船上パーティー?
手元の腕時計を見ると、針は16時30分を指していた。あと15分ほどで新大阪駅に到着する。7人は各自下車する支度を済ませ、到着を待った。新大阪駅からフェリー乗り場までの道のりはまだ遠い。この後の移動は複雑であるため、会話は自然となくなった。乗船予定時刻は、出発の1時間前の18時05分。慣れない交通手段を乗り継ぎ、フェリー乗り場になんとか時間通りに到着することができた。目の前には乗船予定の船が既に停泊している。
「すみません、皆さん。船の前でみんなで写真撮りたいんですけど、いいっすか?」
みんなに声を掛けた大地は、近くにいた夫婦と思われる男性にスマホを渡し、シャッターをお願いした。
その後、チェックインを済ませ、搭乗口の前の長椅子で、乗船時刻を待った。予定時刻の10分前になると、乗船開始の案内アナウンスが流れ、搭乗口のゲートが開かれた。
「じゃいこうか」
翔が先頭を行き、後に続く6人に声をかけた。彼らはスマホ片手に写真を撮りながら連絡通路を歩いている。大阪と別府をつなぐこの客船は、乗用車150台も運べ、展望の大浴場も備える大型客船である。連絡通路は、レストランフロアである6階と繋がっており、さらに廊下を先に進むと、奥にらせん状の階段が見えた。船内はとても豪華で、まさに動くホテルといった感じだ。その階段の入口に掲示されてあるフロアマップを見ると、7階がメイン客室であることがわかった。7人はらせん階段を上り、7階を目指す。部屋は廊下を挟み両側に位置されており、用意された部屋はジグザグに部屋割りされていた。7人はみんなの部屋番号と夕食の時間を確認しあい、それぞれの部屋で思い思いの時間を過ごした。
数十分後のレストラン、夕食はビュッフェ形式で、約50種類のメニューで構成されている。
「何から食べればいいか迷っちゃうな」
詩音はひとりごちた。7人は席で待っているグループと取りに行くグループの二手にわかれ、全員が揃ったところでようやく食事は開始され、亨が乾杯の音頭をとった。
「えー、そのーまぁなんといいますか…道中いろいろありましたが、この度の旅行の成功と二人の今後を祈念して乾杯したいと思います。それではカンパイ」
「カンパーイ!」
目の前に置かれた食事を頬張りながら、それぞれのスマホをテーブルの上に並べ、明日からの行動内容や利用する交通機関などを確かめあうなどして、話に花を咲かせていた。そんな中、主役の内の1人が浮かない表情をしている。そしてもう一方の主役はというと、もちろんその表情に気付いていないわけはなかった。




