告白
インターハイに向け作戦を練っていた先ほどまでとは打って変わり、道中沈黙の時間が続いた。
「ちょっと公園寄ってかんね?」
翔はそういうと、返事もろくに聞かないまま歩くスピードを少し速めて公園に入った。公園といってもブランコと木製のベンチがあるだけの小さな公園だ。翔はそのベンチに腰かけ、こっちこっちといったような手つきで隣りを指さしている。詩音は誘導されるがまま翔の隣へと歩いていった。
「なぁに?あんなに確認したのにまだどこかに不安があると?」
そういいながら彼女は翔の隣に座った。
「明日も朝練やろ? なんかあるんやったら早うしてね。女の子は支度に時間かかるとよ」
そういわれた翔は勢いよく立ち上がり、向かいのコンビニにまで届くような大きな声で叫んだ。
「今度の大会で優勝できたら俺と付き合ってください」
突然の告白に詩音は絶句した。
「黙られると逆に恥ずかしいけん、なんか言うてくれや」
沈黙に耐えれなくなった翔が小声でいう。
「あっごめん。突然の事すぎてびっくりしてしもうて」
「そうやな。やけん、俺にとっちゃ突然な事やないんじゃ。ずっと前から今日言うって決めとったけん」
「え? どういうこと?」
「ほら、俺たち同じ部活の仲間やろ? 他のメンバーに気遣われるのイヤやし。でも泣いても笑っても今度の大会が俺たち3年にとっちゃ最後の戦いで、その後はもう引退やけん、告るならこのタイミングしかなかって…」
平静を取り戻しつつあった詩音は、一息ついて話し始めた。
「翔の気持ちばわかったと。少し考える時間くれんかね?」
"もちろん"そうこたえた翔は、その場から離れ振り返ることなく交差点に向かって歩き始めた。その途中で一旦足を止め、詩音を背にしたまま言った。
「返事はいつでもよか。この日がくるまで何日も待ったけん、待つのは慣れとる」
翔はそのまま照れ臭そうに走っていった。
翔の姿は、コンビニから放たれる光に包まれ黒いシルエットとなり、少しずつ小さくなっていく。詩音はその姿が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。




