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怖い話_続  作者: 三葉


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10/25

ゴリラのキーホルダーと降りる階

朝から、気が重かった。


琢磨は駅のホームで、スマホを見ていた。


出勤前の人間は、だいたい顔が死んでいる。


その中でも、今の自分はだいぶひどい方だと思った。


会社が倒産したのは、三週間前。


今の職場は、紹介で入ったアルバイトだった。


まだ試用期間。


社員でもない。

安定もしていない。

給料日も遠い。


貯金は少ない。


一人暮らしの家賃は待ってくれない。


そのうえ、先週、彼女と喧嘩別れした。


別れ際に言われた。


「琢磨って、ずっと宙ぶらりんだよね」


その言葉だけが、頭に残っていた。


宙ぶらりん。


否定できなかったのが、一番きつかった。



【LINE】


08:12 詩音

兄ちゃん起きてる?


08:12 琢磨

起きてるよん

もう電車だし


08:13 詩音

えらい


08:13 琢磨

成人男性に言う言葉か〜?


08:14 詩音

今の兄ちゃんには必要


08:14 琢磨

否定できないのが腹立つなァ


08:15 詩音

昼、会社近く行くからご飯食べよ


08:15 琢磨

いいの?


08:16 詩音

慰め会


08:16 琢磨

情けな


08:17 詩音

情けなくても食べるものは食べな



詩音は、こういう時だけ妙に頼りになる。


妹なのに。


いや、妹だからかもしれない。


変に励まさない。

でも、見捨てもしない。


昼に会う約束があるだけで、少しだけ会社へ行ける気がした。


琢磨は駅を出て、会社の入ったビルへ向かった。


六階にある小さな事務所。


今はそこで、データ入力と雑務をしている。


社員証はまだ仮のもの。


プラスチックケースの中に、紙のカードが入っているだけ。


鞄には、ゴリラのキーホルダーがついていた。


詩音が昔、くれたものだ。


丸い顔のゴリラ。


妙に真顔。


腹立つくらい堂々としている。


「兄ちゃん、メンタルだけでもゴリラになれ」


そう言って渡された。


いらないと言いながら、ずっとつけている。


人間、いらないものほど手放せない。

めんどくさい構造でできている。



ビルのエントランスに入る。


自動ドア。

白い床。

受付横の観葉植物。


いつも通りだった。


琢磨はエレベーターに乗った。


他には誰もいない。


ボタンを押す。


六階。


のつもりだった。


その時、スマホが震えた。



【LINE】


08:43 詩音

昼なに食べる?


08:43 琢磨

何でもいい


08:44 詩音

出た

一番困るやつ


08:44 琢磨

じゃあ定食


08:44 詩音

ざっくりすぎる


08:45 琢磨

揚げ物以外


08:45 詩音

胃もメンタルも弱ってるね



画面を見ながら、琢磨はエレベーターを降りた。


ドアが開いたから。


降りた。


それだけだった。


数歩歩いてから、違和感に気づいた。


暗い。


会社の六階は、朝から電気がついている。


誰かしらいる。


電話の音もする。

コピー機の音もする。

誰かの咳払いも聞こえる。


でも、そこは真っ暗だった。


完全な暗闇ではない。


非常灯だけが、ぼんやり廊下を照らしている。


薄い緑色の光。


壁も床も灰色に見える。


琢磨は顔を上げた。


目の前に、階数表示があった。


3F


「……あ」


三階を押していた。


六階じゃなくて。


ただの押し間違い。


そう思った。


二日酔いでもないのに、朝からこれか。


自分で自分にうんざりした。


琢磨は振り返った。


エレベーターのドアは、もう閉まっていた。


上ボタンを押す。


反応しない。


もう一度押す。


光らない。


「なんだよ」


ボタンが壊れているのかと思った。


でも、指先にはちゃんと押した感触がある。


ただ、ランプがつかない。


廊下の奥を見る。


人はいない。


三階って、何の会社が入っていたっけ。


思い出せない。


そもそも、三階で降りたことがない。


スマホを見る。


アンテナは一本。


ビルの中だし、そんなものか。


詩音にLINEした。



【LINE】


08:47 琢磨

間違えて3階で降りた


08:47 詩音

なにしてんの


08:48 琢磨

6階押したつもりだった


08:48 詩音

スマホ見ながら歩くから


08:48 琢磨

母親か


08:49 詩音

妹です


08:49 琢磨

エレベーター来ない


08:50 詩音

階段は?


