千尋と風紀委員長
◆千尋視点◆
俺は保健室から抜け出して、今度こそ風紀委員室の前に到着した。
生徒会長とエンカウントしたこと、高槻先輩には黙っておこう。
また説教タイムが始まりそうだし・・・。
俺は風紀室のドアをノックした。
「失礼しま~す。1年の有栖川です。高槻先輩、いらっしゃいますか?」
ガチャっとドアが開いた。
「千尋?どうしたんだ?」
高槻先輩だ。
「あ。あのですね。実は・・・。」
「高槻。誰だ?」
高槻先輩の背後から声がして、ヌッと覗き込んできた。
ーーーでかっ!!
高槻先輩も180超えで長身だけど、もっと背が高い。
190超えてんじゃね?生徒会長と同じくらいかな。
ポカンと見上げてたら、ソイツに笑われた。
「お。噂の美人の眠り姫だな。」
その言葉に、俺はムッとした顔になった。
高槻先輩が慌てて
「千尋。風紀委員長の御影辰彦委員長だ。
委員長。同室の有栖川千尋です。」
と、お互いを紹介してくれた。
ーーーコイツが風紀委員長か。
背が高く、これまたイケメンだ。
ほんとに、この学校はイケメン率高いな。おい。女子高と合コンとか、しないのかな?
浅黒い肌に黒髪短髪の体育会系って感じだ。
和風な一重だけど、眼つきが鋭い。全然爽やかじゃない。
ドーベルマンみたい。見るからにムキムキっぽい。
風紀委員長のくせに制服を着崩してる。
高槻先輩とは、ちょっとタイプが違うな。
「はじめまして。高槻先輩には、いつもお世話になっています。有栖川です。」
ぺこりと頭を下げる。
「高槻に聞いてた通り、いい子じゃないか。」
「千尋。入れよ。」
「お邪魔します。」
俺は風紀室に入った。
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入って応接セットのソファに座るよう促された。
奥は各々のデスクがあり、最奥にあるのが風紀委員長の机みたいだ。
「千尋。どうしたんだ?」
「あ。今日、園田の部屋で勉強教えてもらってきます。早く帰るようにするけど、もしかしたら先輩より遅くなるかもと思って。」
「園田か・・・。」
階は違うけど、園田の部屋は俺の部屋と同じ建物内だ。
「分かった。あまり遅くなるんじゃないぞ。」
高槻先輩が俺の頭にポンポンと触れた。
「はい。」
「おいおい。高槻。聞きしに勝る溺愛っぷりじゃないか。」
横から御影委員長がチャチャを入れてきた。
「委員長!ふざけないでください。千尋を見れば、気をつけるに越した事はないと分かるでしょう?」
高槻先輩が噛み付く。
「・・・まあなぁ。見た目はな。」
ーーーなんか、含みのある嫌な言い方だ。
「じゃ、園田が待ってるんで。」
俺はさっさと出て行くことにした。
「ああ。気をつけるんだぞ。千尋。」
「はい。お先に失礼します。」
俺は風紀室を後にした。
最後まで、委員長がじっと俺をみていた。
ーーーなんか、怖い人だったな。
生徒会長だけじゃなくて、風紀委員長にも近付かんとこ。
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◆御影視点◆
風紀室に珍しく高槻に客が来た。
高槻の同室で、噂の眠り姫だ。
ーーーへぇ。確かに綺麗な顔してるな。
3年間意識不明だったことから、生徒達が勝手に「1-Bの眠り姫」と呼んでいた。
それに高槻が朝夕の登下校をボディガードよろしく一緒にしていて、眠り姫に色目を使う生徒を牽制しまくっているという。
影で「眠り姫と王子様」だとか「番犬」だとか言われてるんだが、高槻は気にしていない。
生の眠り姫を見て、なるほどなと思う。
艶のある黒髪に潤んだ黒い瞳。
薄く色付いた唇。眠り姫とゆうか白雪姫だな。
ちょっといない感じの美形だ。こりゃあ、高槻も心配になるな。
「美人の眠り姫だな。」と、俺が言ったら、ムッとした顔をした。
その顔も可愛いかったが、意外と気が強いみたいだな。
「園田の部屋で、勉強教えてもらうんで・・・。」
ーーー嘘だな。
俺はピクリと片眉を上げた。
嘘を嗅ぎ分けるのは、俺の特技だ。
ーーー眠り姫は高槻に嘘をついている。
高槻は全く疑っていない。
お姫様は俺の視線に居心地悪そうにして、出て行った。
「高槻。お前、過保護すぎやしないか?」
「いいえ。千尋は純粋培養された素直な子なんです。無防備すぎるから、俺が気をつけてやらないと・・・。」
ーーーそれが、過保護っつうんだよ。
高槻はお姫様をすっかり信じている。
遅れてやって来た新入生は、どちらもうさんくさい奴らしいな。
俺は眠り姫の出て行ったドアをしばらく見つめていた。




