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 ♪


 エキシビジョンも無事終わり、バンクーバーオリンピック、フィギュアスケートのすべての日程が終了。

 その後テレビの中継なども終えて、ホテルに戻るなり俺は君崎を呼び出した。

 そう、昨日の「告白」について問いただすためだ。


 ――私ね、あんたのこと好き」


 ――それって、スケーターとしてってこと? それとも」


 演技前の俺を死ぬほどドキドキさせたあの言葉。 

「あのさ」

 その答えを確かめるのは、下手すると、フリーの演技前以上に緊張することだった。

「ほら、昨日のさ、あれ」

「うん?」

「言ったじゃん。フリーの後に答えを聞かせてくれるって」

「ああ」

 君崎は思い出したという風に、ポンと手を打つ。

「それだけど……」

 ごくんと、俺が唾をのむ音が部屋にこだまする。そして、彼女は、


「答えはノー」


 ハッキリとそう言った。

 ま、まじか。

 下手をすると、メダルを逃したと知ったときよりショックかもしれない。もちろん別の質のものなんだけど。

「実をいうと昨日まではイエスだった。だって、あんたは小さいころからずっとあたしの憧れの人だったんだから」

 そんなことを言われると照れてしまう……ところなのだが。どうやら俺は振られてしまったらしいと思うと、本当に胸が苦しい。

「あんたのフリーの演技を見て、気持ちが変わった」

 俺の演技がふがいなかったから……そういうことなのだろうか。と真っ白になった頭の中に嫌な想像が浮かぶ。だけど、彼女の言葉がすぐにはそれを否定する。

「あんたは私にとってずっと憧れの存在だった。でも今は――ライバル。前はあんた<みたいな>スケーターなりたいって思ってた。でも今は、あんた<以上>のスケーターになりたい」

「……なんだよそれ」

 そもそも勝手に告白しておいて、勝手に振るなんてさ。

 ……いやでも。それは仕方がないことなのかもしれない。恋なんかよりスケートが大事。それがたぶんフィギュアスケーターなんだから。

「俺、お前にも負けるつもりはないから」

「望むところ」

 そういった俺たちは微笑みあった。

「それじゃぁさ」

「なに?」

「ソチオリンピックで俺は金メダルを取る。お前も金メダルを取る。その後は、別にノー問題ってことだよね?」

 俺が聞くと、彼女は、

「まぁ――たぶんね」

 そう言って小悪魔な笑みを浮かべた。


 ♪

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