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「リモート魔王」――改善してたら魔王に定義されました。家族との絆が削られる魔王に…  作者: 遠藤 世羅須
第四章 「世界編」―真実の重み

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第四章 第8話 アビス来訪

新スキル「ワーム」が発露した直人。

新しもの好きは、何も現世だけではないようで……

突然の来訪者があった。

アビス将軍だ。

直人はUIで協会メールの提出物を対応していた時だった。


異様な圧を放ったままこちらに歩いて来る。

隣に、銀髪。ミリスだ。

ニヤニヤしながら共に歩いて来る。


直人は驚くと同時に、嫌な気分になった。

しかし、一応”上司”なので、


「これは将軍。急なお越しとはいえ、お出迎えもせず失礼しました」

「構わんよ、突然だからな」

挿絵(By みてみん)


アビスは巨体だ。玉座の間も狭く感じてしまう。

「本日はどのような用件で?」

すると、後ろから声がする。

「私が報告した」

振り返ると、そこにダリオンとデーモンロードがいた。

ダリオンが続けて言う

「魔王の武器が増えた。喜ばしい事だ。

 将軍は面白い武器がお好きだ」


(武器?何だ?そうか、「ワーム」の事か)


「新しいスキルの事ですか?」

アビスが笑顔で言う

「そうよ。誠に珍しいスキルだそうだな」

「確かに嫌なスキルかと…」

「見せてくれぬか」

直人は将軍だけでなく、周囲を見回す。

ダリオンがうんうんと頷いている。


「承知しました。では、訓練室へ」


全員で訓練室に向かう。


訓練室には魔物たちがいた。

同行したシズクが前に出て、何かを唱える。

すると、魔物たちが一斉に引いて大人しくなる。

(”厨房制圧”か?相変わらずすごいな)

場が静まり、影も落ちる。


「では、私に向かって術をかけてみろ」

アビス将軍自ら進み出て、中央に立つ。

相変わらず凄まじい圧だ。支配の圧。


直人は気圧されながらも進み出る。


「わしが結界を張る。それに当てて見ろ」

「承知しました」


直人は圧に気圧されながらも、イメージする。

シズクたちと訓練したばかりだ。

虫の塊のイメージを出し、スコープを当てた将軍に向けて

その虫たちを追い払うような感じで押し出す。


すると、

「今、何をした!」

将軍が叫ぶ。

ダリオンが

「当たったな。結界が侵食されて崩れていくぞ」

デーモンロードも

「結界が崩れたな、将軍」

直人は、皆の反応に戸惑う。

エーデルから、スキルが効いてるとは聞いていたが、

これほど皆が騒ぐとは思わなかった。

挿絵(By みてみん)


UIの表示が出る

【対象】アビス:上位結界

【操作】ワーム適用

【異常】結界構造:侵食開始


アビスは

「これは、結界に穴を空けるだけでは無いな。

 上位結界を侵食するスキルだ。素晴らしいぞ!」

興奮気味に話す。

ダリオンも、

「前のバグは綻び。このワームは武器だ」

と言う。

直人は、そうなのか?とは思うが、

「評価、感謝する」

と返す。


一応ロールバックする。

【スキル】ワーム

【ロールバック】差分解除(隔離のみ)

【対象】WRM-03


アビスお付きの銀髪、ミリスが口を開く。

「いいじゃん、嫌なスキル。セクシー」

ミリアが睨んでいる。



直人は口を開く。

「本日はこれが目的で」

将軍は笑いながら、

「それは主目的だが、ダンジョンも面白いと聞いた。

 迷宮やら何やらだと。見せてくれ」

直人は思う。

(物見遊山か?)

しかし、

「では、ご案内する」

一同は満足したような表情で、訓練部屋を後にする。


ボス部屋の迷宮扉、迷宮階などを案内し、

破り対策の自動迷宮も実演する。

再生可能ボスたちも、その意図を説明する。

「ガイアスの城とは全然違うな」

と、将軍は驚きながら喜んでいる。

途中、農園も寄り、自給の実態を見た後、

仮設の応接間に案内する。


普通は”客人”など無いので、

応接室などいらないと作ってなかった。

面接で使ってた部屋に案内する。

将軍だけで一気に狭くなる。

挿絵(By みてみん)


将軍がかけると同時に話し出す。

「面白いぞ、このダンジョン」

「普通の所には無いギミックが色々ある」

豪快に笑いながら続ける

「これは破りも苦労するわ」


しかし、突然真剣な顔になり、

「お前なら、あいつを越えられるかもしれん」

と、直人を視線で射抜く。

一瞬で氷の刃のような鋭い目つきに変わる。

多少辟易していた直人は、身が引き締まる。

「あいつとは?」

将軍は遠くを見る目で続ける。

「ガイアス・グラン。お前の前の魔王、そして、俺の盟友よ」

その名が出て、シズクの肩が一瞬揺れ、スカートの裾を強く握る。

しかし、一瞬で元の静謐に戻る。


「あいつは強かった。それはもう、今居ても最強だろう。

 しかしな、あいつの弱点は、己の強さよ。

 強き者は他者を恐れず、己を恐れず、己を磨く。

 しかし、ダンジョンや、周囲には頓着がない。

 破りも確か全て自分で追い払ったそうだ。

 それは、1対1の戦闘では最強でも、集団戦には向かん。

 それが奴の弱点だった」 


直人は理解できない。

「弱点?」

「そうだ。お前もこれから知る事になると思うが、

 ただ強いだけではダメなのだ、ここでは」

直人は、今一つ言ってる事がわからない。

「デーモンロードを見ろ。戦って強いタイプか?」

直人は頷く。

確かにその通りだ。

デーモンロードは影を落とし、支配で勝つタイプだ。


デーモンロードが口を開く

「俺は支配が効く。戦闘もするがな」

知ってる。よく知ってるぞ、そこは。

将軍はデーモンロードを指さし

「こいつは頼りになるぞ。忠誠も俺が保証する」

続けて

「まあ、魔界では珍しい奴だ」

と笑う。

デーモンロードは目を細めて将軍を見ている。

将軍は最後に

「だが、お前も強くなれ。魔王対戦を生かせ。

 それがお前の為になる。家族の為でもあるだろう」

直人の眉が動く。

(ひなのことも知っているのか?……)


「支援はする。遠慮するな。要望があれば何でも言え」

「痛み入る」

直人は将軍来訪の意味がわかった気がした。


アビス将軍は

「さて、邪魔したな、面白かったぞ」

隣のミリスが直人に近づき

「あたしだけで来ようかな。いいでしょう」

と色目を使ってくる。

すかさずミリアが

「くどい」

目が座っている。

ミリスが

「おお怖。やだなあ嫉妬」

ミリアが睨んでいる。

また胃にくる。

挿絵(By みてみん)


将軍たちは帰っていく。

ダリオンやデーモンロードも引き上げる。


残ったミリアとシズクに

「時間が無い。早く次を」

と懇願するような、自分に向けるような言葉を出す。

シズクが言う

「魔王さま、訓練です」

ミリアも

「よそ見しないで下さい♡」

(意味が違わないか?)


ガイアスのようにはなれない。

ならない。

直人は、直人のやり方でLv99に行く。


直人は雑念を払い、進む道に戻る。

今は寄り道などしていられない。

明日は、自分だけの明日ではないのだから。


(つづく)

アビスに注目された直人。よそ見せずにLv99を目指す。

一番早く上げるには破りだが……

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