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ウサギを狙っている冒険者にであった?

(私の心はミントブルー)

(あ、それ!)

(彼の心はチョコブラウン)

(あ、よいしょ!)

(凍ったままーの心のままじゃ、二人の心は(混じらーないーーー))

(あー、だれかとーかーしてー、私ーと彼の、(こ、こ、ろをーーーーーー))

(ミント)(ミント)

(チョコッ)(チョコッ)

((まざあってかなでる、はぁーーーーもにぃーーーーー))





 レーナとミシェルはまた即興で歌を歌いながら街道をぽよぽよと森に向かって移動中だ。


((あははははは))

(だから何で演歌なのって。それにチョコミント。面白いけど)


 美鈴から名前を改めたミシェルが笑いながら問う。


(なんだろう。ちょっとツボにはまっちゃった)


 レーナも笑う。


(演歌歌手を目指すわけじゃないんでしょ?)

(演歌の世界にだってアイドルはいるわよ。あの世界こそ、動きが少ない分、歌のテクニックと、顔や指の先までの表現力が試されるのよ)

(そ、そうなの?)

(正直、テンポも動きも速いほうが、ごまかしがきくんだから)

(レーナ、演歌も習ったの?)

(一通りかじろうと思って、民謡までね。民謡なんて、奥が深すぎて。プロのニシン追分なんて、何度聞いても鳥はだものだよ)

(意外だったわ)

(というわけで、早く実体を手に入れたいから、頑張らないと)

(そうね、頑張ろう)


(ところでミシェル)

(何?)

(私、このみょうちくりんな転生を、歳取ってアイドルやめた後に本として出版して、アニメ化を目指そうと思ったんだけど)

(この世界、アニメあるの?)

(えっと、おいておいて)

(ごめん)

(この絵面がね。私達は誰にも見えていないし、ただただ風景が流れてるだけじゃない。だめよね、これ。アニメ化できないよね)

(むしろ、何とかの車窓よね)

(それはそれで人気でそうだけど……)





(うーん。自然エネもねー、増える気配無いしね。やっぱり、森に入らなきゃダメなんじゃない?)


 相変わらず、ぽよぽよと移動する二人。

 だが、高位精霊がいそうな自然エネルギーの高い森も見つけられない。


(森、どのへんなのかしら。まだ見えてこないけど)

(ミシェル、どうする?)

(どうするとは?)

(ビューンって行っちゃう?)

(魔法? その手を使う? でも、魔法には反動が無いのよ?)


 そう。この世界の魔法には反動がない。

 そのため、後ろ向きに風魔法でも爆発魔法でも放っても、レーナ達が反動で吹き飛ばされることはない。


(竜巻を作ってその中に飛び込んだらどうかしら?)

(ミシェル、無茶苦茶……目が回るに決まってるじゃない)

(そっかー。地道に歩きましょうか)

(はーい)





 二人は、何日もかけていくつかの街を通り過ぎ、そして、川沿いに出る。

 それなりに大きな川が北から南に向かって流れている。


(おおー、川だよ)

(これ、あの山脈の向こうにあるっていう湖から流れてきているのよね)

(なんだか、自然エネルギー増えた気がしない?)

(そうね、そこに森があるってのも影響しているのかもしれないわね)


 街道は川沿いに北へ向かっており、その東側に向かって広く森が広がっている。


(ねえ、ミシェル。どうする? 湖に向かう? それとも、森に入ってみる?)

(うーん。私としては、急がば回れで、このローゼンシュタインの森も回っておきたいんだけれど)

(そうだよね。その森にも高位精霊がいるかもしれないもんね)


 二人は山脈の手前にある森に入ることを決める。





(あるうひー)(あるうひー)

(もりのなっかー)(もりのなっかー)

(ぼうけんしゃーにー)(ぼうけんしゃーにー)

(でああったー)(でああったー)

((うさぎをね、ら、あってーるー、ぼうけんしゃにでああったー))


(レーナ、出会ってないから。あの子ら、超真剣だから)

(出会ったじゃん?)

(そこは出会ったの定義だけど、こっちが見つけて、あっちはこっちを見つけてないわよね。それって、出会ったって言うの?)

(うーん)

(そもそも会うって、お互いに認識しなきゃダメじゃない? 一方的に見ているだけで会ったって言う?)

(そ、そうかもね。じゃあ、この場合は、冒険者を見つけた?)

(そうね。ところで、ほっといて大丈夫かしら)


 冒険者は少年と少女の二人組だった。

 その二人が対峙しているのはホーンラビットただ一匹。

 それでも、二人は真剣そのもの。

 悠長に歌を歌ったり相談したりしているレーナとミシェルとは大違いだ。


(あの魔物……、魔物で合ってる?)


 レーナが兎を魔物と呼ぶことに戸惑う。

 ローゼンシュタインの屋敷では、角の無いホーンラビットやケルベロスを見たが、野生の魔物は初めてだ。


(うん、合ってると思うわ)

(野生のは初めて見るけど、強いのかな?)

(わからないけど、小さいし、きっとモブキャラよね。あれでエリアボスとかだったらびっくりよ)

(あれ、ミシェル、意外とゲームに詳しい?)

(詳しくなんてないわ。ゲームの知識がこの世界に活かされるなんて思わないし)

(あ、兎が動き出す!)



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