第377話 はめられた
後ろから飛んで来た無数の火の玉を合図にして、逃げていたオーク軍団が引き返してきた。
「挟み撃ちか!もうダメだ!」
「トシコ!まだまだダメじゃない!あきらめるな!もしダメでも最後まであがくよ!」
弱気になったトシコにユウが活を入れた。
「そうよ!奴らは殺しはしないと思うけど、絶対に犯してくるよ!豚野郎どもに犯されるくらいなら死んだほうがましでしょ!玉砕覚悟で行くよ!」
わたしも気合を入れた。
「待って!玉砕はまだ早いわ!逃げよう!」
「どこに?フローラ!」
獣道に毛が生えた程度の細道で、道の両側はうっそうと木が生い茂る森であった。どこにも逃げ場はないと思ったわたしはフローラに聞いた。
「わたしが森の支配者、エルフだと言う事を忘れたの?」
そう言ってフローラが呪文を唱えると木や草が左右にどんどん倒れていって一本の小道ができた。
「さ、早く!」
フローラに促されてわたし達はそのできたばかりの小道に逃げ込んだ。再びフローラが呪文を唱えるとわたし達の後ろの木や草がもとどうりに戻って行った。これで大丈夫かと思われたがその小道に走り込んだのはわたし達だけではなかったみたいだった。オークジェネラルに雑魚オークが二匹入り込んでいた。
「こいつらとまともに戦っていたら本隊に追いつかれるわ!わたしが殿を務めるから逃げるよ!フローラはどんどん道を作って!」
わたしはみんなに作戦を伝えると呪文を唱えた。
「くらえ!これが本家本元のファイアーボールの連弾だ!ファイアーボール!ファイアーボール!」
残念ながらわたしごときのファイアーボールで必殺になるわけがなかった。しかし少しだけど敵の足止めにはなった。
「フローラ!早く道をふさいで!」
「わかった!」
オーク達の前の木や草が立ち上がり道をふさいだ。これで少しは時間がかせげる。
道を作ってはふさぎ、作ってはふさぎをしながらわたし達が逃げているとフローラが突然立ち止まった。
「ごめん。この先行き止まりだわ。」
フローラの言う通り切り立った崖がわたし達の行く手を遮っていた。つまりわたし達はもう追いつめられていたのだった。
「どうやらもう詰んだみたいね。どうするもう降参しようか?奴らにやられるのは悔しいけど、命だけは助けてくれると思うの。」
弱気になったわたしはついに降参を提案した。
「そうね。命あってのものだよね。無駄にケガするより。」
ユウも渋々賛同してくれた。
「わたしは嫌よ。だってわたしまだキスもしたことないのよ。それが初めての相手が豚野郎だなんて悲惨すぎる。」
トシコが泣きながら抗議した。
「でも死ぬよりはましでしょ。わたしだって初めては人間としたいよ。」
わたしも泣きながら言った。リーダーのわたしが泣いたものだから釣られてユウもフローラもエリナも声をあげて泣き出してしまった。気丈に振舞っていてもわたし達はまだ15やそこらの小娘なんだ。日本ならまだ中学生なんだよ。仕方ないよね。
わたし達は今まで散々オーク達を殺してきたんだもの。その報いを受ける時がついに来たのね。因果応報ってやつね。仕方ないか。うん。死ぬ覚悟だってできてるよ。冒険者始めた時からね。だからオークに犯されるぐらい平気よ。気持ち悪いのを少し我慢すれば良いだけでしょ。女はもう捨てるから平気よ。でもなんでこんな時にコウメイ君の顔を思い浮かべるのよ。わたしったら。わたしの処女はコウメイ君に捧げたかったなあ。コウメイ君どうしてるかな?もうコウメイ君に会わす顔がなくなるな。助けてコウメイ君。助けて。
わたし達が絶望に追い込まれて泣いていると小さな声が聞こえて来た。
「おい!コウメイじゃなくてすまないんだけど。」
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