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神様がいた

(行ったね)


 レーナとミシェルが少年少女の背中を見送る。


(うん。後は、逃げるだけだから大丈夫かしら)

(ねえ、冒険者ってあんな感じなの?)

(まだ若かったし、初心者じゃないかしらね)

(それにしてもリア充パーティだったね)

(レーナ、うらやましい?)


 ミシェルがニヤリとレーナに尋ねる。

 つるっとボディでは表情は現れないが。


(ん? 全然。わたし、アイドルだから。恋なんて、歌ったとしても自分はしないの)

(そうなの? 人生つまらないわよ)

(そう言うミシェルは?)

(……さ、先を進みましょう)

(ミシェルー、歌詞の参考になるかもしれないじゃん。教えてよー)

(おいおいねー)

(待ってよ、ミシェルー)

((あははははは))





 二人が移動を開始しようとするが、ミシェルが止まる。


(レーナ、誰か来る)

(誰か?)

(しっ!)


 二人は、木の上にまで上昇し、その様子を見る。

 そこへ、ずんぐりした肌が緑色をした人のような生き物が三匹やってきた。


(あれ、何かしら。人?)

(違うわ。人じゃないわ)

(ゲームの知識なら何?)

(ゲームの知識ならゴブリンね)

(人じゃないの?)

(魔物よ)

(魔物? 魔物だとして、それで、私達、どうするの?)

(どうするのって、あの魔物達、私達に何か関係ある?)

(え? 人類の敵とか、倒すべき相手とか?)

(そうかもしれないけど、私達の敵じゃないんじゃないかしら)

(でも、人間に危害を加えるかもよ?)

(加えるでしょうね。でも、逆もあるわ)

(どういうこと?)

(ゴブリンも生きているのよ。子供を産んで、育てて、家族を持って)

(……)

(だから、放置でいいと思うわ)

(あ、あの子たちが倒したホーンラビットを持って行った)

(私達が倒したホーンウルフもね)

(ごみの処理をしてもらっちゃった感じ?)

(私達が放置したから寄って来たのかもしれないけどね)

(そっか。今日の晩御飯にするのかな?)

(家族で食べるのかもね)

(だといいわね)


 そんなゴブリン達が獲物を持って森の奥へと帰って行くのを見守ったレーナとミシェルだった。





 その後、さらに森を東の奥へと進むレーナとミシェル。


(あ、あれは何?)


 レーナが聞いてミシェルが答える、そいういう流れが出来ていく。


(ボアね。ツノがあるからホーンボアかしら)

(あれは?

(ホーンベアね)

(あの豚のお化けみたいのは?)

(オークよ、きっと)

(あ、あれ知ってる。鬼でしょ?)

(オーガよ)

(みんなこの世界で生きているんだね)

(そうよ。食物連鎖だったり、利用したりされたりかしら……)


 ミシェルが黙る。


(あれ、ミシェルどうしたの?)

(うん。ゲームだったり、さっきの冒険者もだけど、魔物って、倒す対象だけど、精霊になってみると、食べるわけでもないし、襲われるわけでもないし、これでいいのかしら)

(どういうこと?)

(冒険者ってたぶん、魔物を倒すことで、経験を得て強くなるわけでしょ。要は、成長する。ゲームだってそう。モンスターを倒して経験値を得てる。だけど、私達、特に倒す必要がないじゃない? だったら、私達はどうやって成長するのかしら)

(魔物を倒す必要もないだろうけど、成長をする必要がない。だから精霊は階位が上がりづらいとか?)

(うーん。でも、そもそも論として、低位や中位の精霊はそんなことを考えないのよね、そう言えば。でも、積極的に魔物を倒してみる? 経験値が上がるかもよ?)

(でも、倒しても私達、食べないし、使わないし、ただの自然破壊だよ?)

(そうなのよね)


 あれ、と、ミシェルが気づく。


(さっき、ホーンウルフを倒したじゃない。レーナ)

(うん。アイスランスでね)

(何か変わった?)

(???)

(何か音楽が鳴ったとか、経験値が入ったという声が聞こえたとか)

(全く?)

(本当に、どうしたら……まずは中位精霊になれるのかしら)





 森の近くの街の冒険者ギルド。


 ドタドタドタ


「あら、ダンじゃない、慌ててどうしたの、それに、リズは?」


 慌てて走ってくる少年冒険者、ダンに話しかけるギルドの受付嬢。


「お姉さん、お姉さん、神様がいた。神様!」

「何を言っているの?」


 受付嬢は首をかしげる。

 神様? なんて非現実的な。


「さっき、薬草採取に北の森に行ってきたんだ!」


 あ、と、ダンと呼ばれた少年が自分の失言に口を押さえる。

 受付嬢はそんなダンの失言を聞き逃さない。


「こら、カッパーランクが北の森に入っちゃダメだって言ったわよね。薬草採取は川沿いの野原にしなさいって」

「え、えっと、ごめんなさい?」

「何で疑問形かな。危ないんだからね。で、その背負っているリズはなに? 疲れて寝ちゃったの?」


 受付嬢がダンが背負っている少女、リズに気が付く。

 同時に疑問にも思う。なんで背負っているのか、と。


「ち、違うんだ」


 そう言って、ダンはくるっと回って、背負っておるリズの背中を受付嬢に見せた。

 受付嬢は、リズの背を見て驚く。

 そして、慌てて言う。


「その服の破れたの、どうしたの? っていうか、背中を出したまま、ここまで走ってきたの?」


 少女とはいえ、あまり大きく成長していないとはいえ、リズの背中が丸見えだ。

 見せていい物でもない。

 ダンがその指摘に顔を赤くする。


「ちょっと待ってなさい」


 と、受付嬢はポンチョを持って来て、リズごとダンにかぶせた。


「あ、ありがとうございます」

「で、なんで服が破けているのよ。しかも背中」


 受付嬢は疑問に思う。

 盗賊だろうか。

 そう言えば、ダンは何かが出たって言っていた。



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