翔と詩音 part2
「当時みんな地方出身者で、方言交じりでお互いに気を遣いながらしゃべってたよね? それがおもしろおかしくもあり、距離を縮めるきっかけにもなったんだけど、その中で同じ高校出身同士だから、確かにみんなよりあらかじめ距離感が近いのはわかるんだけど、それにしてもどこかそれとは違う雰囲気を2人には感じたんだよなぁ。そしてその違和感は今もなお続いているんだけど」
含みのある言い方だったので、みんなの視線は翔と詩音に向けられた。それは一同もにわかに感じていた違和感であったが、暗黙の了解的に流していた。
「どうなのかな? 翔」
一馬は核心に迫った。動揺を隠せない様子の翔であったが、詩音とアイコンタクトを交わし、少し間を置き、落ち着きを取り戻してから話し始めた。
「うん、そうなんだ。俺たちは高校の時から付き合ってるんだ。そしてそれは今も続いている。黙ってて悪かったと思う。でも、信じて欲しいのは、みんなを欺こうとかそういうのではなくて、俺たちが付き合ってることでみんなに気を遣わせたくないっていうか、うまく説明できないけどそんな感じなんだ」
「納得できないかもだけど、チームの結束力っていうのかな、絆が壊れてしまうことを恐れてのことだったの」
詩音が補足する。
賛否両論あると思うが、その時の2人の気持ちや自分がその立場だったらと考えると、わからなくもない。それを聞いて、結果として2人を咎めよとする者はいなかった。
「それにしても水くさいよな。大地は当然知ってたんだろ?」
亨がいった。大地はバツが悪そうに下を向いたままだ。
「ほんとに悪かった。大地には黙っててくれって俺からお願いしたんだ」
翔は弟の肩を持つようにいった。
「これからは隠し事なしな」
一馬は念を押すようにいった。わかったと翔がいい、詩音もごめんなさいと続けた。
雰囲気が悪くなったのを見て、隼人はいつものようにくしゃくしゃの満面の笑みを浮かべ、一馬に向けてこういった。
「2人は俺らに気を遣って黙ってたっちゅうことやな。騙すつもりやなかったって言ってんやから、わかってあげようや。な?」
「俺は本当の事が知りたかっただけだ。むしろ、そのほうが結束力は高まると思ってたから。ってか今更わかってももう遅いけど」
「そうだな、確かに乙竹のいうとおりだよ。最初からそうすればよかったんだな」
翔は一馬の肩にそっと手を置きながら、謝罪の意を表した。重苦しくなりかけた車内であったが、なんとかそこまでには至らずとどまらせることができた。




