キスマークと新たなキスマーク
いかん。血糖値が下がってきた。
俺はナウシ・・・じゃない、蓮に貰ったチョコを食べた。
委員長が呆れたように言った。
「お前・・・よく呑気にチョコ食ってんなぁ。」
「違いますよ。血糖値が下がってきちゃったから・・・。」
「大丈夫か?千尋。」
高槻先輩が心配そうに聞いてきた。
「委員長。今日は寮に帰って休ませます。」
高槻先輩、おかんか!
そういや過保護やめないって言ってなぁ。
なんてことを考えながら、俺はベアグミを食べた。
ここ数日、カルチャーショックなことが多すぎだ。いくら能天気な俺でも、さすがにストレスだ。
コンビニ袋を漁ったら、キノコの山の小袋が入っていた。
お!俺、キノコ派なんだよね。少数派らしいけど。カリッとしたビスケットとチョコの組み合わせが美味しいし。
ちなみに小林はたけのこ派だ。昔、飲みに行った時に、キノコかたけのこかで1時間くらい議論になって、俺は負けたことがある。
たけのこの里について、なんであんなに知識持ってんだよ。小林は。
ナウシ・・・蓮とは気が合いそうだ。
ベアグミの次は、キノコの山をもくもくと食べる俺を見て
「・・・姫。今日はゆっくり休め。」
委員長が可哀想な子を見る目で言った。
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俺は高槻先輩と一緒に寮に帰った。
1人で帰れるって、いつもなら言うけど、さすがに今日は大人しく高槻先輩について歩いた。
ガチャリとドアを開けて、先に靴を脱いで上がった。高槻先輩は授業があるし
「高槻先輩、ありがとうござ・・・」
振り返った瞬間にぎゅっと抱きしめられた。
「えっ!?」
高槻先輩の唇が、俺の首筋に触れた。
「ーーーッ!」
キツく吸われて、ビクリとした。嫌だ!どうして・・・!?
逃れようと、抱っこを嫌がる猫みたいに体を反らすけど、強く抱きしめられて、高槻先輩の唇が追ってくる。
「嫌だ!い、やだってば・・・なんでっ・・あ。」
ーーーやばい。
ゾクゾクする。これって・・・
俺、ちょっと気持ちよくなってんじゃないか!?
「あ、あ、ちょっと・・・はぁ、う!」
ウォーキングがバレて、押さえつけられたのと同じ場所で、また高槻先輩に押さえつけられている。
しかも、今度は首筋に吸い付かれて。
「や、めろよぉ・・!」
膝がガクガクする。腰が震える。耳の裏がゾクゾクする。
ーーーどうして!?
反応しちゃいそうになった寸前に、高槻先輩の唇が離れた。
俺はずるずると、その場にへたり込んだ。
俺の肩を抱いたまま、高槻先輩も向かい合ってしゃがんだ。
「・・・高槻先輩まで、ペナルティかよ・・・。」
「・・・千尋?」
「あー、はいはい。分かりましたよ。俺が非力なのも、ホモに狙われるって自覚が足りないのも!」
「千・・・」
「うるさい!!もう十分だって!」
ストレスマックスに達した俺はーーーキレた。
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◆高槻視点◆
部屋に入るとき、靴を脱ぐために少し屈み込んだ千尋の首にくっきりとキスマークが見えた。
委員長がふざけて付けたと言う。
風紀室では、いつもの委員長の調子ではぐらかされ、千尋の様子も気になったのでうやむやになったが・・・。
白くて細い千尋の首筋の赤い痕を見ているとーーー胸がムカムカする。
『お前もつけりゃあいいじゃねぇか。』
風紀室での委員長の言葉が蘇った。
「高槻先輩、ありがとうござ・・・!」
考えるより先に腕が伸びていた。
委員長が付けたのとは、反対の首に唇を押し付けた。千尋の体がビクッと震えた。
「嫌だ!い、やだってば・・・なんでっ・・あ。」
千尋の首筋を、きつく吸い上げた。
「あっ!」
千尋がいつもより、少し高い声をあげた。腕を突っ張って逃げようとするのを、抱き寄せ、抱き締め、白い首筋を唇で追った。
「あ、あ・・・いやだ・・ッ!」
腕の中で小刻みに震える華奢な体にたまらなくなる。
「や、めろよぉ・・・」
少し涙声の言葉に、どうにか唇を離す。ずるずると廊下にしゃがみ込んだ。
委員長が付けたのとは反対の首筋に、くっきりと赤い鬱血が付いた。自分でも、なぜこんな真似をしてしまったのか分からない。
けれど、千尋の首筋に自分が付けた痕を見て、何かが満たされた気がした。
「・・・高槻先輩まで、ペナルティかよ・・・。」
俯いた千尋が低い声で言った。
「・・・千尋?」
「あー、はいはい。分かりましたよ。俺が非力なのも、ホモに狙われるって自覚が足りないのも!」
「千・・・」
「うるさい!!もう十分だって!」
ドンっと突き飛ばされた。
「同じ男として、すげぇ情けなくなるんだよ!こんな・・・」
千尋がキュッと唇を噛んだ。
「すまない!俺は・・・」
「謝るくらいならすんな!」
千尋はバタバタと自室に入って、鍵をかける音がした。
ーーー俺は、なにをやってるんだ・・・!?




