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私が勇者だったって絶対バレちゃいけないんですけど  作者: zingibercolor
2章

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30/33

まあ容姿は説得力あるけどね

 シンブリー家にて。

 クラレンドの父親は、きちんと着飾らせたクラレンドを見て驚き、予想に反して目を潤ませた。


「すまなかった……こんな美人だったのに……男をやらせて……」


 クラレンドも私たちも拍子抜けしたが、とりあえず大丈夫そうである。

 クラレンドは父親に語りかけた。


「美人にしてくれたのは千春氏です、父上」


 クラレンドは手で私を指し示し、私は謙虚に答える。


「大したことはしていません」

「これが大したことでなかったら、世界に大したことは何も無い」

「大げさですよ、クラレンド様」


 ただ、私はちょっとクラレンド父にイラッとしたのでこう言い添えた。


「1つ言わせていただくなら、不美人の女も人間であり、軽んじて扱われるいわれはないということですね」


 クラレンドはハッとしたようだったが、クラレンド父はクラレンドに見とれてあんまり聞いてなかった。

 その後みんなで食事会に招待され、食事の席でクラレンドはしきりに父親に話しかけられていた。


「お前、結婚に興味はないのか、女としてなら子を生せるんだろう?」

「そうですが、実績のある自立した女性としてサマセットの女の模範となりたいので」

「そんなことを言うな! 確かにお前は年増だしでかいが、いい婿を見つけてやる!」


 サマセットの婚期は15〜25、今年で27のクラレンドは年増と言えばそうだが、そういうことを言うなよカス。予想より子煩悩だったけど理想ではなかったな……。

 でも結婚して妊娠出産もして育児しつつ仕事をする女もいるし、選択の自由は示しておくべきだよな。


「女性の妊娠出産は大変体に負担がかかります。もちろん、その後の育児も大変です。そんな妊娠と出産と育児をやってもいいと思える男性でなければ、結婚はお勧めしません」


 クラレンドは、助かった! という顔をした。


「そ、そう! そういう男性に巡り合っていないので……」


 クラレンド父は「あっ」と何かに得心がいった顔になった。


「勇者だな!? 勇者じゃないとお前はダメなのか!」

「いっ、いや……」


 クラレンドは、褐色の肌でもわかるくらい赤くなった。クラレンド父は「そうか!」とうれしそうだ。


「なんとしても見つけ出せ、私の前につれてきてみせろ、結婚させてやる!」

「そ、そんな……」


 面倒なことになったな……。

 まあ、余所でいい男見つけてそれで諦めてくれよクラレンド、女の私じゃ孕ませてやれないからさ。

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