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黒少女  作者: 真冬 白雪


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7/12

#5

 「それって、どういう意味・・・・・・・・・死んでもらうって・・・冗談でしょ?」


 震える声で外套がいとうまとった少女に訴えかけた。それは、くつがえらないであろう現実を前に本心から出た(言葉)いだった。もしかしたら、あの場で命を墜としていたかもしれない。

 だが、助けてもらったはずの人物に今、こうして再び生命をおびやかされることにひどく混乱し、グルグルと頭の中で希望と絶望のスパイラルが滞在していた。


 「見られたからには《クチドメ》しないと。 それが故意であっても、偶然であっても」


 故意という選択肢があるという事は私や澪の様に完全な被害者とは真逆で意思をって、危険に身を投じる人間もいるということになる。と、なれば黒衣の少女は私とは全くの違う世界で生きている思われる。


 「じゃあ、澪はあの場にいたからクチドメされたの・・・・・・?」


 早い話が目撃者の抹殺。それだけ、私が居合わせてしまったあの場は関わってはいけない場所だったんだと痛感する。


 「それはどうかな? 私が来た時には既に彼女とあなたがいた。 それに、邪魔者ネファスも」


 「来た時」と、言うことは元々、あの路地裏に来る予定があった事になる。だとしたら、澪がいたのは単なる偶然なのだろうか?実際に聞いたわけではないから分からないが外套の少女は誰かと待ち合わせをしていた?

 ネファスという未知なる存在がいることもあるわけだし、同じような少女がいてもおかしくない。


 「クチドメで殺したわけじゃない・・・?」


 「えぇ、私はあなたを狙っていたネファスを処理しただけだから」


 彼女と話していると会話の温度差が一際目立つ。聞かれたことに的確に応答する彼女に対して私は情緒を乱しては立て直し、不安定なまま口を開いていた。


 「私を殺す理由はネファスにあるの____?」


 話の核を突きたかった。回りくどい話し合いは嫌いだ。


 「半分正解で半分不正解かな。 あなたを殺す理由はもう一つ____」


 _______私に出会ってしまったから。


 それはまるで、難解な問題パズルが後一歩のところで誰かに横から解かれてしまったような感覚だった。思い当たる節、あらゆる仮説、数えきれない程のそれらを一瞬にしてかれてしまった。

 あぁ、落ち度とか責任・・・・・・そんなのはなから通用しない状況(世界)に足を踏み込んでしまっていたんだと、納得してしまう。


 「じゃあなんで、私を此処ベッドにわざわざ運んだの? どうせ殺すんなら、路地裏の方が都合がいいでしょ」


 自分で言うのも変な話だが、そうでも言わないと彼女は真面まともに返答をくれない気がした。


 「その点は少し違うかな・・・あの場で殺す事も出来たけど、そうしたら()()殺しただけになっちゃうじゃない」


 ベッドに腰かけた私の正面の椅子に座っていた少女は、視線を私から逸らし軽く右上を向いてそう言った。よく見ると、右腕と左脚太ももに包帯が巻かれ血が滲み、他の場所にもかすり傷が無数にあった。ネファスとの戦闘で負傷したのだろうか?

 フードで顔がハッキリとは見えないが年齢・体つきは私と差ほど変わらない様に思える。

 だとすれば、あの大鎌を振り回すことでの体への負担はかなりのものになるだろう。


 「殺しただけ・・・・・・? 私を殺すのが目的なんでしょ? だったら、何でそんな言い方するの・・・!?」


 切迫し放たれた声には、叫びたい・逃げたい・死にたくないといった気持ちと現状に対する大きな問いが込められていた。 


 「殺すよりも生かしておく方が利用価値があるからかな。 それも、明日からでも」


 「はっ____? さっきから何を言ってるの・・・利用価値って・・・・・・私に殺しの手伝いでもさせる気?」


 どうも、彼女の魂胆が読めない。生殺与奪(生かすも殺すも)の権利は圧倒的に向こう側にある以上、下手な真似は出来ない。もし、ここで暴れて相手の機嫌を損ねる様な事になればそれこそ無意味だ。

 だとしても、彼女にとっての私の利用価値とは何を指すのだろうか?真っ先に考えられるのはネファスをおびき寄せるための生贄(一般人)としての役割だ。理由は分からないが、目の前の少女はその類の事に精通している。

 だからこそ、私・・・というよりは生きている人間が必要なのではないだろうか?


 「私との共通点に気づかない?」


 「・・・・・・共通点?」


 そう言うと、少女は立てかけてあった姿見に私をエスコートし被っていたフードを脱いだ。

 鎌に全身を覆い隠す黒い衣装。薄々、感じてはいたがその姿はまるで死神そのもの。それも、誰もが容易に想像できるであろうイメージ通りの姿そのままだ。


 「_______えっ」


 鏡に反射し映る二人の少女。


 「これがあなたを生かしている本命(理由)


 制服と黒い外套。服装は似ても似つかないほどにかけ離れていたが、ある一点を除いてはその限りではなかった。

 偶然と片付けてしまうには無理があり、必然と言うには話が出来過ぎている。そんな、どこかの物語の導入部分の様な話なわけではなし。それほどまでに私たちは姿形が似ていた____


 _______それはまるで鏡合わせの様に。


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