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前世の記憶があるアイリスとダイアナ  作者: 彩緒


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2:学園生活♥♦②

(2842字)

 ♥♥♥ 


 ここ最近、前世の夢をよくみるの。

 夢のお告げみたいでとても嬉しい。


 図書館で高いところにある本を取ってもらう私。

 実験で危ないことは代わってもらう私。

 貧血で倒れて心配してもらう私。

 全部、私の代わりに男の子がやってくれている。次から次へと違う男の子が現れて、私の代わりをしてくれる。私からありがとうって言われて嬉しそう。うふふっ。

 私の近くで、あの髪の短い女の子が、イヤそうな顔をしているわね。何か私に文句を言っているわ。きっと私を妬んでいるのね。みっともない。




 今日は授業中、図書館で調べものをすることがあったの。私は、ルーク殿下が近くにいるのを十分に意識しながら、本棚の前に立って、つま先立ちで上の棚の本に手を伸ばしたわ。もう少しなのに手が届かない、こういうのって庇護欲をそそられるのよね。ほら、ルーク殿下が気がついて、代わりに取ってくださったわ。


「ありがとうございます」


「どういたしまして。次からは足台を使うといいよ」


 ルーク殿下は、さわやかに言って去っていかれたわ。王子様という響きがあんなに似合う方はルーク殿下以外いないわ。

 せっかくいい気分に浸っていたのに、ダイアナったら、つまらないこと言うのよ。


「足台はカウンターに置いてあるわよ」


ですって。




 今日は実験の授業があるわね。

 私はこの時間をすごく楽しみにしていたの。

 だってルーク殿下と同じグループになれたんですもの。

 女子学生は髪をまとめてくるように言われたわ。だからまとめ髪の中でも一番可愛く見えるようにして、私の金髪に映える青いリボンをつけたわ。

 チラッと別のテーブルを見ると、ダイアナや他の女の子は地味に髪をまとめただけ。あれじゃあダメね。うふふっ。今、同じグループの男の子の視線を首筋に感じたわ。

 あら、火を使うの?

 隣のテーブルでは、たいして可愛くもない子が、『怖いわ』なんて言っている。貴女には、そのセリフ似合わないわよ。


「火、怖い・・・。どうしよう」


 私は、小さな声でそっと呟く。

 今、手が空いているのは私とルーク殿下だけ。ルーク殿下は、サッと火をつけてくれた。

 本当に素敵ね!!


「ありがとうございます」


 私は、とっておきの顔を作り、ルーク殿下を見上げた。


「お礼は言う必要ないよ」


 ルーク殿下は照れたように視線を逸らすとボソッと言った。

 その後も、同じグループになるたびに、私のことを手伝ってくれた。

 殿下が私を気にかけてくださるおかげで、勉強に関係のないお話もできるようになったのよ。ついでに他の男子学生も、グループワークのときは気楽に話しかけてくれるようになったわ。

 ダイアナには嫌味を言われたけど。




 今日は寝坊してしまったわ。

 ルーク殿下のことを考えていたらつい夜更かしになってしまったの。

 身だしなみだけは譲れないから、朝食は抜いて出てきたわ。

 それがよくなかったのね。

 ランチになる前に貧血で倒れてしまったの。

 ダイアナは、自分のハンカチを濡らして顔や手を拭いてくれたわ。保健室には、なんとルーク殿下がエスコートしてくださったの。

 これよこれ!

 女子の介抱なんていらないのよ!

 ルーク殿下だけの付き添いで良かったのに、ダイアナが横にずっといるから保健室で二人きりになれなかったじゃない!まあ、先生がいるから二人きりにはなれないんだけど・・・。




 ♦♦♦


 ここ最近、前世の夢をよくみるようになっている。

 どうしてかしら。

 昔は転生を特別なことだと思っていましたけど、今のわたくしは、”今の人生を大切に生きる”って決めていますのに。

 



 今日の授業は図書館で調べものだった。

 アイリス様は、高いところの本が取れずに困っているようです。

 そんなわかりやすく困ったお顔をされない方が・・・。

 とうとうルーク殿下が気づかれて、代わりに取ってくださっています。


「ありがとうございます」


 アイリス様は、はにかみながら可愛らしい笑顔でお礼を言っています。

 可愛らしいです・・・・・が、


「アイリス様、足台はカウンターのところにありますよ」


 御存知だとは思うのですが、一応お伝えしておきました。



 その日の夕方、わたくしはもう少し調べたいことがあり、放課後また図書館に行きました。探している本の場所に行くと、ルーク殿下がいらっしゃいました。会釈だけして、本を探していると、高い位置に目当ての本があります。足台にのれば、なんとか届きそうですが、少し困りました。厚みのある本です。つま先立ちであれを掴んで取ったら落としてしまうかもしれません。


「君も僕に取ってほしいってことか?」


 隣にいたルーク殿下が唐突に言いました。


「は?いえ、自分で取れます」


 殿下にお願いするなんて考えてもいませんでした。なので、自分で足台にのって、手を思い切り伸ばして、本を掴みました。・・・予想通り、本を掴みつづけていることができずに落としてしまいました。


「”か弱い”か・・・。今日みたいな暑い日も長袖とは」


 ルーク殿下が、なぜそんなことを言うのかわかりませんでしたが、批判的なものを感じました。わたくしは、言葉で返答はせず、両袖を肘までめくりました。白く盛り上がった長い傷を見て、ルーク殿下はハッとした顔をされました。




 今日は実験の授業がありました。事前に通達がありましたので、髪は邪魔にならないようにまとめていきました。服の袖は、以前なら邪魔にならないか気にしていたのですが、ルーク殿下と図書館でお話して以来、熱い日には半袖を着るようになりました。皆様、最初こそギョっとされましたが、見慣れてしまうと次からは反応されなくなりました。

 火を使う実験は、緊張しますがワクワクします。予習してイメージトレーニングをしてきたので上手くできました。グループで結果をまとめたり、それぞれの考察を言いあったり。わたくしのグループは皆様協力的で早く終えることができました。

 アイリス様のグループの方を見ると、少し遅れ気味なようです。アイリス様は、可愛らしい笑顔で実験と関係のないお喋りをしているようです。周りの進行具合も見た方がいいのですが・・・。


「アイリス様、お話は授業が終わってからにされた方が・・・」


「まあ!ダイアナ様、話しかけられたらお返事をする、基本じゃありませんこと?」


 そういうことを言ったつもりはないのですけど。


 


「アイリス様、大丈夫ですか?・・・アイリス様っ!」


 朝から顔色がよろしくなかったアイリス様が倒れました。倒れる前に支えようとアイリス様の腕をつかんだのですが、支えきれず、転倒されてしまいました。クラっとしたようですが、意識を失っていなかったので、無防備に倒れることがなくてよかったです。それでも冷や汗を額にかかれていたので、ハンカチを濡らして拭いて差し上げました。床についてしまった手も拭きました。

 保健室へ行く際には、ルーク殿下が腕を貸してくださいました。たまたま、力を貸せそうな男子学生は殿下しかいらっしゃいませんでした。


 アイリス様、大丈夫かしら。

 なんだか心配な方です。


 そろそろ、わたくしたちの学園生活は、一年が経とうとしています。

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