい事はそれだけですか。
「おフランスは18歳でもお酒が飲めるのだよ!」
私が抗議すると、武尊の眉間に皺が寄った。
「そういう問題じゃない。昨日だって、ちょっと目を離した隙に飲んだ挙句、あんな……」
武尊は何かいいかけたが、黙ってしまった。
あんな? ちゃんと大人しく寝たでしょ。服のまま寝ちゃったけどさ。
「そうね、日本ではお酒は二十歳からだったかしら。ソラ、そろそろ行きましょうか」
宮下さんが腕時計に目を落とし、車を発進させた。あれ? 私もソラって呼び捨てになってる。武尊はお父さんに頼まれたいろいろな手続きがあって、今日は同行できないそうだ。武尊がいなくても、宮下さんが通訳してくれるから安心だけど。
道中、宮下さんの事がだいぶわかった。
日本人と結婚しているのかと思ったけれど、未婚なんだって。「宮下」は日系人のお父さんの姓らしい。じゃあ武尊にもチャンスはあるわけだ。武尊にしてみれば、出会いは90歳の未亡人しかいないって嘆いていたから、未婚の金髪美人を見てはしゃいでも仕方ないのかも。…はあ、やっぱり応援しなきゃいけないのかな。
「ねえ宮下さん、武尊の事どう思う?」
私がきくと、宮下さんは ん? という顔でこっちをみて、ニマッと笑った。
「いい男じゃない? クールで」
おおっと、武尊、脈ありだよ……。
よかったね。
応援するまでもなかったよ……。
窓の外をビュンビュンと景色が飛んでいく。
ブドウ畑、お家、あれは教会? 林、畑、畑、森。
車は昨日と同じ道を進み、例のお城へ。
昨日の濃いナイスミドル、アゴがお尻、名前はシャルルなんとかが出迎えてくれ、昨日と同じ応接室へ通される。
「今日は白翼種や保存委員会の歴史、生活上の注意についてお勉強しましょう。それから、白翼種のお仲間と面会してもらいます」
宮下さんがシャルル・アゴがオシリの言葉を訳してくれた。
「は……い」
お仲間って、どんな人だろう? ちょっと緊張する。
『おーい、シャルルー』
でかい声とともに、バン、と戸が開いて、大柄な男が入ってきた。
海賊ですかって感じの男。
一瞬、この人がお仲間かと思ったけれど、何となく違うと勘でわかる。
『シャルル、さっき連絡のあった火吹きトカゲはここに運び込まれるらしいぞ。ん? これがウワサの新入りちゃんか。可愛いじゃねえか』
ムキムキマッチョでTシャツから出た二の腕は総タトゥー。
私をジロジロ見ている。
見事なブルー系の竜のようなウロコが腕に描かれているって……まさかそれ、ホントの鱗ですか……。
『お? 鱗見るの、初めてか? ホレホレ、怖いか? 羽出してパタパターって飛んでみてよ、ガハハハハ』
ムッキムキの腕のタトゥーに見える鱗を私に見せつけて、怖がらせて、明らかに喜んでいる。シャルル・アゴがオシリは、何かいって鱗マッチョをたしなめ、ソーリーといって私を見た。ゴメンネっていったよ。英語わかったよ。
「彼はドラゴン種の血をひく男で、エンリケ ベルムデスさんです。悪い人ではないのですが、困った人です」
宮下さんが首をすくめていった。
「実は、私も竜種の血をひいているので、彼とは遠縁にあたるんですよ」
長袖のブラウスの袖をまくりあげた宮下さんの両腕にもうっすらと文様がある。
でも宮下さんの鱗は色も薄く、どちらかといえば花びらが描かれているように見える。色もブルーではなくピンク色で可愛い。そか、宮下さんも人外の血が交じってるんだ。
「綺麗で可愛い」
私がいうと、宮下さんはちょっと驚いた顔をした。
背中にも花びらみたいに文様があるのだろうか?
