黄金の三つ首ドラゴン出現
リスベルとアシュリーの二人は、ゆだったところで上がることにする。
「えっと、タオルタオル」
と、アシュリーがタオルで体を拭こうとするが、その前に、
((リムーブ))
と、二人の体から水分を飛ばしてしまうレーナとミシェル。
「「おおー」」
感動する二人。
しかし、せっかくきれいになったのに、汚れた服を着ないといけないのか……と、服に手を伸ばす。
が、気づく。
服がすでにクリーンウォッシュ、レーナ達のいうリムーブで汚れが取り除かれていることに。
「レーナ様、ミシェル様、至れり尽くせりでありがとうございます」
「ありがとうございます」
さて、後は寝るだけだが、ふと、レーナが考える。
(ミシェル、お風呂作っちゃったし、どうせなら部屋を作っても?)
(いいんじゃない? 他の冒険者たちにも喜んでもらえるかもよ)
と、土魔法で壁を生み出し、いくつも部屋を作って行った。
ベッドも作ったが、しょせん土魔法。
硬いままだったがそれはどうしようもない。
リスベルもアシュリーも硬いベッドの上に寝袋を敷いて寝ることにした。
翌日は、リスベルとアシュリー、そしてすみれ姫が朝食を食べた後、洞窟の奥へと足を踏み入れる。
ホーンラビット、ホーンウルフ、ホーンボア、ホーンベアと、奥へ行くにつれて、魔物も強く大きくなっていく。
ところが、すみれ姫もレーナもミシェルも全く気にしない。
特に、先行しているレーナとミシェルが、気配を察知されることも無く、魔物の首に風の刃を突きつけていくのだ。
すみれ姫はというと、討伐部位の回収に飽きたため、ぽいぽい捨てていく。
よって、リスベルとアシュリーは完全な回収役に回ってしまう。
挙句の果て、ホーンオークやホーンオーガが出て来てもお構いなしだ。
なにせ、気づかれる前に倒してしまうのだから。
「リスベル。冒険者の魔物討伐って、ほんとにこんな感じなの?」
アシュリーが改めてリスベルに尋ねる。
「私は、冒険者パーティに入って、ポーターの役をやることになるなんて、考えたことはなかった」
「ポーター?」
「荷物運びだ。ゴールドランクのポーターとは……」
トホホな顔をするリスベル。
こうして、洞窟奥にある湖へと到着した。
湖は日の光が当たってキラキラと輝いていた。
「わー、きれい」
「アシュリー、近づくんじゃない。何かいるかもしれない」
「はーい」
アシュリーは上を見上げる。
洞窟の天井に大きな穴が開いており、そこから空が見える。
「すーちゃん、ここいらで休憩しませんか」
リスベルがすみれ姫にそう声をかけた。
ここいらには、キャンプをした痕も残っている。
「ん? 討伐はもういいのか?」
すみれ姫がリスベルにそう尋ねた。
討伐することで、お金がもらえることは理解している。
それで、お金は足りるのかと。
「このペースだと、帰るころにはいっぱいいっぱいに。むしろ、安そうなゴブリンやホーンラビットの素材をどうしようかと思うくらいです」
「わかった」
すーちゃんは岩に座り、リスベルは昼食の用意を始める。
と言っても、朝焼いた肉をパンにはさんだだけのものだが。
「はい、すーちゃん。パンです」
「ありがとう」
もぐもぐと肉入りパンをかじるすみれ姫。
だが、突然。
ゴゴゴゴゴ、グラグラグラ……
大きな地震が起きた。
洞窟の天井が崩れ、小石や岩が落ちてくる。
「きゃぁ!」
頭を抱えるアシュリー。
アシュリーに覆いかぶさるリスベル。
しかし、二人に岩は落ちてこない。
二人の上に、アイスシールドが張られたのだ。
これはミシェルの魔法だ。
レーナはすみれ姫の上にアイスシールドを展開している。
「あ、ありがとうございます、ミシェル様」
と、リスベルが銀の光にお礼を言うが、そこへすみれ姫が立ち上がって宣言した。
「獲物が来た」
すみれ姫は天井に開いた穴を見上げる。
「レーナ、ミシェル、行く」
と、すみれ姫はふわっと、飛び上がって、頭上の穴を通って洞窟から出て行った。
レーナとミシェルもすみれ姫について行く。
「おーい。置いて行くの?」
アシュリーの呼びかけに答える精霊はいなかった。
ドォン、ドォン!
大きな地響きが続く。
すみれ姫とレーナ、ミシェルが見たもの。
そこには、頭から尾の先まで三十メートルは越えているであろう金色に輝く三つ首ドラゴンと、赤いドラゴン達の戦闘があった。
「無理に攻めるな! 応援が来るまで持ちこたえろ!」
「分散して三つ首を別々にタゲをとれ!」
「ブレスが来る、退避ー!」
赤ドラゴン族が三つ首ドラゴンの周りを飛び回っている。
「応援はどのくらいで着くんだ!」
「一時間くらいではないかと」
「ローゼンシュタインからは来るのか?」
「いえ、グリュンデールからだけです」
「ええい、この三つ首ドラゴン、伝承通り、物理攻撃が効かないじゃないか」
「何とかおし留めろ。でないとこの世界が終わりかねん!」
「隊長! これ、倒せるのですか?」
「かつての最強の族長、さつき様とこはる様が赤ドラゴン族の部隊を率いても倒すのに犠牲が出たと聞いている。だが、そんなことは言っていられない。何とかせねば!」
応援が来るまで持ちこたえようとする赤ドラゴン族ではあったが、それでも一人、また一人と傷ついていく。
そこへ、三つ首ドラゴンが翼を広げる。
「まずい、飛ばせるな! どこへ行くかわからん!」
バシュ! バシュ! バシュ!
赤ドラゴン族が上空からブレスを撃ちこんで何とか地面に留めようとする。
しかし、逆に、三つの首からブレスの反撃が放たれることになる。
「「「キャシャー!」」」
ゴオオオオオオ!
「隊長! まずいです、もちません!」
そんな、焦りに焦っている赤ドラゴン族に向け、そこへ素っ頓狂な叫び声。
「おーい、そいつ倒していいのかー!?」




