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理系で制御オタの俺に彼女ができると思っているのか――GWに連れてくると約束したら、なぜか本物みたいになってきた  作者: ZERO POINT


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20/23

第20話 認識外の感情

 席へ戻ると、圭介たちが誠の彼女について話していた。


圭介

「よく誠みたいなオタに話ついていけるね」


春香

「慣れると別に大丈夫だよ」


誠

「オタクって失礼な。それほどじゃない」


「圭介も十分だろ」


「それに、大輝だって擬態化してるだけで、俺より酷いわ」


大輝

「お前に言われたくないわ」


「服まで制御信号だろうが」


誠

「今日は決めてきたんだ」


大輝

「陸ですら最適化してきたぞ」


「ちゃんとモデル再構築されて、まともな擬態化が完成されている」


「覚醒だ」


誠

「いや、あいつは擬態化できていない」


圭介

「いや、擬態化できてるだろ」


「服が誠と被ってない」


誠

「圭介だって、今日は覚醒している」


圭介

「それは言うな」


 小さく笑いが起きる。


圭介

「でもさ……誠がここまでオタク丸出しだけど、本当に大丈夫なの?」


春香

「オタク丸出しなところが面白いんだよ」


「何言ってるかわからないから」


大輝

「え? そこなの?」


春香

「そうだよ」


「私は由衣ちゃんみたいに頑張れないけど、別にそういう人嫌いじゃないし」


「それはそれでしょ。趣味がそうなだけっていうか」


沙耶

「圭介、正直かなりのオタクなの、もうバレてるから」


「時々、誠君と電話してるときあるけど、そのとき変な言葉喋ってるし」


「意味わからないなとは思ってた」


「謎ゲームも、別に“ふうん”って感じだったし」


「私たち、そうじゃなきゃ彼女やってられないから、大丈夫だよ」


奈央

「ああ……わかるかも、それ」


「まあ、大輝は普通にしてくれてるから、私の場合は何も問題ないけどね」


「そこまで気を遣わなくても、引かないから大丈夫だよ」


大輝

「え? そうなの?」


奈央

「そうだよ」


「由衣ちゃんも、そうでしょ?」


由衣

「別に引かないよ」


「慣れるよね」


春香

「うん」


沙耶

「そこまで心狭くないよね」


 そう言って、女の子たちが笑っている。


 俺達四人は、顔を見合わせた。


 俺たちは、もしかしたら……見えてないものがあったんじゃないか?


 でも――まあ、それは。


 本当の彼女だから。


 好きだから言えるのかもしれないけどな。


 俺は、少しだけ羨ましいと思ってしまった。


 そのとき。


 由衣ちゃんが、そっと手を握った。


 あ……。


 大丈夫だと言われた気がした。


 由衣ちゃんは、味方だった。


 優しいな。


 俺の偽彼女。


 今日だけ、俺も……偽彼氏を頑張る。


 俺も、由衣ちゃんを守らないとな。


***


大輝

「俺もさ……陸じゃないけど、すぐに振られると思ったんだよな」


陸

「え?」


大輝

「だって俺も、それなりだろ?」


「だからさ……」


陸

「確かに、大輝もすぐに振られてるもんな」


大輝

「うるさいな」


誠

「いや、俺ほどじゃないだろ」


圭介

「いや、誠は……最初からできないだろ」


「大輝は、ちゃんと彼女できるタイプだよ」


「見た目だってちゃんとしてるし、色々ちゃんとしてるからな」


誠

「でも、軽そうじゃん」


 図星だった。


大輝

「それを言うな」


奈央

「確かに、最初チャラいって思ったわ」


大輝

「う……チャラいつもりはないんだけど」


由衣

「え? 本当に?」


大輝

「本当にないんだけど」


奈央

「ありえないでしょ」


沙耶

「その顔で?」


春香

「ちゃんと認識したほうがいいと思うよ」


由衣

「ごめんだけど……大学の時、“チャラい男達”って言われてたよ」


「私も、そうだと思ってたし」


「なんか、本当にごめん」


「勘違いしてたかも」


「ちょっと、どうしたらいいかわからなかった」


「ごめん。私、女の子のことばかり話してた小心者だったので」


大輝

「あ……だからあの時」


「いや、いい。そういうことな」


奈央

「何かあったの?」


大輝

「大学同じだったから、ちょっと怖がらせてたのかなって思っただけ」


奈央

「ああ……チャラそうだしね」


「由衣ちゃんも苦手そう」


由衣

「でも、今話してたらいい人だと思った」


 大輝が、少しだけ赤くなった。


奈央

「良かったね。誤解が解けて」


大輝

「ああ。良かったよ」


 大輝の表情を見て、俺は少し揺れた。


 ほんの少しだけ。


 あいつ……由衣ちゃんのこと、好きだったんだよな。


 大学の時から知っていて。


 話しかけていて。


 でも、由衣ちゃんには警戒されていた。


 それでも――今、嬉しそうに笑っている。


 俺は、また由衣ちゃんの手を握った。


 由衣ちゃんは、少しだけ驚いたようにこちらを見た。


 ……何やってるんだよ。


 由衣ちゃんは、偽彼女なのに。


 何、嫉妬してるんだ。


今回は、女子側から見た「オタク男子」の温度感が少し見えてきた回でした。


本人達は「こんなの引かれるだろ……」と思っているのに、意外と彼女側は普通に受け入れていたり。

むしろ「そういうもの」として見ていたり。


でも、陸だけはまだ“偽彼女”だと思っているんですよね。


そして最後。

大輝の表情を見て、ほんの少しだけ嫉妬してしまった陸。


もうだいぶ危ない気がします。


次回もよろしくお願いします。


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