牡丹の花しょってるみたいでスゴイかも。
『そういえば、エルヴェが廊下でウロウロしていたぞ。僕の未来の奥さんが来ているはずだって。この新入りちゃんが目当てじゃねえのか?』
鱗マッチョが廊下を指差して何か言う。
『全く、エルヴェは気が早いんだから。仕方ない、彼から歴史を説明してもらうか。ちょっと呼んできてくれ』
シャルル・アゴがオシリが何か言い、鱗マッチョが出て行き、代りに別の男の人が入ってきた。
黒髪に、優しそうな灰色の目、背も高ければ足も長っ。
知的で上品な顔立ちで、お父さんのロベルトさんほどじゃないけれど、この人もかっこいい。っていうか、外人の基準は全然わからない。
『初めまして。エルヴェ・モローです』
その男の人が柔らかく微笑んで、自己紹介をした。と思う。
「エルベエさん? 空です、そら・いのうえ」
男の人とは思えない綺麗な手がそっと私の手を握った。
エルベエさんね。覚えたよ。
『じゃ、エルヴェ、この子何にも知らないから、白翼種の歴史とか、保存委員会のこととかいろいろ説明してあげてね』
シャルル・アゴがオシリがエルベエさんに何かいって部屋を出て行った。
「ソラ、これからエルヴェがいろいろ説明してくれますから。エルヴェは私の幼馴染で、フランスで生まれ育った白翼種です。ソラに会えるのをすごく楽しみにしていたんですよ」
宮下さんとエルベエさんはすぐ近くに住んでいるらしい。
エルベエさんが話してくれる言葉を宮下さんが丁寧に訳してくれる。時折、宮下さん自身の言葉もはさみながら。
絶滅危惧種保存委員会は、もともとは翼を持つ者同士の助け合いの会だったらしい。時には魔女狩りのような迫害の対象となり、時には神の使いと崇められ、苦労が絶えなかった。世界各地に散り散りになっても、国を越えて連絡を取りあい、情勢が危なくなる度に移住したり、仲間を受け入れたりを繰り返し、大きな組織になった。交易が盛んになってきたころには、仲間内で貿易も行い、富も築いた。中でも白翼種は天使と形状が同じためか、貴族達から保護されることが多く、婚姻もあった。このときに保存委員会としての形ができあがり、今もパトロンとして白翼種の保護を率先して行っている一族もいる。その後、翼種以外の別の保護組織と一緒になったりして、さらに組織は大きくなり、ドラゴン種など数多くが協力保護の対象になっている。ただ、産業革命以後人類がどんどん増加したのに対し、翼種も、ドラゴン種のような別種も減少している。
エルベエさん、私のいろいろな質問にも、宮下さんの訳を通してだけれど、真剣に耳を傾け、一生懸命答えてくれる。
「そういうわけで、我々の結束は非常に固いのです。トラブルがあったときは、そこらの大使館なんかより、保存委員会の組織に駆け込んだ方が絶対に早いですよ。異形である事を苦にする子供もいますので、学校も作りましたし、系列の病院、会社もあります。留学、仕事の斡旋、伴侶の斡旋もしています。ただ、白翼種については、西ヨーロッパが活動の中心となります」
それにしても、思った以上に巨大な組織らしい。
お父さんや弟が語学に堪能なのに驚いたけれど、そういう歴史を繰り返してきた一族なら、それも頷ける。
「今、保存委員会が特に力を入れているのが、子供達の保護と伴侶の斡旋なのです。で、伴侶として僕なんかどうでしょう、とエルヴェはいっています」
宮下さんがすました顔で訳す。
いきなり伴侶って……。やっぱり同じ種族同士で結婚するのが普通なんだろうか? そう思ってきいてみると、宮下さんが答えてくれた。
「そういう決まりはありませんが、同種同士の結婚は極めて多いですね。保存委員会でも同種の結婚を奨励しています。お互い惹かれやすいというものあるし、いろいろ楽だし、やはり仲間は多いほどいいし。保存委員会での交流を通じて結婚するヒトが多いですよ」
みんな数少ない同種の中から伴侶を選んでいるのだろうか。同種同士となると、宮下さんはさっきのムキムキ鱗マッチョがお相手になってしまう。武尊、ダメかもしれない。って今は人の事より自分の事だ。
この目の前の人が私の伴侶?
じーっとエルベエさんを見ていると、エルベエさんが笑って何かいった。
「抜け駆けになってしまうので、本当の事をいうと、ソラには僕以外にも伴侶の候補が何人かいます。ソラはどんな男性が好みですか? とエルヴェがいっています」
宮下さんの言葉に即答する。
「日本語が話せる人がいいの。私、語学苦手だから」
宮下さんが、うーん、といいながらエルベエさんに訳している。
「日本語は難しいですからね。努力してみます。ソラさんは英語は話さないのですか?」
エルベエさんの言葉を宮下さんが訳してくれる。
「話しません!」
断言すると、宮下さんがガックリと肩を落とし、エルベエさんに訳した。
「では、フランス語はどうです?」
再度、宮下さんがエルベエさんの言葉を訳す。
「安藤トロイわ! 鯖っ」
たしかこれでフランス語で1、2、3、元気ですかーって意味になるはず。
宮下さん、これであってるよね? あれ? みやしたさーん。どしたの。
エルベエさん、考え込んでいる。あれ、通じなかった?
「サバじゃなかった? アジ?」
「サヴァ」
ニコッと笑ってエルベエさんがいった。
おお! 通じたではないか。フランス語、楽勝。
『言葉が通じないと、愛の言葉もささやけないね。気長に落とすしかないかな。こちらに住んでしまえば嫌でも言葉を覚えるだろうし』
エルベエさん、私にではなく、宮下さんに何か早口でささやいている。
宮下さん、それを聞いてニヤリと笑って頷いてる。
何いってるの?