08:50 琢磨

探す



琢磨は廊下を歩いた。


非常灯だけの廊下は、思ったより長かった。


左右に扉が並んでいる。


けれど、会社名のプレートがない。


普通なら、テナント名が貼ってあるはずだ。


代わりに、白い紙が貼られていた。


一枚目。


保留


二枚目。


仮置き


三枚目。


未決定


琢磨は足を止めた。


「なんだこれ」


紙は新しい。


印刷ではなく、手書きに見えた。


でも、字が妙にきれいすぎる。


人が書いたのに、人の癖がない。


さらに奥の扉には、こう書かれていた。


試用中


胸の奥が、嫌なふうに縮んだ。


試用中。


今の自分のことみたいだった。


気にしすぎだ。


ただの偶然。


琢磨はそう思おうとした。


でも、その奥の扉に貼られた紙を見て、足が止まった。


宙ぶらりん


その文字だけ、少し濡れていた。


黒いインクが下へ滲んでいる。



【LINE】


08:54 琢磨

変な階かも


08:54 詩音

何が?


08:55 琢磨

扉に保留とか仮置きとか書いてある


08:55 詩音

倉庫?


08:56 琢磨

分からん


08:56 琢磨

試用中って書いてる扉もある


08:57 詩音

兄ちゃん


08:57 琢磨

なに


08:58 詩音

戻った方がいいよ


08:58 琢磨

エレベーター来ないんだけど


08:59 詩音

階段探して


08:59 琢磨

探してるけどみなあたらない



送信した直後。


もう一通、詩音から来た。



08:59 詩音

そこは兄ちゃんみたいな人が降りる階だよ



琢磨は、画面を見つめた。


少し遅れて、詩音からまた来た。



09:00 詩音

ごめん

今の私じゃない


09:00 琢磨

は?


09:00 詩音

送ってない


09:01 琢磨

いや表示されてる


09:01 詩音

スクショ送って


09:01 琢磨

スクショ撮れない


09:02 詩音

なんで


09:02 琢磨

画面が暗くなる



実際、スクショを撮ろうとすると、画面が一瞬真っ暗になった。


スマホが古いわけじゃない。


壊れているわけでもない。


なのに、そのメッセージだけを残そうとすると、画面が消える。


琢磨は顔を上げた。


廊下が、さっきより暗い。


非常灯が遠くなっている。


いや、自分が奥へ進みすぎたのか。


戻ろう。


そう思って振り返った。


エレベーターの場所が見えなかった。


さっきまで真っ直ぐ歩いてきただけなのに。


廊下は、いつの間にか曲がっていた。


角なんてなかったはずなのに。


琢磨は喉が乾いた。


「嘘だろ」


声が、廊下に吸われた。


返ってこない。


普通、廊下なら少しは響く。


でも、音が布に吸われるみたいに消える。


スマホが震えた。



【LINE】


09:04 詩音

電話する


09:04 琢磨

待って


09:04 詩音

なんで


09:05 琢磨

音がしたら変なのも来そう


09:05 詩音

変なのって何


09:05 琢磨

分からん


09:06 詩音

兄ちゃん今、深呼吸して


09:06 詩音

ゴリラ持ってる?



