キスマークとキスマーク
ナウシカ兄さん・・・じゃなかった。
蓮が悲しそうな顔をしたので「こっそり行く」と言って、メルアド交換して別れた。
はぁっと溜め息を吐く。
美村に高槻先輩に御影委員長にホスト教師・・・着信が鬼のようだ。
授業中サイレントにしたままだったから、気付かなかった。
「うわっ!」
どうしようかな、と考えてる内にまた着信だ。
わたわたと出る。
「は、はい!」
『姫!お前、今どこにいるんだ!?』
委員長だ。すごく焦った声してる。
「えっと、コンビニの近く・・・」
『コンビニの前にいろ。すぐ行く。』
ブツっと切れた。
なんか・・・めっちゃ心配かけちゃったみたいだ。
情けない・・・。
コンビニの前で少し待ってたら、委員長が走ってきた。
「委員長・・・なんで?」
「お前のクラスの美村が知らせに来たんだよ。理科室から戻ってこないし、電話にも出ねぇし。なんかあったんじゃねぇかって。」
「・・・あ。」
委員長の顔は汗ばんでいた。
探してくれてたんだ・・・。
「・・・大丈夫なのか?」
「はい。ごめんなさい。心配かけて・・・。」
委員長は無言で俺を見てたけど、ぐいっと腕を引いて歩き出した。
委員長は歩きながら高槻先輩とホスト教師に、俺を見つけたって電話した。
俺も美村に電話して、心配かけてごめんって謝った。
だから、委員長がじっと俺の首の絆創膏を睨むように見ていたのに気付かなかった。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
俺は風紀室に連れていかれた。
「・・・何があった?」
ソファに座ってすぐ委員長が聞いてきた。
「えっと、理科室に忘れ物取りに行ったら・・会計とエンカウントして・・。」
「1人で行ったのか?」
「だって、すぐだったし・・・でも、ダッシュで逃げたから!」
委員長がじっと俺の目を見てる。
「姫・・・嘘はつくな。」
「嘘なんか・・・。」
「これはどうした?」
委員長の指が首の絆創膏に触れた。
俺は、バッと下がって首を押さえた。
「なんでもない・・・あ!」
ぐるりと視界が反転した。
天井ーーーそして、上から委員長の顔。
ソファに仰向けに倒されてる。
いつもニヤついてるのに、全然笑ってない。
「ぃたっ・・!?」
ベリッと絆創膏をはがされた。
「・・・。」
委員長がじっと俺の首・・・とゆうか会計がつけたキスマークをガン見してる。
ーーーき、気まずい。
多分、委員長は怒ってる。
あんだけ気をつけろって言われたのに、このザマだ。
俺はキュっと唇を噛んだ。
「1人で行動するなと言ったよな?」
「・・・はい。」
「嘘もよくないとも。」
「はい。」
委員長が首筋に顔を寄せてきた。
「ペナルティだ。お姫様。」
「えっ?」
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
一瞬、何が起きたのか分からなかった。
委員長が首筋のキスマークの上から、ちゅっと唇を触れさせてきた。
「ッッ!?」
そのまま、強く吸い付かれる。
「い!!・・や、だッ!!」
ビクンっと体が跳ねた。
遅れて暴れようとして、委員長に押さえつけられた。
大きな手で頭を掴まれて、動けない。
委員長のハリウッド筋肉に敵うはずがない。
勝手に体がビクビクと怯える。
キツく吸われて、また痕がついただろうと分かる。
「は・・ぅ・・。」
委員長が唇を離し、キスマークをベロリと舐め上げた。
自分がつけたキスマークにぴったりと唇を密着させて、クチュクチュと舐められた。
「あぅ!・・やだってば!委員長!!」
ふっと委員長の唇が離れた。
俺は少し息が荒くなっちゃって、ハフハフしながら委員長を見た。
「お仕置きだ。これに懲りたら、俺の言う事はちゃんと聞け。」
いつものニヤっと笑ったドヤ顔で言われた。
俺はハァ~っと脱力した。