『ソラ、羽を見せてください』
私を柔らかな眼差しでじっと見て、エルベエさんが何か言った。
「ソラ、エルヴェが羽を見せてほしいといっていますが、どうします?」
宮下さんの訳を聞いて、デジャブ? と思い、以前天狗殿にも羽を見せろといわれたのを思い出す。エルベエさん、服を弛め羽を出す準備をしている。白翼種では初めて会った者同士は羽を見せ合うのが礼儀なのだろうか? まあ、昨日もハズカシイ恰好で散々羽見られたし、特に抵抗は無いけれど。
「いいですよ」
そういうと、宮下さんは部屋を出て行ってしまった。
あれ? 白翼種以外の人には見せないのが決まり? でも宮下さん、昨日も散々見てたよね。
いいですよ、とはいったものの、白いワンピースの背中のファスナーをちょっと下げないと、羽を出すのは難しい。いきなり初対面の人の前で背中のファスナー下ろすのもちょっとねえ。
「えーと、服がコレなので、やっぱりまたの機会に……」
背中に手をやり、日本語でいったけれど、エルベエさんに通じるわけもなく。
エルベエさん、何を勘違いしたのか、うんうん、と頷きながら私の背中に手をのばし、ファスナーを下げ…ちょっと!! アナタ何してくれるんですか!!
後ろを振り向くと、立派な翼を広げたエルベエさんが柔らかな笑みを浮かべ立っている。まるで、宗教画の厳かな天使のようだ。
羽……出すしかないのですね。
えーと。
すぐおいし、すごくおいし。頭の中で呪文を唱えるけれど、なかなか羽が出てこない。えーん早く羽出てきて。
バサリと羽が出るころには、半泣きでワンピースは脱げかけて、エルベエさん、焦って一生懸命私を慰めている変な構図になっていた。
エルベエさんがぎゅうぎゅうと私を抱きしめ、耳元で何かいってる。
ゴメン、とかそんなことをいっているのだろう。もっと謝れー! 乙女に何てハズカシイ恰好させるのよ。
いつの間にか私の羽は消えていて、ちゃんと背中のファスナーも元に戻っていて、何故かエルベエさんの膝の上に抱っこされていた。
エルベエさん、何か甘い感じでささやいている。
言葉がわからなくても、何となく口説かれている? というのはわかる。
っていうか、膝の上に抱っこだし。
えーと、ちょっと居心地悪いですね。
ごそごそ膝の上から降りようとすると、ギュッと抱きしめられてオデコにチュウ。
「ちょっと、まったー!! 宮下さーん、ぷりーずへるぷみー!」
おおっと、英語しゃべっちゃったよ。
突然の英語にエルベエさんが驚いてる隙に膝の上から脱出成功。
宮下さんが、私の大声に気が付いて部屋に入ってきた。
「あのですね! フランスの人は挨拶代わりにチュウをするのかもしれませんが、チュウはダメです!」
真っ赤になってどなると、宮下さんがチュウ?と聞いてきた。
「キスをしてはいけません!」
どなると、宮下さん、私をみてムフフと笑っている。
『エルヴェ、ソラは挨拶がわりにキスするのはやめてって』
『挨拶でしたつもりはないけれど……挨拶でなければいいのかな? そうか、おでこではもの足りなかったか。では後ほど、挨拶ではないたっぷり愛情のこもったキスを』
「ソラ、後でいっぱい愛情たっぷりのキスしてくれるって」
どうして? どうしてそうなるの?
「そうじゃなくて。日本では、挨拶がわりにハグしたり、キスしたりする文化は無いの。一生一緒にいたいと思う相手にめぐりあったら、キスするの!」
日本の標準かどうかは知らないけど、私の基準だよ。
『ソラは情熱的ね。一生一緒にいられる相手とキスしたいですって』
『それは一生一緒にいてほしいといわれているのかな? 恥ずかしがり屋にみえて、結構情熱的なんだね。後でいっぱいキスしてあげる』
「ソラはシャイで情熱的だね、だって。あとでいっぱいキスしてあげるって」
どうして?? どうしてそうなるの?
宮下さん、ちゃんと訳してくれているの??
「キスは要りません!」
『キスじゃ嫌だって』
『おお……。キスだけでは足りない、と。本当に?』
「ソラ、キスだけじゃ足りないのよね? 全く、こんな会話、私を通さないでほしいわ」
宮下さん、苦笑いして肩をすくめている。
ちょっと、いったいどういう会話になっているんですか??
