西大路と黒い稲妻
いやっ!こいつ寝てるし、顔見られてないし、ノーカンだ。
てゆうか、イケメン生徒会長を何度もエレベーターのドアに挟んでしまった・・・。
「じゃっ、そうゆうことで!」
後は保健医に任せて、俺はそそくさと逃げようとして
「待って。」
襟首を伊丹先生に掴まれた。
「ちょっと用事があるから、西大路くんについていてあげて。」
「えっ!嫌です。」
「ちょっとだけだから。西大路くん、疲れて寝てるだけだし。」
「あの。嫌ですから。」
「最近ずっとこうなんだよね。いてくれるだけでいいよ。」
「人の話聞けや。」
「じゃあね。よろしく。千尋くん。」
「あっ。先生!」
伊丹先生はさっさと出て行ってしまった。
あの先生、あんまり保健室にいないんだよな。
だから、流浪の保健医って言われてるんだよ。
「・・・。」
困った。高槻先輩のとこにも行かなきゃ、だし。
美村たちも待ってくれている。
眉間に皺を寄せて眠る生徒会長の顔を見た。
ーーー10分だけ待って、出て行こう。
俺はベッドの横の椅子に座った。
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俺はマジマジと生徒会長の寝顔を見た。
確かに、こりゃイケメンだわ。
親衛隊ができるのも頷ける。男ばっかってのは理解できないけど。
彫りが深く、大人びた顔立ちをしている。
少し長めの黒髪が狼っぽいワイルドな感じだ。イケメンタレントにいそうな雰囲気だな。
背が高くて、体格もいい。
金持ちでイケメンって。天は二物を与えちゃってるよな。ムカつく。
「お。」
眠っている生徒会長が、またキュッと眉間にシワを寄せた。
シワ取れなくなっちゃいますよ~っと。
俺はグリグリと、人差し指で生徒会長の眉間を押した。
その手をガシッと掴まれて、グイッと引っ張られた。
「おわっ!!」
俺はベッドに倒れこみ、そのまま生徒会長の腕にすっぽり抱き込まれた。
ーーーぐえ。苦しい。
どうにか、生徒会長のゴツイ胸板からプハッと顔を出す。
「ちょっと!あんた。起きてんの!?」
「・・・。」
寝てんのかよ!
「あっ!ちょっと・・・!」
ぎゅうと、抱き枕よろしく抱きしめられた。
俺の耳元に生徒会長の唇が当たって、暖かい息がかかる。
腰に腕をまわされ、頭も大きな手で包まれている。
ーーー鳥肌立つわぁ!
なんか、ゾクゾクする。きもちわるっ。
俺は、よいしょよいしょと、どうにかこうにか生徒会長の腕の中から抜け出した。
「・・・はぁ。もう、なんなんだよ。」
呆れたように見ると、生徒会長の眉間のシワは解けて、安らかな寝顔になっていた。
しかし、俺にとって保健室は鬼門なのかもしれない。
いいや。さっさと退散しよう。
「生徒会長。コレ置いていくから許してね。」
俺はポケットから出したものを枕元に置いて、保健室を出て行った。
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◆西大路視点◆
「・・・ん。」
目を開ければ、白い天井。
背中にベッドの感触。
「?」
キョロリと見回せば、ここは保健室だ。
ギシリとベッドを軋ませて、上体を起こす。
腹が減って生徒会室を出たところまでは覚えている。
なぜか体のあちこちがぶつけたみたいに妙に痛い。
しかし、よく寝た。頭がすっきりしている。だが、いつの間に保健室に来たんだ?
欠伸をして、頭をガシガシと掻いた。
なんだか猫だか犬だか、暖かい動物を抱いて癒された感覚が残っている。
ガチャリと保健室の扉が開いた。
「西大路くん、起きたの。」
「・・・ああ。」
保険医が俺の顔を見て、「顔色もいいね。」と言った。
「お前が俺をここに連れてきたのかよ?」
「違うよ。君は廊下で倒れてたんだって。千尋くんが運んでくれたんだよ。」
「・・・千尋?」
「1-Bの眠り姫だよ。」
「ああ。」
俺は見たことはないが、3年意識不明だったとかいう1年生だ。
かなり美形らしいが、興味は無かった。美形なんざ、見慣れてる。
「もう。西大路くんを見ててって言ったのに。勝手に帰っちゃって。」
俺は枕元に置かれたものに目を留めた。
「・・・なんだ。コレ?」
小さなチョコだった。『美味しさ稲妻級』『若い女性に大人気』だと?
嘘くせぇ。すげー安っぽい菓子だった。
「千尋くんが置いてったのかな?」
安っぽいチョコの包みを見てたら、ぐうと腹が鳴った。
俺は包みを破いて、チョコを食べた。
ーーーうまっ!
予想外に美味いぞ。ブラックサンダー。
チョコはふたつ置いてあった。もう一つの方は『モーニングサンダー』と書いてある。
ーーーなんだ。このネーミングは。
「西大路くん。君ひとりで頑張るのも限界なんじゃないの?いい加減、生徒会の・・・」
「うるせえよ。」
保険医が説教をしそうな雰囲気だったので、俺はチョコをポケットに入れて保健室を出た。
しばらく歩いて、ポケットから出したモーニングサンダーとかいうチョコを食べる。
これも美味いわ。
ーーー1-Bの眠り姫ね・・・。
俺は千尋とかいう1年生に興味を持った。