「・・・最低。悪ノリしすぎですってば。」
ハハッと笑って委員長が体を起こした。俺も起き上がって、ソファに座りなおした。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
◆御影視点◆
不自然な首筋の絆創膏を剥がす。くっきりとキスマークがついていた。
ーーー難波の奴・・・。
だが、姫にも腹が立つ。あれだけ自覚しろ、気をつけろと言い聞かせたのに、簡単に難波なんかに痕を付けさせやがって。
「ペナルティだ。お姫様。」
・・・体に分からせるか。
「え・・・や、あ!」
キスマークの上から唇を当てて、首筋を強く吸った。
俺の体の下で、華奢な体がビクリと跳ねた。
「い・・やだ・・・ぁ!」
もがく体をやんわり抑え込んだ。頭を抱えて、逃さず吸い上げる。細い腰がビクリと 反った。
「・・・ッ!!」
唇を離して、首筋を見る。さっきよりも、濃く、赤く、白い肌が染まった。
ーーーこれで、俺のマーキングになった。
姫は俺の体の下で、フッフッと短い呼吸を繰り返している。
たまらなくなって、再び唇を吸いつかせた。
ぴったりと密着させて、熱い舌でヌルヌルと舐め回す。
「・・・あ!」
華奢な体がビクビクと震えた。
ーーー感じやすいな・・・。
どうにか引き剥がそうと、両手で押してくるが、力が全然足りていない。
そんな抵抗は男を煽るだけだ。
・・・現に、俺は煽られている。
「い、やだってば・・・ぁあ!委員長!」
ーーーやばい!
俺は首筋から顔を上げて、
「お仕置きだ。これに懲りたら、俺の言う事はちゃんと聞け。」
いつものように笑って言った。
「最悪・・・やりすぎですってば・・。」
タチの悪い冗談だと思ったようで、姫がぐったりと脱力した。
ーーー正直、ヤバかった。
もう少しで、火がつくところだった。
姫の上から退いて、座りなおした。
その時、ノックも無くドアが開き高槻が入ってきた。
+‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥+
◆千尋視点◆
「千尋!!」
高槻先輩が焦った顔で飛び込んできた。
「良かった・・・!」
ソファに座って俺の肩にぎゅっと手を乗せて、はぁ~っと俯いた。
そんなに心配かけちゃってたんだ・・・。俺、大人なのに(脳ミソは)情けない。
「高槻先輩、ごめんなさい。」
「いったいどうし・・・!?これは、どうしたんだ!?」
「えっ?」
「・・・誰がつけた?」
高槻先輩が底冷えのする声音で聞いた。
な、なに!? こ・・怖ぇえ!
ーーーあ!キスマーク。
「あ~。俺だ。」
委員長が「はーい」と挙手して言った。
「委員長!!どうゆうつもりですか!?」
高槻先輩がすごい剣幕で噛み付く。怖え!
え?え?大丈夫?ケンカになったりしない?
「あ、あの・・・。」
「こいつ、ヤリチン会計に追いかけられて逃げてたんだとよ。だから、男避けにつけてやったんだ。御守りだ。御守り。」
「・・・だからといって・・・。」
「お前もつけりゃあいいじゃねえか。」
「なっ!?俺は、そんな・・・!」
高槻先輩が俺を見た。思わずビクッとしてしまう。
「しないから。しないからな、千尋。」
高槻先輩はちょっと赤くなって、目を反らした。てゆうか、当たり前でしょうが!何照れてんの?
「落ち着け。暴走すんなよ。高槻。」
「!」
ーーーあ。もしかして。
会計がつけたって知ったら、高槻先輩は会計を殴りに行きそうだ。
ウォーキングがバレた時もだけど、高槻先輩が怒ると、ガチで怖いし、実力行使で来る。ヤンチャな生徒に罰ゲームキックとかやってるし。
ワザと委員長がつけたって言ったのかな?
委員長を見ると、ニヤッと笑われた。
でも、だったら嘘吐くだけでよくね?
ほんとにキスマークつける必要ないじゃないか。
いくら嘘が嫌いだからって・・・俺はモヤモヤしながら、2人のやりとりを見てた。




