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12.仲間

ノラ「あんちゃん達見えて来たぞ〜」


光「アレが監獄島ですか。


【監獄島】


光「なんか近くで見たら城の様にも見えますね」


ノラ「ん?珍しいな誰かの船が停まってんぞ」


キール「先客がいるみたいだな。すまんが離れたところに停めてくれ。」


麻里奈「上陸!」


光「なんか意外と綺麗に手入れされてますね。庭にもみえますし」


 光は周囲を見渡し驚きの声あげた。


拓弥「先客って」


キール「こっちだ!見ろ!」


光「うわ!何ですか?アイツら」


キール「悪魔たちだ!言ってしまえばプロの殺し屋だ」


拓弥「なんでそんな奴らがジールは大丈夫か?」


キール「大丈夫だよ。ジールも強ぇーから。でも見つかると厄介だ。闘いは避けて隠れならがら先進むぞ。ジールは多分3階の奧だ」


雪「(まただ。いつも敵先回りされてる)」


 【監獄島・内部】


 足音を殺して廊下を進む。石の床は意外と滑らかで、音は立ちにくいが──それでも神経は尖らせた。

 壁の隙間から漏れる微かな光に、悪魔の影が一瞬映る。

 

麻里奈「本当にここであってるの」


キール「合ってるぜ」


拓弥「キールはここに来たことあるのか?」


キール「当たり前だろ。お前こそ覚えてないのか」


拓弥「え?いやわからないな」


雪「ここはなんでもう使われてないんだ?」


キール「大昔はグリフォニア王国が管理していて罪人を入れてたらしいが内部で反乱があってそれからは廃墟だ」


光「の割には綺麗ですよねまるで誰かが掃除してるみたいに。確かに所どろ穴空いたり壊されてはいるのですがとても廃墟には見えない」


キール「それは多分ジールが掃除してるからだよ。アイツはここに住んでいる」


光「え?どうして?何故廃墟掃除して住んでるですか?」


キール「知るか!」


悪魔「ん?なんか今声が」


麻里奈「ヤバ、見つかっちゃう」


光「どうしよう」


拓弥「覚悟決めて闘うか」


麻里奈「アースウォール」


 麻里奈が違和感なく土の壁を作った


悪魔「……風の音か。ったく紛らわしい」


 足音が遠ざかる。全員が、ようやく息を吐いた。

 そして、更に奥に進む…


 【監獄島・2階】


光「ようやく2階まで来ましたね。」


拓弥「悪魔たちは地下へ向かったみたいだが……」


麻里奈「でも、全部がそっちってわけじゃないかもね。こっちにも回ってきてるかもしれない。」


キール「ああ。相手が多ければ多いほど厄介だ。気を引き締めていくぞ。」


雪「……あれ?なんでこんな場所に玉座が?

外観も内装も異様……それに玉座って……まさか……」


拓弥「おい、雪。何やってんだ。行くぞ。」


雪「……ああ、悪い。」


【監獄島・3階奧】


キール「多分ここだ」


ジール「お!キールか」


キール「久しぶりだな。大きくなったな」


ジール「キールは変わらねーな。今日はどうしたんだ?」


キール「リーダーを連れてきた」


ジール「リーダーかやっぱり戻って来てくれたんだな。ありがとう」


キール「そういえば。先客が彷徨いてるぞ。」


ジール「あぁ、悪魔たちだろこっそりして潜んでおこうと思ったがまた旅の始まりならここから脱出するか」


  そういうとジールは鉄球を取り出した


ジール「ふっっん」


 そして徐に壁を破壊した!


光「ええ〜」


ジール「さて、今の音で悪魔たちが来る前にここから出るか」


麻里奈「ここ城の3階よ!」

 

ジール「知ってる。だから――“飛ぶ”ぞ」


 ジールは鎖をうまく操り、全員をまとめて飛んだ――!


光「え!? うそ、マジで!?」


 ぐい、と体が引っ張られる。次の瞬間、全員が城の外壁から一気に空中へ飛び出していた。


麻里奈「なにこれ、落ちる落ちる……!」

 

 だが着地寸前、ジールの鉄鎖が絡めた支柱を使いスレスレで減速。全員が宙ぶらりんのまま、ほぼ無傷で地上に着地する。


ジール「ほらな。これくらい平気だ」


雪「心臓止まるかと思った……」


キール「ぐずぐずしてる暇はねぇ。悪魔たちが気づいた。急げ!」


ノラ(船の上)「おーい! 要は済んだかー!?」


拓弥「今すぐ乗る!」


 全員が駆け込みでノラの船に飛び乗る。エンジンが唸り、霧の中へ再び船は滑り出した。


---


(船上)


