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理系で制御オタの俺に彼女ができると思っているのか――GWに連れてくると約束したら、なぜか本物みたいになってきた  作者: 桐原悠真


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第18話 苦くて、甘かった

 俺は、その後も適当に話をしていた。


 誠の話。

 大輝の話。

 圭介の話。


 皆の話を、ぼんやり聞いていた。


 ――蓋をすると決めたからか。


 ある意味、少しだけすっきりしていたのかもしれない。


 由衣ちゃんは、俺とは別の世界の人だ。


 俺みたいなやつより。

 もっと普通で。

 もっと楽なやつと付き合ったほうがいいに決まってる。


 それに――


 何で俺、付き合える気になってるんだよ。


 偽彼女だろ。


 こんなにいい彼女。


 ……本物なわけ、ない。


 その時――スマホが震えた。


 俺は、画面を見る。


 元カノだった。


 ……は?


 着信拒否したはずだろ。


 どういうことだよ。


 よりによって、こんな時に。


 そのまま、着信は切れた。


 ほっとしたのも束の間。


 また、震える。


 ……出たくない。


由衣「どうしたの?」


 由衣ちゃんが、不思議そうにこちらを見る。


陸「あ……いや。何でもない」


由衣「顔色、悪いよ?」


 由衣ちゃんは少し心配そうだった。


由衣「ちょっと、こっち来て」

「どうしたの?」


陸「いや……変な電話で」

「ちょっと焦っただけ」


由衣「そっか。無理しないでね」

「あとで……話せることがあれば」


 その表情が、少しだけ悲しそうに見えた。


 もう少しで終わる。


 その事実が、胸に突き刺さる。


陸「気を取り直して、戻るか」


由衣「うん。それと……私、これからもずっと陸君の味方だから」


 由衣ちゃんが、そっと俺の手を握った。


陸「おう。ありがとう」


 それは、苦くて――甘かった。


 優しいのも。

 手を握ってくれるのも。


 でもさ……それって、偽彼女だからだろ?


 そういう役目だからだろ?


 そう思いたかったのかもしれない。


 ああ……俺は、この子のことを嫌いになれない。


 多分、ずっと。


 蓮、いい子を紹介しすぎだ。


 俺達は、もう一度席へ戻った。


誠「お前らさ……まさか……二人で席を立って、何か企んでたんじゃないだろうな」


陸「企んでるわけないだろ」


 少し笑った。


陸「そういえばさ……大輝って由衣ちゃんと同じ大学だったんだろ?」

「お前、由衣ちゃんにオタクだってバレてなかったみたいだけど、大学でそういうキャラじゃないの?」


大輝「俺が……お前みたいに制御暴走すると思うか?」


誠「ありえないな。お前は擬態化しすぎだ」


陸「確かに。ぱっと見チャラく見えたんじゃないか?」


大輝「いや、大人しかったはずだが?」


由衣「え? そんなにおとなしくはなかったと思うけど」


大輝「そんなはずはない」


由衣「でも、陸君もおとなしかったんでしょ?」


大輝「いや、こいつは……おとなしいわけないだろ?」

「騒がしいと思うが」


誠「大人しいって顔してないと思うが」


圭介「何かの間違いじゃないか?」


由衣「だって、眼鏡をかけてたらおとなしいって」


誠「本気にしてはいけない」


由衣「え? 1.3倍、眼鏡を外したらうるさくなるんじゃないの?」


誠「それはネタだと思う」


陸「本当だ。ネタじゃない」

「眼鏡をかけると大人しいキャラになっている」

「どう考えても優等生系眼鏡イケメンキャラだろ」


大輝「あれって、本当にネタで言ってただけじゃないのか?」

「完全に制御暴走してたと思うけど」


陸「そんなはずはない。制御暴走は控えめにしていた」


圭介「は? 意味が分からないぞ」

「あの眼鏡かけても『カオスだろ』って言いまくってたやつ、ここにいるだろ」

「フィードバックについて熱く語ってたと思うが」


陸「ちょっとフィードバックや非線形について語っただけだ」

「あれは初歩の初歩だ」


由衣「もしかして……実はあまり変わらないの?」


誠「そこまでは……人間変わらないんじゃないかな」

「だって陸だぞ?」

「それに俺らの前では変わるわけない」


陸「うるさいぞ。由衣ちゃんの前では、ちゃんと最初は制御暴走しないように頑張ってたんだ」

「一応……控えてはいるつもりだけど?」


由衣「これで?」


陸「ああ」


由衣「私が制御暴走するわ」


陸「末期だな。モデル構築しなおした方がいい」


 その時。


 また、スマホが震えた。


 画面には――


『今、少し話せる?』


 元カノの名前が表示されていた。

今回は、陸がかなりぐるぐるしている回でした。


偽彼女だから。

役目だから。


そう思おうとしているのに、

由衣ちゃんが真面目すぎて、

優しすぎて、

どんどん苦しくなっていく感じを書きたかった回です。


でも、そんな空気の中でも、

結局いつもの制御オタ空間に戻っていくのが、

このメンバーらしいなとも思っています。


そして、お知らせです。


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今回のような空気感が好きな方は、

ぜひこちらもよろしくお願いします。


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