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新・『精霊様とお姫様』

 それを聞いたすみれ姫が疑問に思ったことを率直に尋ねた。


「カタリナ。中がフリフリってどういうことだ?」


 真っ赤な顔をしたカタリナが、視線だけをすみれ姫に移す。

 返事をしない、できないカタリナにすみれ姫が要求する。


「見せて見ろ」


 ぼふん!


 カタリナの顔がさらに赤くなる。

 しかも、すみれ姫は気づいてしまう。

 すみれ姫は頭が回るようになったのだ。


「フリフリだってことは、フリフリじゃない物もあるのだな? シフォン、トルテ、見せて見ろ」


 ぼふんぼふん!


「わ、私、今日フリフリだから、カタリナ様と同じだから、カタリナ様に見せてもらってー」

「あ、ずるい!」


 シフォンの逃げに、カタリナが批判する。


「そうですシフォン、ずるいです。私はフリフリじゃないですー」


 どうやら、今日はフリフリではないのはこの三人ではトルテだけらしい。

 さらにそこでカタリナがすみれ姫に対して反撃に出る。


「そ、そう言うすみれ姫様は、その変わった服、ワンピースのような服の下には、何を履かれているのですか?」

「ん? 履く?」


 すみれ姫は少しばかり履くものについて考え、答える。


「何も履いていないぞ」


 ぼふんぼふんぼふん!


「な、なにもですか!」


 カタリナはリスベルとアシュリーの膝の上にいるであろうレーナとミシェルに視線を送り、


「レーナ様、ミシェル様、いったい今まで何を教えてきたのですか。いくら精霊様とはいえ、少女体型とはいえ」


 と、詰め寄る。


((あはははは……))


 苦笑いしかできない二人。

 そんなことを言われても、気にしたこともなかったのだ。

 だが、レーナとミシェルの苦笑いは伝わらない。

 一応、『苦笑』と紙に書いて意思表示をしておく。


「わかりました。それではみんなでキザクラ商会へ行きましょう。フリフリを買いに」


 カタリナが立ち上がった。

 履いている物をみせるのではなく、実際にそのものを買いに行くことにしたらしい。


(あ、待って! って、すーちゃん止めて)

「待ってくれ。って、レーナが」


 カタリナが立ち止まり振り返る。

 シフォンもトルテも。


 レーナがペンを動かす。


『一緒に来てくれるって言ってくれて、同じパーティメンバーになってくれるって言ってくれてうれしかった。ありがとう。だけど、お願いがあるの。すーちゃんはすーちゃん。私はレーナ、ミシェルはミシェルって、様をつけてほしくない。同じパーティメンバーだから。だから、カタリナもカタリナでいい?』

「いいわ。それで」


 カタリナは続ける。


「いいわね、シフォン、トルテ。私のことは、カタリナと呼び捨てなさい」

「「……はい。カタリナ」」

「ん。よろしい」

「リスベルとアシュリーもいいか」


 すみれ姫が念押しをする。


「「はい。すーちゃん」」

『それと、敬語もなしで』


 全員がうなずいた。


『それじゃ、フリフリを買いに行きましょう』

「「「「「「おー!」」」」」」 





 冒険者ギルドでは、黒薔薇騎士団の団服を着ているカタリナ達がプラチナランクを当然の様に(脅して)ゲットし、冒険者パーティ精霊様とお姫様はプラチナランクパーティへと昇格した。

 ゴールドランクのリスベルとシルバーランクにしてもらったばかりのアシュリーは、そろってプラチナランクへの昇格を辞退した。





 キザクラ商会ではこれまたいろいろあった。

 まず、刺されて穴の開いたすみれ姫とカタリナの団服の修繕に三日かかることになった。

 かなり特殊な生地らしい。

 次いでフリフリの服であるが、パーティドレスは勘弁してと、何とかカタリナを皆で抑えた。

 それから、リスベルもその体型を活かしたスマートな服をと望んだが、お姫様とは何ぞや、という討論に発展し、リスベルは折れた。

 シフォンとトルテも、リスベル同様だ。

 で、代替案としてメイド服……。

 しかしこれは黒薔薇で採用済みで二番煎じならまだしも、真似をしたとは言われたくない。

 となると、これを改良したところでゴスロリもしくはクラロリ、さらにはレーナが書き出したアイドル服などが候補となり……。

 これまた商品開発に時間がかかるということで悩みだし、さらにリスベル達エルフ組が何とかシンプルなものに調整し、結局のところ、少々落ち着いたシンプルな感じの、襟付きネクタイのワンピース、裾にフリフリがついた長いスカートの学生服風クラシックロリータに落ち着いた。

 どのみち団服で下は見えないと、エルフ組はあきらめた。

 まあ、ある意味姫様仕様だし、フリフリだし、ということで、アシュリーはこの学生服風の制服を着られることを喜んでいた。

 ただし、すみれ姫は着物を譲らなかった。

 ずっと着物を着てきたからと。


 さらに問題が起こったのは、すみれ姫のパンツ。


「何も履いていないというのはどうかと」


 というカタリナに対し、


「ラインが崩れる」


 と、かたくなにパンツを拒否するすみれ姫。


 結局すみれ姫が妥協したのは「T」。


「少女が、少女がそれか……」


 というカタリナのつぶやき。

 というか嘆き。

 しかし、このメンバーで一番の、圧倒的年長はすみれ姫である。

 しかもパーティリーダーだ。

 履かせただけでも良しとした。

 ペチパンツもその上から履かせたかったが、すみれ姫は格闘をしないし、着物はさほど裾が広がらないし、空を飛ぶときは注意をするとして、これも良しとした。





 気がつけば夕刻。

 キザクラ商会ではかなり長い打ち合わせとなった。

 満足してにこやかなのはカタリナとアシュリー。

 その他はぐったりしている。


 すみれ姫達は宿を取っているため、一応お世話になったカッツェリアの屋敷にお礼を言って、宿に戻ろうとした。

 しかし、バサラに呼び止められ、夕食を、となった。

 食事を出してくれるのであればありがたいと、この日の夕食は甘えることにした。

 皆、疲れているのだ。




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