第379話 二号(アメリ)サイド
はあい。わたしはアメリ。美少女戦隊のリーダーで一番のかわい子ちゃんよ。みんながわたしの分身の方を一号、本体のわたしの方を二号だなんて言うけど失礼な話よね。だからわたしの方が一号と呼ばれるように日々がんばってるわ。
それじゃあ、これからはわたしが話を進めて行くね。
わたし二号と分身の一号は元々同じ人間だから意識の共有化と言うか、意思の疎通ができるのよね。それがある日突然できなくなっちゃった時はびっくりしたわ。できなくなったと言うよりは一号の存在そのものがなくなっちゃったの。これはあり得ない事なの。だって、もし一号がやられて死んだとしてもその意識はわたしに戻るからね。それが何にもないのよ。焦ったわたしは大急ぎでサオリ達と一緒に一号達のいた階層にかけつけたわ。
消えたのは一号だけじゃなかったわ。ホノカ達、一号と行動を共にしていたパーティのメンバー全員が消えてしまったの。
消える直前の一号の意識から一号達は転移陣に入って行った事は分かっていたから、そこの場所を探したんだけど、すでにその転移陣は跡形もなく消えてしまっていたわ。
わたし達は何か手掛かりはないかとその階層はもちろんの事、ダンジョンの隅々まで探して歩いたけど何も手掛かりは掴めなかったわ。それからは毎日朝から晩まで手掛かりを求めてそのダンジョンに通って捜索したわ。もちろん魔物狩りをしながらね。
わたしと一号は元々同じ人間なんだけど、役割分担みたいな感じができてたの。戦ったり重要な作戦を決断したり実行したりするのは一号の仕事だったの。わたしの仕事は日常の生活の事を楽しくできるようにする事だったの。もちろん一号がわたしの中に戻った時のお話ね。まあわたし二号はアメリと言う本来は大人しくてかよわい少女の本質だからね。戦闘向きじゃないのよね。だから少々たよりなくて臆病で泣き虫なのも仕方ないよね。まあ二号って呼ばれるのはちょっとだけ悔しいけど。
それがさあ、一号が突然いなくなっちゃったのよね。わたしの男前の気性を引き連れて。残ったのは残りかすで女々しいわたしよ。でも女々しい性格だからっていつまでもびくびくおどおどしていられないわ。だってわたしアメリは冒険者軍団、美少女戦隊のリーダーだからね。だからわたしは変わったのよ。変わらざるをえなかったのよ。サオリにリオ、イサキと海千山千の手練れの冒険者達に言う事を聞かさなければならないからね。
一号達が失踪して一周間たった頃かしら、失踪場所に待ちに待った魔法陣が現れたのは。一応用心のために鑑定したけど行先までは分からなかったわ。だけど魔法陣に入るのをためらう者は美少女戦隊には誰もいなかったわ。
わたしが先陣を切って魔法陣に突入したんだけど、転送先は幸いにしても安全な村だったから良かったわ。最悪魔物の群れに囲まれていきなり襲われる事も想定して刀を抜いておいたんだけど、いらぬ心配だったわ。そんな事よりも大事な事は、一号との意識を突然再びシンクロできた事よ。一号はどうやら式紙に戻って活動停止していたみたいだったけど死んではいなかったみたい。ホノカの懐で意識を取り戻したみたいだったけど、式紙をひろっていてくれたホノカ、ナイスよ。なんか戦闘中みたいだけど一号を使ってやって。一号さえ復活すれば大概のピンチは大丈夫よ。自分で言うのもなんだけど、戦闘担当のわたしは強いからね。
最後のリオが魔法陣から出てきた所で、異変を察知した二人の女の人が現れたわ。この二人の女の人は同じ顔をしていてビックリしたんだけど、それよりももっと驚いたのは耳がとんがってた事なの。この人達ってエルフなのかしら。エルフの人とどうやってコミュニケーションを図ろうと思っていたら、なんと頭の中に直接しゃべりかけてきたわ。テレパシーと言うやつかしら。
「エルフの里にようこそ。歓迎の言葉をつらつらと述べたいところですけど、今は緊急事態だから省かさせていただきます。今、あなた方のお仲間はわたしの娘と共にオーク軍団と戦闘中です。場所を教えいたしますからすぐに向かってくださいますか?」
いろいろと突っ込みどころは満載だったけど、戦闘中なのは一号を通して既に知っていたからわたしたちは取る物もとらずに二人のエルフの案内でエルフの里からあわてて飛び出したわ。
「どんな状況なの?」
サオリがわたしに聞いてきた。
「うん。今まさにドンパチの真っ盛りね。あ、一号が完全に戦闘モードに入ったからもう意識の共有は無理よ。」
わたしは一号の意識を探りながらサオリに答えたけど、戦闘モードに入ってしまった一号の意識はほとんど無意識の本能で動いているために読解不能であった。
「派手に花火が飛び交ってるじゃないの。サオリ。二号に聞かなくても一目瞭然じゃないの。急ごう。」
「そうね。リオ。愚問だったわ。よし!みんな、空から一直線に向かうよ!」
そう言ってサオリは真っ先に空に飛び出してしまった。サオリを追う形でわたし達も飛び出した。
「うーん。深く生い茂った木が邪魔で、どこに敵と味方がいるのか分からないわね。」
森の上空でホバリングしながらサオリが言った。
「えっとねえ。とりあえずはそことそこに一匹ずつオークがいるわ。わたしが上空から居場所を教えるから、そっちのはわたしとサオリ、そっちのはリオとイサキでやっつけよう。やっつけたら、また上空に戻って。」
「「「おう!」」」
