レーナとミシェル VS 悪魔ベルド
レーナとミシェルが街を一周し、街の上空のバッタをすべて地上に落としたころ。
(あ、みんな建物から出て来ちゃった)
(ほんとね。プチプチ潰してているのはいいけれど、もう、雷魔法は危ないわよね)
(うん。どうしようか)
(街の外に行く? そっちはまだ雨降らせてないし)
(そっちは……雨じゃなくていいよね)
と、レーナとミシェルは、街の外へ向かってぽよぽよと移動していく。
街の外では、未だ無数のバッタが地面を、そして、空を覆っていた。
街に入りたくても雨で入れないかのように、城の周りにおびただしく集まって行く。
レーナとミシェルは城門の上に降りてみる。
(ここから狙ってみようかな)
(そうね。森は燃やしちゃダメだから……)
((ファイアトルネード!))
レーナとミシェルが城門から西に向かって二人で一つの大きな炎の竜巻を生み出した。
ゴォーーーーーー!
その大きさは、昨日までカタリナの前に出していたものより幅広だ。
しかも、カタリナと一緒に動かさなくていい分、高速で、レーナ達の意思で移動させられる。
まるでロボット掃除機のように右へ左へと自在に移動して行くファイアトルネード。
地面のバッタも空のバッタも皆、ファイアトルネードに巻き込まれて焼かれていく。
街の中は、バッタにはもう襲われないことを理解した住人たちが総出でバッタをつぶし始めた。
それを見て、すみれ姫やカタリナたちは、少し落ち着く。
街の人たちに任せても大丈夫かと。
そんな時に、巨大なファイアサイクロンが街の外で立ち上がった。
すみれ姫はレーナとミシェルの魔法だと判断し、二人の下へと走り出す。
カタリナ達もすみれ姫に続く。
まだ街の外にはバッタがいるのだ。
だからこそファイアトルネードが立ち上っている。
しかし、レーナ達に近づくのはすみれ姫達だけではなかった。
「僕のバッタ達が、僕のバッタ達がこうも簡単に……。あの雨も雷も、魔法だというのか!? しかも、あの炎の竜巻……。昨日よりも大きい。まさか、あれがシモン隊長を焼いた炎? ということは、シモン隊長を焼いた魔導士がここにいる。シモン隊長が探している魔導士がここにいる!」
そう言って、ベルドは空を飛びながら街に近づいて来た。
「どうするか。シモン隊長は、手を出すなと言っていたけど。でも、これはチャンスでは? それに、シモン隊長もきっと人族だと油断をしていたに違いない。それに、人族の魔導士など、足の遅い砲台にすぎない。我らの速さをもってすれば……、僕の功績になるのでは?」
その悪魔にレーナとミシェルが気づいた。
(ミシェル、やばいの来た)
(やばい? いーえ、違うわ。ラテの仇がやって来たのよ)
焦るレーナに対し、ミシェルは意外と冷静だ。
(そうだね。ラテの仇を取らなきゃ。でも、バッタをそのままにしておくこともできない)
(どっちが優先かしら?)
(バッタは、後の街でも何とかなるよね)
と言って、レーナとミシェルがファイアサイクロンを消した。
その次の瞬間。
(雷鎚!)
バリバリバリ……!
レーナが雷撃魔法をベルドに向けて落とした。
「うぐっ!」
それに気づいたベルドは翼の推進力を使って急加速で移動をする。
ドォン!
雷鎚は、ベルドをかすめて地面に落ちた。
「どこだ!」
ベルドが雷鎚を発動した魔導士を探そうと、あたりを見回しながら叫ぶ。
しかし、レーナは見えないし言葉を発せない。
ベルドに見つかることは無い。
(あれをよけるかー。そしたら手数で勝負する)
(私もそうしようかしら)
レーナの初撃を見ていたミシェルも攻撃に参加することを決める。
二人同時にベルドに向かって、
((アイスランス!))
と、ベルドにゼロ距離アイスランスが撃ちこまれた。
「グハッ!」
ベルドが体をひねって致命傷を避ける。
(アイスランス、アイスランス、アイスランス!……)
(アイスランス、アイスランス、アイスランス!……)
ベルドは高速で移動しながら、アイスランスをよけ続ける。
「クッ、術者がどこにいるのかが分かれば!」
そう言いながら、ベルドはアイスランスをよけながら街に近づいてきた。
街の外には魔導士らしい人族はいない。
というより、誰もいない。
(アイスランス、アイスランス、アイスランス!……)
(アイスランス、アイスランス、アイスランス!……)
ついにベルドが剣を取り出す。
カンカンカン……!
ベルドが剣でアイスランスをはじく。
ゼロ距離のアイスランスを。
しかも二人分。
ものすごい速度で剣を振り回すベルド。
(あの悪魔、速い)
(そうね、ゼロ距離のアイスランスをはじくなんて、あの時の悪魔と同等。同じかしら?)
(なんにしても、あの悪魔、街に近づけちゃだめね。街に入られたら街に被害が出ちゃう)
(そうね、大規模魔法も使えなくなるわ。それにアイスランスだって、流れ玉みたいに家やお店に当たっちゃうかもだし)
レーナとミシェルはアイスランスのゼロ距離射撃を街から森方向へと撃ちだすように方向を変えた。
逆にそれがベルドに気づかせる。
「そうかい。僕を街に入らせたくないって? ていうことは、街にいるんだろう!?」
ベルドはスピードを上げ、アイスランスをはじきながら街に近づいて行く。
(ミシェル、来る!)
(ファイアサイクロンで囲う?)
だが、その前に、
ガキン!
金属音が鳴り響き、そして、ベルドの動きが止まった。
ザシュ、ザシュ!
そのベルドをレーナとミシェルのアイスランスがついに捕らえた。
「ぐあっ!」
ベルドに向かって剣が、ラテの剣が飛び込み、それをベルドが剣ではじいたことでベルドのリズムが崩れ、レーナとミシェルのアイスランスがそれぞれベルドの脇腹と右足を深くかすめたのだ。