拓弥「改めて――ジール、よろしく頼む」


ジール「……ああ。俺は俺の目的のために旅をする。だが、それが――お前たちと同じ方向なら、喜んで力を貸そう」


光(ジールさんの目的……やっぱり、何かあるんだ)


雪(“プレオマイオス城”……この男、ただ者じゃない)


キール(……運命が動き出すな)


──監獄島、静寂の霧に包まれ、ゆっくりと遠ざかっていく。


 【オークの村・出発前】

ノラ「そうだ。あんちゃん達、これを持っていけ」


 ノラが手渡してきたのは、古びてはいるが丁寧に整備されたスキューバダイビングセットだった。


ノラ「お前らがあの化け物を倒してくれたおかげで、俺たちはまた海で漁ができる。せめてもの礼だ」


光「え、いいんですか?ありがとうございます!」


キール「お、タイミングばっちりじゃねぇか」


拓弥「ん? 何が?」


キール「……次の目的地と関係あるのさ」


ノラ「それとコレも持っていけ!」


 ノラが差し出したのは、大きな魚だった。


拓弥「げっ」


麻里奈「わぁ! おっきな魚!」


光「美味しそうですね!」


拓弥「おっちゃんには悪いけど、俺はいらねー」


ノラ「どうしてだよ! こんな上物なのに!」


麻里奈「どうして? 拓弥くんのお父さん漁師だったんだよね?」


拓弥「ああ。だからだよ」


麻里奈「え?」


拓弥「10年間、朝も昼も夜も魚料理食わされてみろ」


光「そこまで!?」


拓弥「焼き魚、煮魚、干物、刺身、魚鍋……」


雪「魚竜の照り焼きもあったな」


拓弥「思い出させるな」


麻里奈「ふふっ」


ノラ「はははっ! うちのガキと同じこと言ってやがる!」


 ノラは腹を抱えて笑った。


ノラ「贅沢な悩みだなぁ!」


雪「ちなみに俺は20年間食卓に魚が出ているが今も好きだぞ」


ノラ「じゃあな、あんちゃん達。またいつでもこの村に顔見せに来てくれよ」


光「はい! 必ず!」


(村人たちが手を振って見送る)



 【道中/キールの説明】


キール「次は――リーナに会いに行くぞ」


ジール「ああ、だから“丁度いい”って言ってたのか」


麻里奈「リーナ? それって人の名前……?」


キール「ああ。オレたちの仲間だ。そして、人じゃない。人魚族さ」


光「人魚……! つまり水の中に?」


キール「その通り。この先に洞窟がある。それを抜けると林があって、そこの湖の底にリーナはいる」


雪「だからこのダイビング装備が必要なのか」


キール「ああ。リーナの協力が得られれば、この先がぐっと楽になる。――だが、そうは簡単にいかねーかもしれないが…」


ジール「……懐かしい顔に会えるのは悪くないけどな」


 【ヤオビクの洞窟・入口】


キール「ここはヤオビクの洞窟。この洞窟を抜けなきゃ、グリフォニア王国には辿り着けねえ」


拓弥「だったら……また“ヴァンパイアの死角”が待ち伏せてるかもな。みんな、気を抜くなよ」


光「中は真っ暗ですね……火をつけますね」


 光はたいまつを作った


キール「よし行くか」


拓弥「ジール。」


ジール「ん?」


拓弥「実は俺、まだ言うほど前世の記憶が覚えてないんだ。キールと旅したこともジールやリーナのことも」


ジール「それは仕方ないだろ。俺だって20年前のことなんて全然、覚えてない。それにこうやってまた旅していたら思い出すかもしれない。

特にグリフォニアは俺たちが別れた場所だから何か思い出すかも」


拓弥「ジールの目的は?」


ジール「スーミラ家を探してる」


拓弥「スーミラ家?」


雪「スーミラ家は昔いた名門家系の1つだ。もう滅んだとされている」


ジール「いやきっと生きてる!」

 ジールの強い思いを感じた……


 【ヤオビクの洞窟・中層】


 鍾乳石が垂れ下がり、じめついた空気が肺を重くする。

 たいまつの炎が揺らぎ、壁に映る影がじわじわと形を変える。


麻里奈「……静かすぎるね。魔物の気配も、風もない」


光「洞窟というより……誰かが封じた空間みたいです」


拓弥「うっ……」


 ふらりと、拓弥がよろめいた。光がすぐに支える。


光「拓弥さん、!? 顔が……白いですよ」


拓弥「……大丈夫、ちょっと頭が……ズキンと……」


キール「無理すんな。」


拓弥「平気だ……たぶん……」


 そう言った直後、拓弥の身体がふっと力を抜くように崩れ落ちた。


麻里奈「拓弥くん!!」


 【意識の中/記憶の回廊】


 真っ白な空間に、淡い光が降る。どこからともなくページをめくる音。


──“グリフォニア物語”──

 