こうして空を飛べるわたし達は、わたしが上空から鑑定で敵のオークの居場所を突き止め、少しずつ数を減らして一号達地上部隊の援護をした。
*
「エクスプロージョン!」
最後に残った雑魚オーク三匹、オークジェネラル一匹に一号の爆裂魔法が炸裂した。それでも踏ん張ったオークジェネラルにサオリが上空から飛び降りながらの豪剣で真っ二つにした。
「あ!美味しい所だけ持って行きやがって!」
一号が悔しがっていた。なぜならとどめの突きをくらわそうと思っていた所を出鼻をくじかれてしまったからである。
そんな事より戦闘状況の把握が大事だ。わたしは空に飛びあがると上空から鑑定を使い索敵をした。
「よし!生き残りはもういないようね。じゃあみんなで戦利品の回収といくよ!」
「やったー!うわーん!」
これでオーク軍団との長くつらい戦いがすべて終わったと安堵したのかホノカが泣き崩れた。トシコもユウもエリナもフローラまで大泣きしていた。
「よし。よし。ホノカもみんなもよく頑張った。」
泣き崩れるホノカがいとおしくなって、抱きしめて頭をなぜてやった。ホノカ達はしばらくの間泣き続けた。
*
「あのう。マナが溜まるまでしばらくはお家の方には帰れないと思うんですけど。」
感動の再会も終わり、いざ家に帰ろうとしたらフローラがとんでもない事を言いだした。この世界(エルフの里)からの転移はサオリでも不可能であるらしかった。
「じゃあ。もう戻れないの?」
焦ったわたしはフローラに血相を変えて詰め寄ってしまった。フローラが悪いわけじゃないのにこれはうかつだった。マナは一週間ほどで溜まるから溜まれば帰れるらしかった。一週間か。早いとこトシコ達新メンバーを王国残留組に紹介したかったんだけどなあ。まあ仕方ないか。一週間のんびりするのも悪くないよね。
「もう。仕方ないなあ。みんな!一種間のお休みよ!バカンスを楽しもう!」
みんな大喜びであった。無理も無いわ。だってホノカ達の捜索でこのところずっと朝から晩までダンジョンに潜りっぱなしだったもんね。ずっと休んでなかったからストレス溜まってたわよね。
「料理ができるまでの間、海で泳ぐってのはどう?」
「良いわね。大賛成。みんなの水着も出すわ。バカンスを思いっきり楽しもう。」
サオリ、ナイス提案。わたしもここまで来る途中に見た浜がきれいだったのを知っていたんだ。わたしのアイテムボックスの中には一号の趣味で大小様々で色とりどりな水着がお店を開けるほど入っているからみんなの水着にも困らないわ。うれしくなったわたしは先頭に立って走り出しちゃった。
思った通り、いや思った以上にきれいな浜だったわ。砂は真っ白だしゴミ一つ落ちてないし。何よりも水と言うか海がきれいなの。波のない日だったけど透明度が凄いの。水の中で泳いでいる魚や海底の貝が上から丸見えなの。
「一号はテントやテーブルを出して設置して。他の人は水着を配るから並んで。」
わたしはサオリ達古いメンバーにそれぞれの水着を渡した。フローラを始め新メンバーはわたしの前でもじもじしていた。もう仕方ないなあ。
「一号。頼んだわ。」
「おう!任せとけ!ちょっと失礼。」
そう言って一号はフローラの体をまさぐり始めた。
「キャー!突然何するの!」
「何って。体のサイズを測ってるんだよ。二号。色は?」
「そうね。フローラは白が似合うかしら。」
「オッケー。フローラ。君の水着はこれだ。」
そう言って一号はアイテムボックスから一組の水着を取り出した。わたしと一号はアイテムボックスを共有しているからアイテムボックスの中身を一号も自在に出せた。
「これって?」
「安心してくれ。新品だ。まだ誰も使ってない。気にいったらもらってくれ。」
「そうじゃなくて、なんでこんなに布の面積が少ないの?」
「なんでって、その方がかわいいだろう?」
「そうかな。」
「うん。絶対に似合うから。」
「わかった。わたし頑張る。」
何を頑張るのか知らないがフローラは一号から水着を受け取った。
「はい。ホノカはこれ。」
「あれ。この間のと違うみたいだけど。」
「ああ、ホノカはフローラとサイズがほぼ同じだからフローラの色違いね。」
「と言う事はわたしのも、あ、やっぱり布が少ない。」
そう言ってホノカはもらった水着を広げてみた。
「はい。ユウのはこれ。」
「わたしのは前と同じなんだ。」
「うん。そうだよ。はい。トシコとエリナはこれね。」
「あ、なんでわたしのだけビキニなの?」
トシコが一号から渡された水着を見て言った。
「それはトシコがエロいからさ。」
「エロいって一号だってエロイし、二号もエロいじゃん。」
「うるさいなあ。もちろんオレ達だって着るよ。オレが黒、二号が白、トシコが赤ね。」
「ちょっと一号、何言ってるのよ。」
わたしはあわてて一号に言った。
「うるさい。うるさい。オレとおまえのビキニは決定事項だから。」
ええ。これってもう水着と言うよりは下着じゃないの。しかも相当きわどい。まあお風呂に入る時は全裸なんだから、隠せるだけましかもしれないけどやはり恥ずかしい。
海で泳ぎつかれて、しばらく一号の出したテントの中で寝そべって話していたんだけど、ホノカ達エルフの島組はほどなく全員眠りについてしまった。よっぽど疲れてたんだろうな、夜もろくろく寝てないんだろう。わたしは寝ているやつらに毛布をかけてやるとリオ達の待っている波打ち際へと走り出した。
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