千尋と童貞くん狩り
ーーー放課後。
ドーベルマン委員長に風紀室に来いって言われてたので、俺は美村達と別れて風紀室へ向かった。
帰りも両手に風紀らしい。
気にしすぎだと思うけどなぁ。男なんか襲うか?ホモビデオじゃあるまいし。
・・・面倒くさいなぁ。
コンコンとノックして
「有栖川です。失礼します。」
もはや勝手知ったる風紀室で、ガチャリとドアを開けて入った。
「おお。お姫様。」
「姫って言うな。」
ドーベルマン委員長が俺を見て笑った。風紀室には委員長一人だった。
「いい加減、有栖川って呼んでくださ・・・!?」
俺は言いかけて、ギョッとした。
応接セットのテーブルの上に・・・
エロDVDが数本、無造作に置かれていた。
「これ、どうしたんです!?」
「ああ。高槻が没収してきたんだよ。寮長の枚方の部屋から。」
「ひらパー兄さんの!?」
「お前。枚方の奴をひらパー兄さんって呼んでんのか?」
いっけね。心の声が出た。
また委員長がツボったみたいで、ゲラゲラ笑いだした。
俺はギャル系AVをガン見してしまう。
『黒ギャルVS白ギャル・童貞くん狩り』だと・・・気になるじゃないか!!
山田太郎の時は、ちゃんと彼女もいたけど(浮気されたけど)この有栖川千尋の体は純潔童貞だ。
どうも体が違うと性欲も減退しちゃったのか、オナニーすらあんまりしていなかった。
でも、ちゃんと女の子に興味はある。健全な高校男子だし。
委員長が席を立って、俺の横に来た。
「気になるのあるのか?」
「えっ!?」
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「くれるんですか!?」
俺はバッと委員長を見る。委員長は笑って
「アホか。これは処分だ。好みを聞いたんだよ。」
俺の頭をくしゃりと撫でた。
ーーーなんだ。期待させるなよな。
「・・・これですかね。」
俺は黒ギャルVS白ギャルを指差す。
「お前!ギャル好きなのか。」
また委員長がツボって、俺の肩を抱いてゲハゲハ笑いだした。
「いいじゃないですか!委員長はどれが好きなんです?」
「ああ。俺はこれかな?」
「・・・清楚系ですね。」
パッケージにはブレザーを着た色白黒髪の美少女がはにかんで佇んでいた。
アイドル系のイメージビデオみたいだ。意外だ。もっと肉食系なのかと思った。
「少しお前に似てるな。」
「ええ!?似てないですよ!」
「そうか?」
「あ!」
委員長が俺の顎を掴んでマジマジと見てきた。
「・・・ちょっと。」
俺は委員長に肩を抱かれて顎を掴まれて、じっくりと顔を観察されてる。
ーーーなんか、嫌だ。
「やっぱり、綺麗な顔してんな。」
「キレイとか言うな。」
「何がだ。事実だろうが。中々いないぞ。お前みたいな美形は。中身とのギャップがまた可愛いしな。」
「離せって!」
俺は顎を掴む委員長の手を引き離そうともがくが、ビクともしない。
「馬鹿にして・・・!」
「馬鹿になんかしてない。自覚しろって言ってるんだ。」
「あっ!」
改めて顎を引かれて、委員長と視線を合わされた。
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その時、ガチャリとドアが開いた。
「委員長、遅くなって・・・何やってるんです!?」
高槻先輩だ。
ツカツカとこっちに歩いてきて、腕を掴まれて引っ張られた。
委員長から引き離されて、ちょっとホッとする。
「どのAVが好きか、話してたんだよ。」
委員長はニヤっと笑って言った。
「A・・・!?千尋!見るんじゃない!」
「わぷっ!」
慌てた高槻先輩が俺の顔を自分の胸に押し付けるようにして抱き寄せた。
「早く隠してください!!」
「落ち着け。高槻。」
風紀室に入ってきたのは高槻先輩だけじゃなかったみたい。
後から入ってきた茶髪の生徒がAVを片付けた。
「それが、噂の眠り姫?」
もう一人、高槻先輩の肩越しに俺を覗き込んできた。
シルバーフレームの眼鏡のスッキリした顔立ちの生徒だ。
キレイな切れ長の奥二重で、薄い唇。クールな感じのイケメンだ。
「千尋。副委員長の西宮雅喜だ。」
「あ。有栖川です。」
このクールな人が副委員長か。
「あっちが同じ風紀の中津勇二だ。」
「どーも。」
AV片付けてる方が中津で、俺に手をヒラヒラ降った。毛先が外跳ねの茶髪の、猫目でちょっとヤンチャっぽい生徒だ。
「あ。どうも。」
2人とも高槻先輩と同じ2年生らしい。
「高槻先輩・・・あの。離してください。」
「すまん。苦しかったか?」
「大丈夫です。」
一息吐いて、俺はギョッとした。
気付けば、風紀4人に囲まれていたのだ。
ムカつくことに全員背が高い。多分180超えだ。
「ああ~なるほど。高槻が心配する訳だ。」
「可愛いだろ。お姫様は。」
「今朝の。姫と王様と騎士がご登校って皆に言われてましたよ。」
俺の頭上で雑談を始めた。
「ちょっと!あんたら、なんなんですか?うっとおしいです。人の頭上で!」
「すまん。千尋。」
俺は風紀の輪から抜け出した。




