表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

46/56

神様はなんだってお見通し

 そうこうしていると、ギルマスギムロとセリーヌが帰ってきた。

 なぜかギムロのほほに手形がついているが。


「お、神様。待っていてくれたのか。すまなかった。セリーヌが飛び出してしまったらしいからな」

「ご、ごめんなさい。冒険者カードを渡してから飛び出すべきでした」

「いや、待っていてくれてよかった。ちょっと、部屋まで来てくれ。セリーヌは冒険者カードを持ってきてくれ。あ、ちょうどいい、チェルシーも」


 ギムロはチェルシーにまで声をかけた。





 ギルマスの部屋のソファにギムロ、チェルシー、そしてすみれ姫が座る。


「まず、これが冒険者カードだ」

「うん。ありがとう」


 すみれ姫が素直に受け取る。


「「……」」


 ギムロとチェルシーがすみれ姫を見つめる。

 何か反応はないのかと。

 その視線に気づくすみれ姫。


「なんだ?」

「あのな、そのカードの色に何かないのか?」


 チェルシーはうんうんと頷いている。

 首をかしげるすみれ姫にギムロが尋ねる。


「なあ、すみれ姫様、冒険者について、何を知っている?」

「街に入るのにお金がかからないこと。魔物を獲ってきたらお金をくれること」

「だよな。何も知らないんだな」

「知っていると」

(すーちゃん、ちょっと教えてもらおう。私も知らないから)


 レーナがちょっとイラっとしたすみれ姫を諭す。


「教えて欲しい」

「はぁ。難しいお年頃なんだな。まあいいや。冒険者というのは、基本的に、人のお願いを聞いてくれる人のことだ。例えば、ギルドでは、魔物を倒して欲しいし、その素材や肉が欲しい。だから冒険者にお願いして討伐してきてもらう。つまり、冒険者が魔物を倒してくれたら、肉を持って来てきたらギルドはお金を払う。そういうことだ。だが、お願いは、魔物に関することだけじゃないし、お願いをするのもギルドだけじゃない。それで、お願いを達成したら、お金をもらえるんだ」

((「ふんふん」))

「どんなお願い事があるのかは、ギルドの人間に聞いてくれ」

「わかった。お金が欲しいときはお願いを聞けばいいのだな」

「ああ、できる依頼だけでいい。無理をするな。それでだ」


 ギムロはすみれ姫のカードを指さす。


「そのカードだが、銀色に輝いているだろう」

「……それが?」

「その色は、すみれ姫様がプラチナランクの冒険者であることを示している」

「プラチナ? ランク?」


 ギムロは説明がめんどくさくなってきた。


「ようは、すごい冒険者ってことだ」

「すごい……。私、すごい?」

「神様って呼ばれるくらいにはな」


 ギムロはため息を一つつく。


「それで、これから旅に出るんだろう?」

「うん」

「お金が必要だろう?」

「うん」

「セリーヌ」


 ギムロはセリーヌからお金の入った袋を受け取り、それをすみれ姫の前に置く。


「これは、リズとチェルシーの傷を治してくれた礼と、今回の奴隷商会の件の礼だ」

「これ、何?」

「お金が入っている」

「もらっていいのか」

「ああ」

「でも、お願いをされていない。お願いを聞いてお金をもらうのが冒険者と言った」

「お礼だと言っただろう。依頼に対する報酬じゃない。感謝の気持ちだ」

「もらっていいのか?」

((いいんじゃない?))

「ではもらう」


 すみれ姫はそこそこお金の入った袋を受け取り、それを胸元に入れた。

 よって、着物の胸が片方だけ、ぷっくりする。

 少女の。

 目が点になっているギムロに、パシン! と、セリーヌが張り手をする。

 少女を変な目で見るな、と。


「セリーヌ、冒険者用のカバンがあっただろう。一つ持ってこい」

「はい、ギルマス」


 セリーヌは、革の肩掛けポーチを一つ持ってきた。


「これに入れていけ」

「これももらっていいのか?」

「ああ」


 すみれ姫はポーチにお金の入った袋を入れ、肩にかけた。


(それじゃ、すーちゃん、行こうか)


 レーナがもう用事はないだろうと、すみれ姫に声をかけた。


「それじゃ、行く」

「ああ、気をつけてな」


 すみれ姫は立ち上がり、部屋のドアノブに手をかける。

 そして、そこで何かを思い出したかのように振り返り、ギムロに声をかける。


「ギルマス……」

「なんだ?」

「セリーヌはお前のことが好きなんだな」

「「な!?」」


 ギムロがあっけにとられ、セリーヌが顔を真っ赤にして手をぶんぶん振り、チェルシーが口を押え笑っている。


「な、なんてこと言うんですか、そ、そんなこと……」

「わかるぞ。私は神様ではないがな」


 すみれ姫は部屋を出て行った。


「ギルマス、えっと、あの、ち、違いますからね!」


 セリーヌが真っ赤な顔で言い訳をする。


「セリーヌ、あきらめなって。神様はなんだってお見通しなんだよ」

「チェルシーさんまでー!」

「あははははは」


 チェルシーの笑い声が部屋中に響いた。





 すみれ姫は通りを歩いてとりあえず北の門をめざす。



(おっかね、おっかね、おっかねはとっても大事だよー)

(「っほい!」)

(なっかなかふえないおっかねはね)

(「っほい!」)

(だけどすぐになっくなるよ)

(「っほい!」)

(だかーらどうーかはなれなーいでー、ふーたりーの(「こころのーようにー」))

(でもーねおかねはーまわるのよー、私たち―の(「たーびーのよーうにーーーーー」))



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