千尋と神回避終了のお知らせ
俺は平野にメールして、どうにか説得して夜に平野の部屋に行く約束をした。
ーーーさて、今度は高槻先輩だ。
最初の一週間は帰りも一緒だったけど、高槻先輩は忙しいから申し訳ないし、今日から別で帰るよう説得したとこだったんだよなぁ。
美村と園田と一緒に帰るからって。
一応、今夜は園田の部屋に勉強教えてもらいに行くってことにしてる。
だって、最初に生徒会関連に関わるなって言ったの高槻先輩だしね。絶対、反対するわ。
高槻先輩にはメールより、直接言っといた方がいい。
園田の部屋に行くからちょっとだけ遅くなるって伝えに、俺は放課後の風紀室に向かった。
ーーーのだが、迷った。
「ここ、どこ?」
人っ子ひとりいないし。まずいなぁ。
鞄もスマホも教室に置いてきた。美村たちが待っててくれるから。
俺はとりあえず歩いて、エレベーターを見つけた。
よっしゃ。まずは原点回帰だ。一階に戻れば、だいたい大丈夫と思う。
ーーーその時。
大きな物音がして、驚いて振り返ると1人の生徒が廊下で倒れていた。
「おい!大丈夫か!?」
俺は慌てて、走りよった。
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倒れた生徒に走り寄って、呼びかける。
「おい!どうした?大丈夫か!?」
あんまり揺すらない方がいいんだっけ。
俺はそいつの頬っぺたをペチペチと軽く叩いて声をかけ続けた。
「しっかりしろ!聞こえるか?」
「は・・・」
意識が戻った!?
「・・・腹減った・・・」
「えっ?」
「・・眠い・・・」
「えーーーー!?」
なにコイツ。なにコイツ。
そいつは、またガクリと意識を失った。てゆうか、寝た?
腹減って、眠いだけか。
ちょっとホッとした。
「どうする?」
置いていくのもなぁ。
よく見ると、すごく整った顔の美形だ。
高槻先輩や美村でイケメンは見慣れているはずだが、コイツは更にワンランク上のイケメンだった。
身長も190いってるんじゃね?ムカつくわぁ。
ここはホモの多い学園だからな。こんなイケメンを放置する訳にもいかないか。
「しょうがないなぁ。」
とりあえずエレベーターまで運んで、誰かいるであろう一階まで行こう。
「よいしょ!」
俺はそいつの腕を肩にかけて、起き上がろうとして・・・潰れた。
「ぐえっ!!」
グシャっとカエルみたいに床に突っ伏した俺の体に重なるように、そいつの体がのしかかった。
ーーー重い!重い!
そいつの長身でゴツい体に、完全にプレスされてる。
「ちょっ・・と!あんた!起きろ!」
「・・・。」
ダメだ。こりゃ。
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ヒィヒィ言って、どうにかそいつの体の下から這い出た。
うつ伏せで大の字に倒れたそいつの横に正座して、ふぅと一息ついた。
スマホが無いから、助っ人を呼べないし。
有栖川千尋の華奢な体では、このデカイ男を運べない。
この階に人の気配は全く無い。
かといって置いていく訳にもいかんしなぁ。
エレベーターは目と鼻の先だし。
「誰かは知らんが、御免!」
俺は寝てるそいつに一言断りを入れて、足首を持った。
「よいしょー!」
表に返して、両足首を掴んでズルズル引きずってエレベーター前まで運ぶ。
どう見たって、アレだ。
第三者が見たら、完璧、死体遺棄だろうが!って感じだけど。
だって、コイツ重いんだよ!
ほっとけないし。善意だ。善意。
「はぁ。」
やっとエレベーターの前に着いた。ボタンを押すと、すぐに開いた。
俺は再び足首を掴んで「よいしょー」と、そいつをエレベーターの中に引き入れようとして・・・
無情にもタイムアウトでエレベーターのドアが閉まる。
ガシャーン。
「うわっ!挟まった!」
そいつの太ももがエレベーターのドアに挟まった。
俺は慌てて、開くボタンを押す。
ドア開く。
足首掴んで、引っ張る。
ドア閉まる。
ガシャーン。
「いやー!また挟まった!」
今度はお腹が挟まった。
俺は慌てて、開くボタンを押す。
ドア開く。
足首掴んで、引っ張る。
ドア閉まる。
ガシャーン。
「ぎゃー!顔挟まったぁ!」
今度は顔が挟まった。
俺は慌てて、腕を引いてエレベーター内に引き入れた。
でも、全然起きない。よかった。
・・・よかった・・のか?
とりあえず1階のボタンを押した。
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エレベーターが1階に到着した。
俺は先に外に出て、今度は両腕をバンザイさせて掴んで「よいしょー!」と引っ張る。
早くしないと・・・
ガシャーン。
「ぎゃー!」
もう、何このエレベーター!閉まるの早えよ。
「君。何してるの?」
「あっ!先生、助けて!超助けて!!」
振り返れば、保健医の伊丹 晴彦先生だった。
俺は先生と一緒に、挟まってるそいつを引きずり出した。
「よっと。」
伊丹先生はそいつの腕を肩に回して、支えるように立ち上がった。
・・・なんか、悔しいです。
伊丹先生も180あるんだよなぁ。でも、細いイメージなのに。
白衣の下はムキムキなんだろうか。
伊丹先生は、こげ茶の髪に、ちょっとタレ目。可愛い感じのおっとりした雰囲気してる。
「千尋くん。ついておいで。」
「えっ。あっ、はい。」
俺は先生に着いて保健室に行った。
先生は、よいしょとそいつをベッドに寝かせて、コキリと肩を回した。
「先生、意外と力あるんですね。」
「そう?」
伊丹先生はふわりと微笑む。
癒し系だわ~。
「千尋くん、1人で生徒会長のこと運んだの?頑張ったね。」
えらいえらいと頭を撫でられた。
・・・ん?
「今、何ておっしゃいました?」
「頑張ったね。」
「いや、その前。」
「1人で生徒会長運んだの?」
「生徒会長?」
「生徒会長。西大路 真宗くんだよ。」
なんてこったい!今、一番関わりたくない奴じゃねぇか!!
エンカウントォーーーー!!!




