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ミサが終わり……

 リーゼロッテとシャルロッテは右へ左へ駆けまわり、大きなアクションで観客の目を引く。

 観客の目を奪うその笑顔とダンスの振り。

 観客の耳を奪う声色と歌唱力。

 二人のすべてが観客の心を奪っていく。

 レーナも美鈴もわかる。

 すべての人の意識を持って行く、このステージのすごさ。

 何より、地球でトップアイドルを目指したレーナとそのレーナを育てていた美鈴の二人がすでにロッテロッテから目を離せない状態だ。


 楽器はどう見てもアコースティック。

 なのに、そのスピード、ノリ、音の圧力。


 それに、ロッテロッテを引き立てる三人のダンサーのダンス。

 そして、ステージを派手やかにするためにまき散らす光りの粒子。


 やっぱり何より、リーゼロッテとシャルロッテの圧倒的存在感。


 こんなステージがあったのか!


 レーナと美鈴は、左右のしらゆきとみゆき、そしてすべての観客のように乗ることはできてはいない。

 ただただ、目を奪われる。

 耳を奪われる。

 意識を奪われる。


 何曲も、何曲も演奏が進み、その都度天使達の衣装も変わり、全観客を魅了し、そして、ステージがまた暗闇に包まれた。


 固まっているレーナと美鈴に気づいたしらゆき。


「最後、二人の圧倒的なステージが来るよ」

「集中して」


 しらゆきとみゆきの言葉を耳にするが、レーナと美鈴はすでに集中しっぱなしである。

 時間も忘れた。


 あ、もう最後なのか?


 暗闇の中でギターがかき鳴らされる。

 そして、ドラム、ベース、ピアノ、マリンバが追従する。


 パァン!


 光が照らしたステージのその真ん中。

 真っ赤なドレスを着たリーゼロッテとシャルロッテ。

 その二人の顔に笑みはない。


「「え?」」


 さっきまでのステージとは全く雰囲気が違う。

 レーナと美鈴はそれに戸惑う。


 曲調はフラメンコ!?


 だが、この世界風にアレンジされている。

 その激しい音楽の一方で、観客は、指を組んで、ただただ二人を見つめている。


 かき鳴らされるギターに合わせ、二人が踊り始める。

 手にしたカスタネットを鳴らしながら。

 くるくると広がるスカート。

 激しくたたきつけられるハイヒールのリズム。

 美しく輝くその金と銀の髪、そして、光る汗。


 歌声はない。

 だが、その動きすべてで人を魅了していく。

 レーナも美鈴も魅了されていく。


 そしてついに、


 ダンダン!


 と、大きな足音と共に、二人がポーズをとって静止した。


 再び暗闇が訪れる。


「「「「「ウォー!」」」」」

「「「「「ロッテロッテ!」」」」」

「「「「「リゼー!」」」」」

「「「「「シャルル!」」」」」


 大きな歓声が上がる。


 ふっと、光に包まれた二人がステージ上に現れた。

 再び大きな翼を背負った白のワンピースを着た二人。

 二人は緑と青の光に包まれ、空へと浮き上がる。


「########」

「########」


 リーゼロッテとシャルロッテが観客に何かを言う。

 そして、会場の上をゆっくりと飛び回り、そして、ふっと消えた。


「「「「「ウォー!」」」」」


 叫び声をあげる人、多数。

 跪いて祈りをささげる人、多数。





 会場全体が照明で照らされる。


「############」


 アナウンスがミサが終了したことを伝えたのであろう。

 観客が少しずつ動き出した。 


 しらゆきとみゆきがレーナと美鈴に声をかける。


「終わっちゃったね」

「どうだった?」

「「……」」


 レーナも美鈴も固まっている。


「レーナ?」

「美鈴?」


 しらゆきとみゆきが二人の名を呼ぶ。


「「ハッ!」」

「あ、気づいた?」

「帰ろうか。そうしないと混むからね」


 しらゆきとみゆきは歩き出す。

 レーナと美鈴はそのあとついて行く。

 何もしゃべらずに。


 二人の様子をみて、しらゆきとみゆきは気づかれないように笑った。





 四人は、ローゼンシュタインの屋敷に戻り、レーナと美鈴があてがわれた部屋へと入った。

 そこで、もう一度しらゆきとみゆきが声をかける。


「レーナ、美鈴、どうだった?」

「え?」


 レーナが声を上げる。

 我に返ったかのように。

 そして、レーナはしらゆきの問いにまくしたてるかのように答えた。


「すごかった。すごかった。失礼だけど、始めはあんな機材でどうするのかと思った。でも、演奏もすごかった。何より、なにあの二人。すごすぎ。言葉はわからなかったけど、その歌声、歌唱力、ダンス、表情、すべてがすごかった。すごいアイドルだった」


 レーナは大興奮だ。


「確かにすごかったわ。私もあんなアイドル見たことない。レーナには悪いけど、あの二人はすごい。っていうか何? まさに天使だったけど。言うなれば神様みたい」

「「あはははは」」


 しらゆきとみゆきが笑う。


「そうよ。あの二人は、神様として崇められているわ。ロッテロッテ教ってね」

「ねえねえ、あの光の粒子は何?」


 レーナの疑問に答えるのは……


 コンコンコン


 突然、部屋の扉がノックされた。

 しらゆきとみゆきは誰が来たのかわかっているのだろう。

 無言で立ち上がり、ドアを開けた。


 部屋に入って来たのはリーゼロッテとシャルロッテ、そして、れーちゃん、ドライア、ディーネだった。


「あれは精霊だ」


 ドア越しにレーナの質問を聞いていたのだろう。

 リーゼロッテが答えた。



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