「あの……キスもハグも本当に要りませんから」
「ほらほら、2人でさっさとデートでもしてきなさいよ。ちょうどお昼だし、2人で外でランチしたら? 私は今日はお弁当だから。パリの街は言葉なんかいらないのよ」
宮下さん、ヒドイ。
パリだろうが、トーキョーだろうが、言葉は大切だよ。
宮下さん、ランチボックスを手にして私とエルベエさんに向かって、しっしと追い払う手つき。パリジェンヌのお弁当ってどんなのだろう? って、そんな場合じゃない。
『ソラ、2人でちょっと外に食べに行こうか』
エルベエさん、スッと腕を差し出す。この腕につかまらなければ、昼ごはん抜きなのでしょうか? 宮下さんにぐいぐい後ろから押され、エルベエさんと二人、外へ押し出される。
エルベエさんの車に乗せられ、レストランへ行った。
近所の人に人気の魚が美味しいレストランらしい。
最初は2人でいる事に不安だったけれど、よい香りにつつまれた香草とバターとレモンタップリの焼き魚が運ばれてきたころには、不安は消し飛んでしまい、美味しくたいらげた。
途中、エルベエさんが魚の名前や、メニューの名前を英語、フランス語で説明してくれる。
さすがに食べ物の名前ならわかるだろうと思ったけれど、半分くらいしか理解できない。
武尊から止められているので、ちゃんとノンアルコールにした。
エルベエさんの事が少しだけわかった。
お兄さん一人いる。
5歳のときに羽が生えた。
美味しい昼ごはんをごちそうしてくれた。
エルベエさんと本部のお城に戻ると、シャルル・アゴがオシリが現れた。
『おやおや、仲が良いことで。まことに結構』
『シャルル、もう僕達羽も見せ合いましたし、できればソラに他の伴侶候補は紹介してほしくない。それから、ソラがこちらに住めるように手配を』
『エルヴェ、抜け駆けは感心しませんよ、あなたらしくもない。でもソラがあなたを伴侶と認めるならいいでしょう。ソラがこちらに住めるよう手配しましょう』
うー、何を言ってるかわからない。イライラする。
「ソラ、エルヴェ、お帰りなさい。初デートはどうだった? 案外言葉がわからなくてもなんとかなるでしょ?」
もう宮下さんの日本語が聞こえるだけでホッとするけれど。
「宮下さん、言葉は大切です。なんともなりません」
日本に語学教室が山のようにある理由がわかりました。
会話はマーク試験みたいに5択じゃないし。
こんなことなら、もっとしっかり勉強すればよかったよ。
「でも、あなた達羽も見せ合った仲なんだし、いい感じじゃない?」
「……羽を見せ合った仲って、なんですか?」
なんか嫌な予感がする。
羽を見せ合うって特別な事なのだろうか?
でも、昨日だって絵を画くときみんなに見せたし。
「ソラ、やっぱり知らなかったの? 普通、羽を出す瞬間は家族とか恋人にしか見せないものでしょ? 羽を出す瞬間ってどうしても衣服が乱れるし、イヤラシイでしょ。羽を出す瞬間を見せてくださいと頼むのは、翼種には付き合ってくださいといってるのと同じよ」
「で、でも、昨日だって絵を画くときに羽を出せって……」
「昨日だって着替えたときに羽を出しておけばいいのに、みんなの前でわざわざ羽を出すから、面白い子だなとは思ったのよ。羽の出し入れに慣れてないみたいだったし、それでなのかな、とは思ったけれど。やっぱり何にも知らなかったのね。まあ、昨日は白翼種登録のための儀式だから、羽を出さなきゃ始まらないし、羽の絵をかくために出しただけなんだから気にしなくていいんじゃない? でも、これからは羽を出す瞬間を無防備に見せちゃだめよ」
宮下さん、やれやれって感じで忠告してくれたけど…そんなこと、しらなかったよ。
そういえば、天狗殿に羽見せてっていっちゃったことあるよ。
昨日みんなの目の前でひよこ踊りまでして羽出しちゃった。
エルベエさんの前で羽出しちゃった。
それ以前にいっつも、武尊の前で羽出してた。
かあぁぁと顔が熱くなるのがわかる。
私、すごく淫乱な子確定? もう、泣きたい。
ガックリと項垂れていると、エルベエさんが心配したように背を撫でる。
『ソラ……どうしたの? 大丈夫?』
どうしよう。私、エルベエさんに付き合ってっていわれて、OKしちゃったってこと?
「宮下さん、私……何も知らなくて、エルベエさんに……」
言いかけたけれど、宮下さん、ムフフと笑っている。
「とりあえず付き合っちゃえば? エルヴェ、ソラの写真に一目惚れしてから、毎日ソラの話ばっかりしていたんだから。幼馴染としては応援したいのよ」
宮下さん、コトの次第を訳してくれる気ゼロですね。
面白がっていますね。
ぴんちです……。
読んでくださってありがとうございます。




