レーナとミシェルの魔物討伐のやり方
ギルドから出た後、リスベルがアシュリーに対して、パーティ名についてクレームを入れる。
「すーちゃんとアシュリーはいいけど、私は?」
『精霊様とお姫様』
精霊はすみれ姫とレーナとミシェル。
お姫様はアシュリーだ。
だが、リスベルはどちらでもない。
「いいじゃない。お姫様枠で」
アシュリーが適当な答えを返す。
「どう見ても違うでしょう」
しかし、もうどうにかなる問題ではない。
すでに登録済み。
リスベルは早々にあきらめる。
三人と二人は、街の南門から出て、森へと向かった。
森に到着すると、五人は森に入って、けもの道を進んで行く。
レーナとミシェルは相変わらず、姿を消してぽよぽよと。
リスベルは、なんとなくの気配でレーナとミシェルがどこにいるのかわかるが、アシュリーはわかっていない。
アシュリーはただ、リスベルの後ろを歩いて行く。
しかし、ただただ歩き続けて半日もすると、アシュリーも気づく。
時々すみれ姫が道を外れ森へ入って行くのだ。
しかも、戻ってきたときには討伐証明部位を持っており、それをリュックを持ったリスベルに渡している。
それが何度も何度も行われる。
「ねえ、リスベル。すーちゃん、何しているの?」
アシュリーはついに、気になったことをリスベルに聞いてしまう。
「レーナとミシェルがいるのはわかる?」
「どこにいるのかわからないけど、すーちゃんといるんだよね」
「そうだ。その二人が森に入って魔物を討伐している。そして、討伐した魔物の討伐証明部位の切り出しまでしている。すーちゃんは、それを拾ってくるだけだ」
そう。
レーナとミシェルは探査魔法を広げ、魔物を見つけてはぽよぽよと森に入り、アイスランスなり風の刃なりを撃ちこんで討伐してしまう。
そして、風の刃を使ってサクッとツノなりの討伐証明部位を切り取る。
ついて来たすみれ姫はそれを拾って戻っている。
それだけのことをすみれ姫達がしているのだ。
「……冒険者って、こんなに簡単に魔物討伐をするの?」
「そんなわけない。あの三人だからできるんだ。そもそも、魔物はレーナとミシェルを探知できていない。つまり、気づかないうちに打ち取られているんだ」
「チート?」
「姫の使う言葉ではないが、その通りだ」
「私達、出番ないじゃない」
「……まったくだ。存在意義がない。しかも、食事はするし、服は必要。さらには、〇こもすると」
「……足手まとい?」
「言葉にしないでほしい。せめて荷物持ちと」
三人の精霊と二人はその日のうちに洞窟にまでたどり着く。
あまりに順調な足取りだ。
洞窟の近くの森に入っていたすみれ姫がリスベルに声をかけた。
「ちょっと来てほしい。二人のご飯」
そういって、リスベルとアシュリーをつれて、森へ入るすみれ姫。
そこにあったのは、倒されたホーンボア。
「これ、食べる?」
リスベルはため息をつき。
「食べる部分だけ、切り出させてください」
と、肉を切り出した。
「じゃ、後は埋める。これは、角」
と、討伐証明部位もすみれ姫はリスベルに渡す。
洞窟の入口は、野営スポットになっているのか、火を起こした跡がある。
リスベルとアシュリーが木の枝を拾ってきて積み重ね、レーナが火をつけた。
その火でホーンボアの肉をあぶるリスベル。
「すーちゃんも食べます?」
「ん」
食べる必要はないのだが、すみれ姫は、同行する者として、リスベルとアシュリーと同じように食事をとることにした。
ラテとしたように。
「塩コショウを買って来てよかった」
リスベルがつぶやく。
「ほんと。味付けなしじゃちょっとね」
姫様アシュリーが同意する。
すみれ姫は無言で食べるだけだが。
食後、早々に休むこととする。
すみれ姫はすでに寝息を立てているのだ。
「あの、レーナ様、ミシェル様、私が警戒しておきますので、お休みいただいても」
すでにすみれ姫が寝てしまったため、レーナは言葉を伝えるすべが……。
レーナは枝を使って砂に字を書く。簡潔に。
『寝ろ』
「は、はい。申し訳……ありがとうございます」
「レーナ様、ミシェル様、お願いがございます」
リスベルはお礼を言って、寝ようとするが、アシュリーが声を上げる。
「クリーンウォッシュの魔法を、ぜひとも」
リスベルもアシュリーも一日歩いて汗をかいている。
リスベルはキザクラ商会衣装だが、アシュリーは姫様仕様だ。
(私達精霊だから気にしてなかったけど、やっぱりきれいにしたいんだよね)
(そうよね。その気持ち悪さ、わかるわ)
(どうする?)
(……)
(……)
レーナは土魔法を使い、地面に直径二メートルほどの穴を掘る。
リスベルとアシュリーがその光景を目で追う。
何をしているんだと。
レーナが作った穴に、レーナとミシェルが共同でお湯を張って行く。
「もしかして、お風呂?」
アシュリーは、レーナとミシェルが何を作っているか理解し、服を脱ごうとする。
(あ、ちょっと)
レーナは、ここには他に誰もいないことはわかっていても、全裸になろうとする姫様に焦る。
(仕方ない)
と、さらに土魔法で、レーナはお風呂を囲うように壁を作った。
レーナとミシェルは、壁の中で自身をさらし、光を灯す。
サブーン!
アシュリーがお風呂に飛び込む。
「ああ、こんなところでお風呂に入れるなんて。リスベルも入ろう」
リスベルは入っていいのかどうか悩みつつ、光を発しているレーナとミシェルを見る。
二人は、縦に揺れて了承する。
リスベルも、そそくさと服を脱いで、風呂に浸かった。
「「はぁー」」
二人は安堵のため息をついた。




