自白
三隅はすぐ隣のフロント内につながる扉を開き、尚斗とともにまた応接室へ戻っていった。
「つい先ほど鑑識から情報が入り、遺体の首に巻かれていた帯の指紋を採取したところ、あなたの指紋が見つかったとのことです。先ほどフロントで確認をとったんですが、あなたはまだ修行中の身で、客室メイクには関わってはいないそうですね?そんななか何故帯からあなたの指紋が?」
三隅は要件を簡潔につきつけた。それを聞いた尚斗は、静かに口を開いた。
「やはり逃げ切れなかったか。布に付着した指紋も採取できるとですね。さすが日本の警察は優秀やけん。そうです、刑事さんが睨んだとおり、僕が翔を殺しました」
尚斗は犯行を認めた。
「何故通報時には自殺と?」
三隅にそう聞かれ、彼は何食わぬ顔で次のようにこたえた。
「好きな人の前で逮捕されたくなかったんです」
「それはつまり・・」
三隅がそういいかけると
「おとです。僕、詩音とは幼馴染なんです。同じ幼稚園に通ってまして。親同士が仲良くて、うちの旅館にも家族で泊まりにきたりもしてました。家族ぐるみの付き合いってやつですね。彼女はその時からかわいくて、子供心ながら好きになっていたんだと思います。卒園の時も、卒園することにではなく、彼女と離れてしまうことに大泣きしたことを覚えてます。その後、小中と別だったんですが、高校で再会したとです。彼女も覚えててくれました。久しぶりに見た彼女は、少女の面影はすっかり消えて、綺麗な女性になってました。見事なまでの変貌ぶりに、またすぐに心を奪われました。僕はバレーボール部に入部したんですが、彼女もマネージャー希望としてそこにいたとです。もうほんと運命って思いましたね。だけど告白は出来ませんでした。兄妹のような感覚っていうか、彼女が僕にそんな気がないってことはわかってましたから。ですが、3年の時に僕の親友と付き合うことになったんです。それが翔です。翔が相手なら敵わないなと、自分の気持ちを表に出さず見守ることにしました。高校を卒業してからの4年間は、二人のことに関しては僕の知らない期間ですが、今日彼女から相談があると話を持ちかけられました。聞いてみたら翔が別れることに応じてくれなくて困っているとの事でした。おとに頼まれ、それならとルームサービスの品を持って翔の部屋を訪れました」




