千尋と変装とエロ本
◆千尋視点◆
俺は風紀室を出て教室に戻った。
「おかえり~。遅かったねぇ。」
放課後の教室には美村と園田の2人だけだった。
「ごめん。待たせて・・・。」
俺の顔を見て、園田が心配そうに聞いてきた。
「どうしたの?高槻先輩に何か言われた?」
「いや。ちょっと。神回避の力を失っちゃったみたいで・・・。」
「「えっ?」」
俺は2人に生徒会長と遭遇しちゃった話をした。
もちろんエレベーターに挟みまくったことも。
美村はゲラゲラ腹抱えて笑ってた。
園田はいつになく瞳を輝かせていた。
「いや~。アリスちゃん。やっぱり神降りてきてるよぉ。なんで、生徒会長エレベーターのドアに挟んじゃうのぉ!やっば!笑う~。」
「目覚めた生徒会長が有栖川くんを探すに1票!顔も知らない生徒が気になって仕方ない生徒会長。すれ違いながら、2人は・・・」
「園田。美村。顔見られてないし、ノーカンだ!ノーカン。」
俺は話を切り上げて、3人で寮へと帰る。
平野の部屋には20時頃に行く予定だから、アリバイ作りも兼ねて、園田の部屋で3人で晩ご飯を食べることにした。
寮の食堂でテイクアウトすることにする。
俺は気合いを入れてトンカツ弁当。
美村は焼き肉弁当。園田はオムライス。
園田の同室者の田町って奴もちょうど帰ってきたので、4人でご飯を食べた。
田町とは初対面だったんだけど
「ああ!1-Bの!眠り姫!!美人!」と、めっちゃ指差された。
唖然とする俺に美村が言った。
「ね。言ったでしょ。アリスちゃんは自分で思ってるよりも有名人だって。」
うーん。
平野の部屋は隣の建物なんだけど
こりゃあ、変装しなくちゃダメかな?
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俺は園田の部屋を出て、自分の部屋に戻った。
とりあえず着替えだ。
黒のパンツに黒のTシャツ。
グレーのパーカーを羽織って、フードを被った。
で、マスクを着けた。
変装道具なんて持ってないしね。でも、ちょっと怪しいかな?
まあ、風邪気味の人に見えなくもないかぁ。
俺はこの格好でエレベーターに乗って、一階に降りた。
エントランスを通った途端に
「あれ?有栖川。どこ行くの?」
ーーーマジか!!瞬殺でバレた!
ひらパー兄さんだ。
「あ。枚方さん。こんばんは。」
「ばんはー。・・・どした?その格好。怪しいぞ?」
「な、んでもないです!じゃっ!」
ガシッと手首を掴まれた。
「んー。なんか変だね。」
「やだなぁ。普通ですよ!」
「嘘つけ。有栖川。なんかあったのか?」
くそっ。ひらパー兄さん、ゆるいようで目敏いよ。
「離してください。」
「ダメ。有栖川こそ、正直に話してごらんよ。」
ーーーくっそ。かくなる上は・・・
「・・・エロ本。」
「は?」
「エロ本、買いに行きたいので、離してくださいっ」
「えっ!?」
ーーー秘技!バカのフリだっ!!
ひらパー兄さんの手が緩んだ。
よっしゃ!今のうち・・・
ガバッ!
「なに!?」
緩んだのも束の間。今度は後ろからガバっと抱き込まれた。
「・・・有栖川。お前。そんな可愛い顔して、エロ本欲しいの?」
ーーーくそっ。
「はい。欲しいので、離してください。」
「・・・俺の部屋にエッチなDVDあるから、おいで。」
ーーーなにぃ!?
ちょっと気になるが、今は平野が優先だ。
「いえ。いいです。」
「巨乳から、ギャル系まであるよ?」
「ギャ・・・う。や、やっぱり、いいです。」
「いいから!お兄さんの部屋においで。有栖川。」
な、なんか背後のひらパー兄さんの息が荒いんですけどー!!
ーーー御免!
ガツッ!!
「イテッ!」
俺はひらパー兄さんの脛を思いきり蹴った。
「ごめんなさい!また今度。」
蹲るひらパー兄さんを尻目に、俺は寮を走って出た。
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ーーーひらパー兄さん、どうしちゃったんだ?
だが、ギャル系のエロDVD・・・気になるじゃないか!!
今度、貸してくんないかなぁ。
あ。高槻先輩にバレたら、ヤバイか。
てゆーか。若き10代真っ盛りなんだから。
高槻先輩も、エロDVD興味あると思うんだけどなぁ。
バリバリ硬派って感じだもんなぁ。
イケメンなのに、男子校で彼女もいない。
美村みたいに遊んでるわけでもない。
ちょっと、高槻先輩のこと、心配になってきちゃった。
などと邪なことを考えつつ、俺は隣の建物へと入っていった。
ーーーそんなことを考えていたので、陰から俺を見ている存在に、この時は全く気付いていなかった。
えっと、平野の部屋は508号室だったな。
エレベーターに乗って向かう。
運良く誰にも会わなかった。
俺は508号室のインターフォンを押す。
「・・・有栖川くん。」
「こんばんは。平野。」
少し不安そうな平野に招かれて、部屋の中へと入っていった。