ゴリラ。


琢磨は鞄を見た。


ゴリラのキーホルダーは、ちゃんとついていた。


非常灯の緑色の下で、真顔のゴリラが揺れている。


いつもなら間抜けに見える。


でも、その時は妙に安心した。



09:07 琢磨

持ってる


09:07 詩音

それ触って


09:07 琢磨

なんで


09:08 詩音

兄ちゃんがこっちの人間って分かるものだから


09:08 琢磨

雑な呪具みたいに言うな


09:08 詩音

真顔ゴリラを信じろ


09:09 琢磨

頼りなさすぎるって


09:09 詩音

今は頼れ

ゴリラは強いから



琢磨は、ゴリラのキーホルダーを握った。


硬い。


少し冷たい。


でも、ちゃんと手の中にある。


その感触だけが、妙に現実的だった。


会社が倒産したこと。

彼女と別れたこと。

今の仕事が試用期間なこと。


全部、ふわふわしていた。


でも、このゴリラだけは、昔から変わらず鞄についている。


詩音が笑いながら渡してきたことも覚えている。


「メンタルゴリラ計画」


そう言っていた。


馬鹿みたいな思い出だった。


その馬鹿みたいな記憶が、今はありがたかった。


廊下の奥から、音がした。


チン。


エレベーターの到着音。


琢磨は顔を上げた。


暗い廊下のずっと先。


エレベーターの扉があった。


いつの間に。


そこに。


表示はない。


上にも下にも、ランプはついていない。


ただ、扉だけが少し開いている。


中は暗い。



【LINE】


09:12 琢磨

エレベーターあった


09:12 詩音

乗らないで


09:12 琢磨


09:13 詩音

今の私じゃないかもしれないけど

乗らないで


09:13 琢磨

どういうこと


09:13 詩音

兄ちゃんから今LINE来た


09:14 詩音

「もう乗った」って



琢磨は、目の前のエレベーターを見た。


扉の隙間が、少し広がった。


まるで、待っているみたいに。


スマホに、またメッセージが来た。


詩音の名前で。



09:14 詩音

乗れば決まるよ


09:14 詩音

試用中じゃなくなるよ


09:15 詩音

保留じゃなくなるよ


09:15 詩音

どこにも戻らなくていいよ



琢磨の指が震えた。


それは少しだけ、甘い言葉だった。


戻らなくていい。


会社に行かなくていい。

金の心配もしなくていい。

彼女に言われたことも、思い出さなくていい。

何者でもないまま、どこかに置かれていればいい。


そういう誘惑だった。


情けないけれど。


一瞬、楽に見えた。


その時、詩音から本物のメッセージが来た。


なぜか、分かった。


文面が雑だったから。



09:16 詩音

兄ちゃん

そっちの私、文章きれいすぎ


09:16 詩音

私そんな丁寧に誘惑せん


09:17 詩音

戻って


09:17 詩音

昼ご飯食べるって言ったやろ

2人で食べにいこう



琢磨は、息を吐いた。


笑いそうになった。


泣きそうにもなった。


「そうだよな」


昼飯。


たかが昼飯。


でも、約束だった。


戻る理由としては、十分だった。


琢磨はエレベーターには近づかなかった。


ゴリラのキーホルダーを握ったまま、来た道を戻る。


廊下が曲がっている。


でも、歩く。


詩音にLINEを打つ。



【LINE】


09:18 琢磨

昼なに食うんだっけ


09:18 詩音

定食


09:18 琢磨

揚げ物以外


09:19 詩音

そう


09:19 琢磨

味噌汁ついてるやつ


09:19 詩音

弱った兄にやさしいやつ


09:20 琢磨

俺まだそっち戻れる?


