遠からずとも当たらずなんだよなあ
私たち5人はすぐ玉座の裏の土地に行き、王宮の呪いを解いた。ティースタが用意した術式に私が魔力を流すだけでいい、すぐ済んだ。
晩餐会が解散したので、5人で車に揺られて郊外の家まで帰る。サーボが「こんな時に言うことじゃないんだけどさあ」とぼやいた。
「晩餐会であんまり食べられなかったから、俺、腹減ったよ……」
皆、思わず吹き出してしまった。サーボ、一番若いもんね、そりゃお腹すくわ。
ティースタがおずおずと言った。
「家にパンとチーズの買い置きがあるよ、小腹ふさぎにはなるよ」
「うん、帰ったら食べる」
フィーユが好意的に笑いながら言った。
「私のクッキーも出すわ! 私もお腹すいたもん、一緒に食べよう」
クラレンドが言った。
「ムルーターがまた来るかもしれないが、何をするにも腹ごしらえが大事だ。帰ったら皆で軽く食事にしよう。千春氏も」
クラレンドが私を見るので、私は「ご相伴に預かります」と返した。
で、帰って晴れ着を着替えて、パンとチーズとクッキーを出して、サーボが入れたペパーミントティーと一緒に軽食にしたのだが、食べている途中、空間に裂け目ができてジークレフが姿を現した。
「こちらの首都に大きな魔力を感じたが、何かあったか?」
私は返事した。
「ムルーターの霊が出ました」
「なんだと!?」
皆でかくかくしかじかを話す。ジークレフは、考えてから言った。
「そこまでのダメージなら、ムルーターはしばらくは動けないだろう。この隙に、サマセットと魔国の呪いをできるだけ解いていくしかない」
クラレンドは頷き、ジークレフに聞いた。
「しばらくと言っても、どれくらいの期間だろうか?」
「2、3カ月……長くて半年程度だろうが、正確には分からない。しかし、数日や数週間では回復できないはずだ」
「わかった」
クラレンドは私たちを見た。
「明日から、また解呪で飛び回ろう。サマセットの呪いがなくなったら、次は魔国だ」
私たちは全員頷いた。
で、ジークレフは去り、私たちはシャワー浴びて寝る支度に入ったのだが、私が自室に引っ込む前にクラレンドがこんな事を言った。
「今日は、かばってくれてありがとう。改めて礼を言う」
「いえ、とっさに体が動いただけですから」
クラレンドは微笑み、「日本人は皆そうなのかな」と言った。
「日本人?」
「千春氏のとっさの判断は、センにそっくりだったよ。謙虚なのも同じだ。日本人は、皆そうなのかと思ってね」
「…………」
いや……うん……日本人の傾向として謙虚なのはあると思うが……私がセンなんだよなあ!
私は、「まあ、日本人は謙虚な人が多いかもしれません」と答えてごまかした。ごめんクラレンド! ずっとごまかされててくれ!




