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叙事詩の進行  作者: あいすに刺さる茶葉
第一章

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第15話  祝福



「貴方達は後ろを守護して!こいつは私と、アルバートさん、ルークの3人で仕留める!!」


 そんなメルダの声が街の大通りに響き渡った。

 彼女の後方からは、ヴェルが召喚した大量の魔物が襲いかかる。


(奴等の動きがここまで速いなんて…)


 彼女達の前に立ちはだかるのは、かの最強

『オーウェン・ランフェル』


「フン、全員叩キノメシテクレヨウ」



 そんな最強に、現代の最強が挑む


「それはさせないね。彼女達は僕の大切な仲間なんだ」


 金髪の男がそう言った。



 その者の名を――『アルバート・ヘリオス』という。





◇◆◇




 とある記者

 ―――アルバートさんは何故現代最強といわれているのでしょうか?



 とある白髪の女剣士


「それは、現代で最も彼がランク10に近い存在だからですね」


 あっけからんと、そう答えた。

 現在ランク10はこの世に存在しない。それに最も近いと言われているのなら、最強と言われて当たり前とも言える。



 ―――では質問を変えます。彼の強さの秘訣は…?



「彼は何も恐れない。自分よりも格上だと分かっても冷静さを崩さない。それが彼の強さ、まさに冒険者の鏡ですね」



 ―――ありがとうございます。では最後の質問です。何故それ程まで強いのに、現在迷宮(ダンジョン)で第85階層までしか到達できていないのですか?



「…それは答えられません。ありがとうございました」



 ―――え?ちょ、ちょっと!!


 そう言い残し彼女は部屋を退室した。




◇◆◇



 剣を抜き、オーウェンの前にアルバートが立ち塞がる。



(彼が本来の力を出せたらもっと下の階層まですぐに行けている)



「じゃあ始めようか」


 そういい終わった時には既にオーウェンは吹き飛ばされていた。



「?!」


 流石のオーウェンも驚く。この前はこんな馬鹿力なんて持っていなかったからだ。流石に1ヶ月と少しであんな力にはならない。




(…彼は本来の力を迷宮(ダンジョン)では出せない)



 アルバートは即座に追撃を開始する。

 斬る、殴る、蹴る…最初の方はオーウェンも対応出来ていたが、徐々にそのどれもが打ち負かされていく。

 一撃一撃が重い…重すぎるのだ。


「グッ?!」


「なんか分からないけど、君にはイラッとするしちょっと本気だすよ」


 その瞬間、彼からとんでもない程の魔力が溢れ出す。



(そう彼は迷宮(ダンジョン)内では()()()してしまう)



「いくぞ?」



  オーウェンは即座にスキル『神霊武装』を発動し、防御の構えを取る。


 アルバートの剣は白く輝いており、不可思議な緑の光につつまれている。




女神(セルフィナ)の祝福」




 その言葉をいい終わった時には彼の目の前から先が崖になっていた。





「アルバートさん…修理費分かってます?」


 そんな呆れた顔で心配をするメルダ。

 流石に看過できない規模のクレーターだったのだ。


「え?そ、そんなの僕シラナイデス…」


 彼の声は段々と小さくなっていた。




「それで?ちゃんと仕留めたのか?」


 軽口を叩くかのようにルークが聞いた。


「さあ…?手応えはあると思うけど…」


「お前…あれ仕留め損なったら面倒くせぇぞ?」


「まあ、何度来ても僕が対処するから大丈夫だよ」


 そんな自信満々の声で彼は答えた。



(あのオーウェンを一撃…やっぱり彼は凄いわね)


 先程の攻撃『女神の祝福』は剣に膨大な魔力を込め、スキルを纏わせた。


 彼のスキルは『異力封殺』その力を()()()()()()()()()のだ。


 その剣は異力で作られた物質なら何でも切り裂くことができ、今回もオーウェンの『神霊武装』を貫通したのだ。


 アルバートは迷宮(ダンジョン)では何故か基礎能力が激減し、魔力は使えず、更に異力も少なくなってしまう体質なのだ。

 原因は分かっていないが、彼がもしその体質で無かったならば更に迷宮(ダンジョン)の奥に進めていただろう。


 ちなみに彼が未だにランク10に至れていないのは本人が拒否しているからである。



(この力を持ってしても、僕は…()には届かないのか…)