09:20 詩音

戻れる


09:20 琢磨

根拠は


09:21 詩音

私が昼ご飯おごるって決めたから


09:21 琢磨

雑だよな、、いつも


09:21 詩音

戻ってこい



廊下の扉が、次々に開き始めた。


中は見えない。


真っ暗だった。


ただ、扉の奥から声がした。


「仮のままでいい」


「保留でいい」


「決めなくていい」


「戻っても苦しい」


「戻っても何もない」


それは、誰かの声ではなかった。


琢磨自身の声に似ていた。


心の底で、ずっと思っていたことだった。


戻っても苦しい。


戻っても金はない。

仕事も不安定。

恋人もいない。

将来も見えない。


なら、ここで止まってもいいんじゃないか。


そんな考えが、足元から絡みつく。


琢磨は、ゴリラを握りしめた。


「いや」


声が出た。


「俺、昼飯食うから」


ひどい台詞だった。


でも、その瞬間。


扉の奥の声が、少しだけ遠ざかった。


スマホが震える。



【LINE】


09:24 詩音

兄ちゃん


09:24 琢磨

なに


09:25 詩音

今から電話する


09:25 琢磨

音が怖いんだけど


09:25 詩音

音じゃなくて振動を頼って


09:26 詩音

バイブ鳴った方に進んで


09:26 詩音

声がしても無視



すぐに着信が来た。


琢磨は電話に出なかった。


ただ、スマホを握った。


ぶー。


ぶー。


手の中で震える。


その振動が、少し右から来ているような気がした。


そんなわけない。


スマホは手の中にある。


それでも、感覚として分かった。


右。


琢磨は右へ曲がった。


そこに通路があった。


さっきまで壁だった場所。


ぶー。


ぶー。


今度は前。


進む。


薄暗い廊下。


扉。


非常灯。


ぶー。


ぶー。


左。


曲がる。


すると、見覚えのある場所に出た。


最初に降りたエレベーターホール。


三階の表示。


閉じたエレベーター。


上ボタン。


琢磨は駆け寄った。


ボタンを押す。


今度は光った。


赤く。


普通の光だった。


こんなに普通の赤いランプで安心する日が来るとは思わなかった。


エレベーターが来るまでの数秒が、異様に長かった。


背後から、声がした。


「保留のままでいいのに」


振り返らなかった。


「仮のままでいいのに」


振り返らない。


「戻っても、また落ちるよ」


振り返らない。


チン。


エレベーターが来た。


ドアが開く。


中は明るかった。


普通のエレベーター。


壁に少し傷があって、床に細かいゴミが落ちている。


現実の雑さだった。


琢磨は乗り込んだ。


六階を押す。


その下に、見覚えのないボタンがあった。



そんなボタン、普通ない。


琢磨は見ないふりをした。


六階のランプがつく。


ドアが閉まる直前。


廊下の奥から、何かが言った。


「次は、決まらない時に」


ドアが閉まった。


エレベーターが動いた。


上へ。


普通に。



六階に着いた。


ドアが開く。


明るい廊下。


コピー機の音。

誰かの話し声。

電話の呼び出し音。


会社だった。


琢磨は、しばらくエレベーターの中から出られなかった。


上司が通りかかって言った。


「琢磨くん? 大丈夫?」


「あ、はい」


「顔色悪いよ」


「ちょっと、エレベーターで酔いました」


雑な嘘だった。


でも、上司は普通に信じた。


「朝から大変だね。無理しないで」


それだけ言って行った。


普通の会話。


普通の会社。


普通の試用期間。


戻ってきた。


琢磨はトイレへ行き、個室に入った。


スマホを見る。


詩音との通話は、不在着信になっていた。


一度も出ていない。


LINEには、さっきのやり取りが残っている。


ただし、変な文面だけが消えていた。


「そこは兄ちゃんみたいな人が降りる階だよ」


「乗れば決まるよ」


「保留じゃなくなるよ」


全部ない。


詩音の本物の言葉だけが残っていた。



【LINE】


09:32 琢磨

戻った


09:32 詩音

よかった


09:33 詩音

ほんまに戻った?


09:33 琢磨

たぶん


09:33 詩音

今どこ


09:34 琢磨

会社のトイレ


09:34 詩音

現実っぽい


09:34 琢磨

判断基準が嫌だね


09:35 詩音

昼、絶対来て


09:35 琢磨

行くよ、かならず


09:35 詩音

ゴリラ持ってきて


09:36 琢磨

なんで


09:36 詩音

生還者確認



昼。


琢磨は詩音と定食屋に行った。


焼き魚定食を頼んだ。


味噌汁がついていた。


詩音は琢磨の鞄についたゴリラのキーホルダーを見て、眉をひそめた。


「これ、こんな傷あったっけ」


「え?」


ゴリラの腹のところに、細い傷がついていた。


白く削れたような傷。


そこに、小さく文字みたいなものが見えた。


琢磨は目を細めた。



そう読めた。


詩音にも見えたらしく、顔をしかめた。


「捨てる?」


琢磨は首を振った。


「いや」


「怖くない?」


「怖いけど」


琢磨はゴリラを指で撫でた。


「これがあったから戻れた気がする」


詩音は少し黙ってから言った。


「じゃあ、次はもっと強そうなやつ買う?」


「ゴリラ以上って何だよ」


「金のゴリラ」


「成金すぎる」


二人は少し笑った。


久しぶりに、ちゃんと笑った気がした。



その日の帰り。


琢磨は、ビルの管理室に寄った。


「三階って、何が入ってるんですか」


管理人は、首をかしげた。


「三階?」


「はい」


「三階は今、空きフロアですよ。改装前で止めてます」


「止めてる?」


「ええ。エレベーターも三階には止まらない設定です」


琢磨は、何も言えなかった。


管理人は、操作盤の資料を見せてくれた。


確かに、三階は停止対象外になっていた。


ボタンを押しても、通常は反応しない。


「今朝、三階で降りたんですけど」


琢磨がそう言うと、管理人は困ったように笑った。


「押し間違いじゃないですか?」


「押し間違いです」


「なら、別の階だったのかもしれませんね」


その言い方が、何気なく怖かった。


別の階。


そう。


たぶん、別の階だった。


三階ではなく。


仮の人が降りる階。



それから、琢磨はエレベーターに乗る時、必ずボタンを確認するようになった。


スマホを見ながら降りない。


三階のボタンは押さない。


いや、押せない。


普通の操作盤には、ちゃんと三階のボタンがある。


でも、たまに朝だけ。


寝不足の日や、仕事の契約更新が近い日。


自分がまた宙ぶらりんになりそうな日に。


六階の下に、もう一つボタンが見える。



指を近づけると、鞄のゴリラが小さく揺れる。


それで我に返る。


琢磨はそのたびに、詩音へLINEを送る。



【LINE】


08:41 琢磨

昼空いてる?


08:42 詩音

また?


08:42 琢磨

いや

確認


08:43 詩音

生存確認?


08:43 琢磨

現実確認


08:44 詩音

今日は無理

でも夜なら電話できる


08:44 琢磨

助かる


08:45 詩音

ゴリラ触っとけ


08:45 琢磨

お守り扱いになってる


08:46 詩音

真顔ゴリラ様やぞ



琢磨は笑って、エレベーターに乗る。


六階を押す。


今度は間違えない。


ドアが閉まる。


上へ動く。


普通に。


ただ、閉まる直前。


鏡の奥に、薄暗い廊下が映ることがある。


そこには、扉が並んでいる。


保留。

仮置き。

未決定。

試用中。


そして一番奥の扉に、まだ湿った字でこう書いてある。


琢磨


琢磨は、それを見ないふりをする。


見ないふりをして、ゴリラのキーホルダーを握る。


戻る場所があるうちは。


呼ばれても、降りない。

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