  幼い自分が、母の膝に頭を預けている。

 優しく本を読み聞かせる、母の静かな声が響く。


母「昔々、偉大な王グリフォニアが居ました。

グリフォニアは壮大な大地の統治者です。

彼はこの地に住む全ての者に力を与えました。」


ベル「すごいね、グリフォニア王……」


母「ふふ、あなたもきっと……いつか“力を与える側”になるかもしれないわね」


 ページが進む。


母「そんな彼に気高く美しい女性ユニは恋をしまたグリフォニアもまたユニを好きになり両思いになりました。

しかしグリフォニアは不治の病になり余命が1年になりました。」


ベル「……かわいそう……」


母「でもね、王様は諦めなかった。」


 ページが進む。


母「グリフォニアはこの病気を魔女に治してもらうと思い

異世界の美しき魔女イデアに当たりましたが彼女はそんな力はなく、代わりに神様を紹介してもらいます。」


ベル「神様?神様っているの?」


母「いるのよ。あなたが産まれてくるずっーとずっーと前から」


 ページが進む


母「神様も病気は治せないがたった一つの案を出してくれました。それは転生で来世でもう一度ユニと会えるように記憶と力を次に引き継げるようにしました。

グリフォニアは転生しユニと再び出会いユニが最後の時まで寄り添い合いました。」


ベル「ぼくも……誰かを守れる人になりたい」


母「その日がきたら、きっと“あなた自身の物語”が始まるわ。……覚えておいて、ベル」


 【ヤオビクの洞窟・中層】


光「拓弥さん!……起きて!」


 拓弥が、ゆっくりと目を開いた。

 視界がにじみ、仲間たちの顔がぼんやり浮かぶ。


雪「急に倒れたから驚いたぞ」


拓弥「……ごめん。夢を……いや、記憶を見た気がする」


ジール「記憶?」


拓弥「ああ。子どもの頃、母さんに“グリフォニア物語”を読んでもらってた……その場面だった」


キール「グリフォニア物語?」


麻里奈「……それはただの夢じゃない。前世の“記憶”が戻りはじめているのよ」


拓弥「……そんなことより俺はベルと呼ばれてて

 俺は……ベルなのか。……光雷なのか?

 なんなんだ…」


光「前世の前世なのかな?でも拓弥さんは拓弥さんですよ」


拓弥「……そうだな……ありがとう。光」

 

ジール「行こう。リーダーの記憶はこれからもっと戻る。よくわからないが……全部、知っておくべきだ」

 


【人魚の林】


 眩い光が差し込む出口をくぐり、ようやく一行は洞窟を脱出した。

 林の中、雪が拓弥に声をかけた。


雪「拓弥、ちょっと、こっち来てくれ」


拓弥「ん?どうした?」


 二人は木立の奥へと抜け、人目のつかない場所へ。

 

雪「さっきの夢でキールのことは思い出したか?」


拓弥「いやキール、ジール、リーナのことはまだ……」


雪「そうか…俺はキールがだいぶ怪しと思っているんだが」


 雪はわずかに眉をひそめ、声を落とす。

 

拓弥「キールが?」


雪「ああ。アイツが来たらカオスが襲って来た。アイツと行動しているとサンドゴーレムが待ち伏せしていた。アイツについていったら悪魔が先回りしていた。偶然にしては出来すぎてるだろ」


拓弥「それは考え過ぎだって今回の洞窟は何にも無かったし」


雪「それは俺が勘付いてるからやめたとか。それにあんだけ強いのに闘ったのはスキュラの時だけだぞ」


拓弥「もしかしたら、俺の力を試してるのかも……」


雪「はあ?」


拓弥「いや理由はわからないけど。俺はキールを信じたい!俺の本能がそう言ってる気がする。」


雪「……本能?キールは仲間だってか」


拓弥「うん。」


雪「……そうか。だったら俺は“疑う役”を引き受ける。誰かが冷静でなきゃいけないからな」


拓弥「……ありがとう、雪」


  沈黙のあと、木々がざわりと揺れ、風が二人の間を吹き抜けた。

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