鑑識の結果
けたたましいサイレンとともに、警察車両数台と救急車が旅館に到着した。現場に駆けつけたのは別府東署の刑事で、人情味のある三隅警部とそのバディを務める荒井田巡査部長の2人だ。三隅は、通報者である尚斗に事情聴取をし、荒井田はその間に部屋や遺体の写真を撮っている。翔の遺体は鑑識によって調べを受けたのちに、ブルーシートにくるまれ救急隊員によって運び出された。
「遺体の名は高山翔です」
荒井田は三隅に報告した。
「何故君がそんなこと知っているのかね?」
当然の疑問である。それに対し、荒井田はこたえた。
「僕は、学生時代バレーボール部だったんです。卒業後もよくネットやSNSで情報を入手するんですが、彼は今日本が注目している選手なんです」
それを聞いて、三隅は単純に思った。(そんな選手が自殺を・・?) と。
数分後、鑑識課の小野寺が調べを終え、三隅のほうへ歩いてきた。手には旅館で使用されている浴衣の帯が握られている。
「通報者からは自殺と伺ったんですよね?」
そうだが・・と三隅は小野寺の右手をチラッと見る。
「現時点ではっきりしたことは言えませんが、これは他殺の可能性も疑った方が良さそうです」
「やはりか?」
「はい。遺体を調べてみたのですが、これを使用したにしても自殺ではこれほどの策状痕は付かないと思います。鍛えられたスポーツ選手の筋肉だと考えると、もちろん100% というわけではありませんが。まずは署に戻り、この帯に付着した指紋を採取してみます」
「わかった、そうしてくれ。結果が出次第連絡を頼む」
小野寺は足早に署へと戻っていった。翔の遺体は警察署に運ばれ、霊安室に安置されることになった。
翌日、何も知らず集合時間にロビーに集まった6人のもとへ女将さんが近づいてきて、昨晩のことについて話しはじめた。
「落ち着いて聞いてね。昨晩あなたたちのお仲間の高山翔様が、部屋で自殺されました」
それを聞いた6人は、茫然自失となりその場から動けなくなった。
「兄貴が?嘘だろ?」
「大地ごめん、私のせいだ。おとといみんなに祝ってもらった夜、私から一方的に別れ話を持ちかけたの。それからの彼の様子変だったもん。それをわかっておきながら放置してた私のせいだ」
「そんな、詩音さんのせいじゃないですよ」
「そうだよ、そんなに自分を責めんなよ」とまわりのメンバーも声をかける。とそこへ、現場を調べ終えた2人の刑事が階段から降りてきた。