 彼はそんな心の嘆きを零した。




◇◆◇




 メルダは大穴の下、オーウェンの死体があると思われる場所へと向かった。


(奴があれで仕留められるわけが無い…)


 メルダは『絶対観測』により周囲を確認していく。

 反応は――





 あった。






 ボロボロの大男はメルダの前でまだ立っていた。


 


「見事ダッタ」


 オーウェンは(アルバート)を賞賛した。


()()()()ニモ、コレ程マデノ剣士ハメッタニイナカッタ。」



 メルダは即座に戦闘態勢に入る。だが―


「今ハ気分ガイイ。ダカラ今回ハ見逃シテヤル」


「っ!?」


 その瞬間彼女の目の前からオーウェンは姿を消した。彼がいた場所には乾き切った血が残っていた。






◇◆◇





「貴方は…カインのお兄さんなの?」


「ん?ああ…まあな」


 カールはとても寂しそうな声だった。


 既に喉を癒し回復したユルンだが、色々と彼に聞きたいことがあったのだ。


「あれって『ディペンダー流』じゃ…」


ないの?そう言い終える前に――


「その名前を出すな!俺はその名前が大嫌いなんだ!」


 カールが激怒し、言葉を遮った。


「な、なんで?代々伝わってるものなんでしょ?」


「…ああそうだ、だが…」


「?」


 カールは一息置いて叫んだ。





「名前がダサすぎる〜〜〜〜〜〜〜!!!!」





「ふぇ?」


 ユルンもこれにはすっとんきょうな声を出してしまった。それ程までに予想外な答えだったからだ。

 てっきり、「伝統なんて嫌いだ!」とかそういう系だと思ったからだ。

 まさかネーミングセンスで嫌いだとは思ってもみなかった。


「なんだ?『ディペンダー流』って、そのまんまじゃないかよ?!ダサすぎなんだよ!もっと…こう…な、カッコイイ名前にしろよ!!」


 そんな魂の叫びがユルンの耳に刺さる。

 でも正直、確かに名前はダサいと思っていた。


「だからそれに切れた俺は家出して、山で修行してたんだ!」


「そんなんで家出したの?!」


 それはあまりにも親が可哀想である。とユルンは思う。


「当たり前だ!あんなの耐えられねぇ…親父は仕切りに『ディペンダー流』、『ディペンダー流』、『ディペンダー流』ってずっと言いやがって…洗脳でもしたかったのかよ?!」


「HAHAHA…」


 そんな棒読みの笑いが周囲の空気を更に冷やしていく。

 でも確かに彼のお父さんはこの名前に何も思わなかったのだろうか?


「だから、もし俺に弟子が出来たらこんな名前は絶対に教えたくないって思ってな。名前を『開花(ブルーム)』に変えたんだよ。センスあるだろ?」


「少なくとも前者よりかは全然あるわね」


 確かにそれはそうだ。と彼女も話に少しずつ入り始めてしまい、そこから彼等の長い会話が続いたのであった。




◇◆◇




「あ、そうだ!カインの所に行かないと!」


 完全に忘れていた彼女は、カインの元へ向かうが…

 カールに肩を掴まれる。


「何するの?!離してよ!」


「…あれは男と、男の決闘だ。邪魔しちゃいけねぇよ」












 ザインは確かに倒れた。だが―


「ザイン…」


 悲しそうな声が一直線に向かう。

 そう、目の前に立っている(親友)に。


「カイン、確かにオーサーは俺の中から消えた。だが、俺の心はまだ奴に支配されてる…」


「…ああ」


 カインは表情を見せない。

 その黒髪の先はどんな目をしているのかザインには分かる。


「だから、恐らくこの会話を終えたら奴にまた街を破壊しろと命令される…でも俺はこの思い出の街を壊したくねぇんだ」


「…」



「さっきみたいに肉体に手加減なんてしなくていい」


 その先の紡いで欲しくない言葉を彼は紡ぐ 



「だから…カイン…お前が俺を」




 ―――殺してくれ



最後まで読んでいただきありがとうございます。

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