表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/50

40



 ♪


 翌朝。睡眠時間は決して長くはなかったが、しかし思ったよりも気持ちよく目覚めることができた。思いのほか身体が軽かい。

 演技は午後からだったので、まだ寝ることはできたのだが、二度寝をするなんて普段しないことはやめておくことにした。

 少し早めに会場に向かい、ペアのショートプログラムを観戦する。そしてそれが終わった頃、着替えるために控室に向かった。

 控室には、昨日と同様、いやそれ以上にピリピリとした空気が流れていた。やはりトップ選手の多くが、この時点でメダルに届かない状況にあったことも一因だろう。

 あまり居心地のいい空間ではなかったので、俺は着替えた後早々に立ち去った。

 と、廊下に出ると、ちょうど一人の少年が向こうから歩いてきた。、

「白河……」

「やぁ、勝也くん」

 いつもなら俺の身体を触ってくるおふざけタイムなのだが、今日はそれはなかった。代わりに、その瞳でまっすぐ俺を見てくる。

 その綺麗な瞳に、確かな闘志を燃やしている。

「僕はね、ずっと君の背中を追いかけてきた。そしてこの最高の舞台で、ようやく君と戦える」

 きっと彼は心の底から言っているのだろう。でも今では、彼がショート1位。俺は4位。俺が追う立場だ。

「僕が四回転を跳ばないことを、君が良く思っていないことは知ってるよ」

 俺はなんて答えていいのか、分からなかった。

「確かに、今の僕には四回転はない。でも、僕は僕のスケートを磨いてきた」

 それは、分かってる。俺はあえて口にしなかったが、白河のすごさをちゃんと認めている。

「だから、今日は、僕の全力を君にぶつける」

 そう言って、彼は拳を突き出してきた。

 俺は一瞬ためらって、

「……俺もだ。俺の限界を明日の演技で見せつける。そして、金メダルを取る」

 拳を突き返した。


 ♪


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