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泡雪物語  作者: 稚児嬰児
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サミヅキの難聴

高等学校の入学式を終え、サミヅキは新しい自身のクラスへ向かった。建物の殆どが木製であることが有名な校舎の階段は、それに似つかわしくきいきいと呻く。しかし、不思議と木目は艶やかさを帯びてゐた。


しゃりん、と背後に何かが落ちた。幾段かしたをみやると、鈍く光るものが落ちてゐる。


鈴だ。ごく普通の大きさをして、なめらかな、絹のような質の薄いみづいろのりぼんが付属している。手を伸ばして拾おうとする。突然、鈴が小刻みに動き、しゃりん、と強く震え、踊り場に落ちた。


サミヅキはまた鈴へ手を伸ばす。細白い指先から肘の少し先までが、内側から湧き出た真っ白な花冠となり、階段はしろに染まった。


「キミノ耳ハ僕二愛サレテイルンヂャナイカナ。」


上の階に、きめ細やかな羽毛を集めたような、肌も髪も真っ白な、メレンゲのような軽さをもつ少年が、ゐた。


「ホラ、モウ大丈夫。」


少年は走ってきえた。サミヅキの腕は元に戻ってゐた。そして、手のひらには燻し銀に耀く鈴がゐた。

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