第21話 継続前提
大輝と、俺は目が合った。
その直後。
スマホが震える。
『大丈夫か?』
大輝からだった。
『大丈夫』
短く返す。
由衣ちゃんも、少し気づいているみたいだった。
不安そうに、こちらを見てくる。
由衣
「体調悪い?」
耳元で、小さく聞いてきた。
陸
「いや、大丈夫」
由衣
「それならいいけど」
そんな話をしていたときだった。
奈央
「皆、別れなさそうじゃない?」
沙耶
「確かにそうだよね」
春香
「そうしたら、また皆で遊べるよね?」
沙耶
「遊べる」
奈央
「くま交換会できるしね」
由衣
「それ、したい」
春香
「でも……続くでしょ」
沙耶
「誠君と春香ちゃんは、結婚しそう」
二人が、同時に赤くなった。
圭介
「お前、そろそろ結婚するの?」
誠
「いや……考えてなくはないんだけどさ」
珍しく、誠が照れていた。
陸
「おめでとうございます」
大輝
「おめでとう。結婚式には呼んでくれ」
圭介
「おめでとうございます。俺もよろしく」
「誠が一番先か」
陸
「それっぽいな」
誠
「結婚式には呼ぶよ」
そう言って、誠が笑った。
春香
「由衣ちゃんたちも来てね」
由衣
「うん。行くよ」
奈央
「私も行く」
沙耶
「呼んでね」
「これから、いっぱい遊ぼうね」
「私たち、仲良くなれそうだし」
四人は、楽しそうに笑っていた。
誠
「俺ら、一緒くらいに結婚するんじゃないか?」
圭介
「ありえるな」
大輝
「その時はよろしく」
陸
「お前らも結婚する気なの?」
圭介
「いや……俺は、もうそろそろなんだ」
大輝
「マジで?」
「俺と陸だけじゃん?」
奈央
「……いいな、皆」
大輝
「え?」
大輝が、少しだけ目を逸らした。
あいつらも、何かあるのか?
俺は、少しだけそう思ってしまった。
……大輝も、俺に何か話したそうだった。
まさか――そんなわけないよな。
あいつに限って。
奈央ちゃんの視線が、大輝へ向いている。
何も問題ないような気がする。
話を聞いていても、普通で。
ちゃんと仲が良さそうだった。
いい彼女だよな。
奈央ちゃんも。
結婚とか――そういうことで悩んでるのか?
その割に……あいつは、少しだけ視線を逸らしている気がした。
別れるとか?
……ないか。
そんなこと考えるな。
さっきも、幸せそうなこと言ってたじゃないか。
大輝も、俺も。
同じように「いい彼女だな」って言われていた。
圭介だって、誠だってな。
誠と圭介は、もう結婚だろう。
二人とも、本当に幸せそうだった。
だから、GWに紹介したいって言ったんだろう。
あの時、言わなかったのは――俺たち二人だったな。
確かに、あの時の俺には彼女がいた。
でも……紹介したいかって言われたら、そこまでじゃなかったんだ。
ちょっと面倒くさかった。
それより、四人でしょうもない話をしていたかった。
きっと――大輝も、そうだったんだろう。
隣で、由衣ちゃんが楽しそうに話をしている。
友達ができて良かった。
……俺の友達の彼女っていうのが、少し微妙だけど。
まあ、それはそれだよな。
そのとき、誠が言った。
誠
「大輝も陸も、別れるなよ」
「いい彼女じゃん?」
圭介
「それな」
「大輝ってチャラそうだけど、結構いいやつだし」
「ちゃんと大切にしてくれると思うから、おすすめだよ」
圭介が、奈央ちゃんへ向かって言った。
奈央
「うん」
その瞬間。
何故か――少しだけ、寂しそうに見えた。
理由は、わからなかったけど。
由衣
「私達も、ずっと一緒だったらいいな」
そう言って、由衣ちゃんが俺の手を握った。
春香
「由衣ちゃんも奈央ちゃんも、彼氏イケメンなんだから手放したらダメだよ」
「勿体ないでしょ」
「性格もよさそうだし」
沙耶
「それな」
「ちゃんと悲しませないようにしてあげてね」
奈央
「大丈夫。大輝は優しいから」
そう言って、奈央ちゃんが笑った。
大輝
「何言ってるんだよ」
由衣ちゃんは、何も答えなかった。
答えられるわけがなかったんだ。
俺の彼女じゃないから。
……ごめんな。
こういう役目で。
その後、女の子たちは楽しそうに四人で連絡先を交換し合っていた。
今回、周囲から見た「このカップル続くでしょ感」がかなり強い回でした。
誠と春香。
圭介と沙耶。
そして、大輝と奈央。
皆それぞれ悩みや不安はあるのに、それでも一緒にいたいと思っている。
そんな中で、陸と由衣だけが“終わる前提”で話を聞いています。
でも周囲から見ると、完全に仲良しカップルなんですよね。
そして今回、少しだけ大輝側の空気も見えてきました。
次回は、帰り道です。
GWも、そろそろ終わります。
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少しずつ距離感が変わっていく二人を、楽しんでいただけたら嬉しいです。
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