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理系で制御オタの俺に彼女ができると思っているのか――GWに連れてくると約束したら、なぜか本物みたいになってきた  作者: 桐原悠真


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第14話 浮いてるのは誰?

「店は……このあたりのはずなんだけど」


 由衣ちゃんと二人で、周囲を見回す。


「ちょっと、わかりにくくない?」


 結果――普通に迷っていた。


 そのとき。


「あの……陸? 何やってるんだよ」


 振り向くと、圭介が立っていた。


「あ……圭介。俺たち、店探してるんだよ」


「まさかお前らも迷ってるのか?」


「そうなんだ」


 圭介が小さく笑う。


「やっぱりな。俺たちもさっき迷った」


 その隣にいた女の子に、視線が移る。


「あ、紹介するな」


「こっちは――俺の彼女の、如月由衣」


「初めまして。よろしくお願いします」


 由衣ちゃんが軽く頭を下げる。


「で、こいつが前田圭介。中学からの友達」


「どうも。前田圭介です」


「それから――」


 圭介が隣を軽く示す。


「俺の彼女の、山本沙耶」


「はじめまして、山本沙耶です。よろしくお願いします」


「如月由衣です。よろしくお願いします」


 自然に、挨拶が重なる。


 沙耶ちゃんは、おとなしくて優しそうな子だった。


「圭介が好きそうだな」


「お前こそ」


「かわいい子じゃん」


 圭介が、にやっと笑う。


「この前会ったときは、かなりやばい格好してたけど――今日は彼女と一緒だから、気合い入れてるのか?」


「お前、俺たちと会うときはいい加減なくせに」


「いや、だってお前らだし」


 肩をすくめて続ける。


「それに、人のこと言えるか? この前ジャージだっただろ」


「……まあ、それは否定できない」


「だろ?」


「俺も人のこと言えないわ」


 二人で、思わず笑った。


「……お前、彼女のときは別バージョンなんだな」


「彼女かわいいからな。別バージョンにしないといけないんだ」


「マジでお前らしいわ。いい加減の極みのくせに」


「いや、お前が言うな。お前こそ俺の友達なんだから、似たようなもんだろ?」


 一拍おいて、肩をすくめる。


「まともなのは――大輝くらいだ」


「それな」


「ここで誠がまともな格好してきたら、ウケるな」


「それな」


「この前もさ、俺ら三人だけヤバかったよな」


「彼女のときだけ、別バージョン」


 二人で、くすっと笑う。


 そのとき。


「圭介君って、いつもそんなに酷いの?」


 沙耶ちゃんが、首をかしげた。


「そんなことないよ」


 圭介が、少し慌てて否定する。


「いや、圭介はいつも格好いいよ」


 俺も、とっさにフォローを入れる。


 一瞬、空気が止まる。


 圭介と、目が合った。


 ――やばい。


 二人同時に、表情が揺れる。


 由衣ちゃんが、静かにそれを見ていた。


 そして――


 似た者同士ってやつなのね。


 そう、悟ったみたいだった。


「圭介はさ、俺が結構だらしないし、家で飲んだりするから――そのままでもいいようにジャージで来るだけだ」


「な?」


「ああ」


「酷いって言っても……大して変わらない」


「な?」


「ああ」


 同じやり取りが、きれいに重なる。


 そのとき。


「きっと……いつも格好いいんだよ」


 由衣ちゃんが、やわらかく言った。


「謙遜してるだけ」


 一瞬、空気が止まる。


「だよね。でも――別にどんな格好でも気にしないよ?」


「ああ……ありがとう」


「あ……誠だ」


 やっぱり――


 誠は、通常運転だった。


「おう。久しぶり」


 誠が手を軽く上げる。


「彼女さんだな? 初めまして。田中誠です。よろしく」


 そのまま隣を示す。


「俺の彼女の、川村春香」


「オフ会で知り合ったんだ」


「川村春香です。初めまして。よろしくお願いします」


 落ち着いた声で、丁寧に頭を下げる。


 ――やっぱり誠は、いつも通りだ。


「で、こいつが前田圭介」


 誠がさらっと指を向ける。


「で……こっちが、多分覚醒した三浦陸」


「おい」


「で、彼女が二人って感じだな」


「雑すぎだろ」


 思わず突っ込むと、誠は気にした様子もない。


 そのとき――


「久しぶりー。お前ら、なんでこんなところにいるわけ?」


 軽い声が割り込んできた。


 振り向くと、大輝だった。


「あ……来た」


 やっぱり、目立つ。


「初めまして。俺、高橋大輝。よろしく」


 にこっと笑って、自然に言う。


「彼女の、村井奈央」


「初めまして。村井奈央です。よろしくお願いします」


 柔らかく会釈する。


 その流れに乗るように、全員が挨拶を交わした。


 由衣は、ふと思った。


 ――このグループ、なんか浮いてない?


***


 由衣は、静かに周囲を見渡した。


 そして、思う。


 ――このグループ、なんか浮いてない?


 高橋君と誠君の対比。

 そして――この前までの陸君。

 おそらく同じ側だった圭介君。


 そこまで考えて、気づく。


 ……あれ?


 ――高橋君だけ、浮いてない?


 視線を向ける。


 改めて見ると、やっぱり違う。


 何故ここに――高橋大輝がいるのか。


 意味が分からないわね。


 ノリも――三人とも似ている。


 たぶん、この三人は昔からの仲良し組なんだろう。


 そこまでは理解できる。


 ――でも。


 そうなると、余計にわからない。


 何故ここに、うちの大学のチャラ男担当がいるのか。


 高橋大輝。


 どう考えても、この空気とは噛み合っていない。


 視線を、そっと横に流す。


 女の子たちも、それぞれ違う。


 沙耶ちゃんは――落ち着いていて、いい子そう。

 春香ちゃんは――少しクセはありそうだけど、悪い印象はない。

 奈央ちゃんは――


 ……まだ、読めない。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


今回は、ついに友人たちとの合流回でした。


陸たちの“いつもの空気”と、由衣の“外からの視点”が混ざることで、

少し不思議なバランスの回になっています。


本人たちは普通だと思っているのに、

外から見るとちょっとズレている――

そんな関係性を楽しんでいただけていたら嬉しいです。


そして、少しずつですが

陸というキャラが“どういう立ち位置だったのか”も見えてきました。


このあと、さらに踏み込んだ話になっていきます。


引き続き、よろしくお願いします。

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