カドモスさんや、いつまで寝ちょんかいな?
ダリルさんがカドモスさんの側へと。
最初は単に気を失っちょると、思うておったようじゃな。
「これは、マズいやもしれんな」
そがぁなコトをの。
「え!?
な、なにが、で、しょう?」
リコ嬢が驚いたようにの。
「最近、頭を打ったとかあったかね?」
そがぁ風に。
「ええ、棚から品が落ちて来まして」
まぁ、商家なれば有りそうな話しじゃてな。
したらの。
「その後で、頭が痛いとか気分が悪いなど、言ってはおらなんだかね?
なにも無いトコロで転けそうになったり、目眩がして倒れそうになったりとか」
「最近、そのようなコトがあったみたいですけど?」
「やはりな」
顎へ手をやり考え込んじょるわい。
どがぁしたんかいな?
「このレベルを治す医者など居るまいな」
「えーっと、どう言うコトでしょう?」
リコ嬢が戸惑ったようにの。
それへな。
「俺は晶術にて、人の体内を探るコトが可能でな」
「ヒッ!」
リコ嬢が両肩を抱えて踞る。
それを見てダリルさんがな。
「むろん、無闇に見たりせんぞ。
調子が、おかしそうな場合のみだな」
少し涙目でダリルさんを見るちょるな。
「それでカドモス殿を確認したのだがな。
頭に血溜まりが、出来ておるようなのだよ」
「血溜まり?
です、か?」
戸惑ったように。
それへの。
「うむ。
普通の状態とは違う。
頭ゆえ、この侭だと不味いだろうな。
だが、俺は医者ではない。
ゆえに、どの様な影響が出るか、など、分からん。
ただ、放置は不味かろうな」
脳出血、じゃろな。
脳梗塞の一種で、放置しとったら死ぬじゃろうて。
外科手術にて、血溜まりを除去せねばなるまいよ。
簡単な手術ではあるまいてのぅ。
地球の病院でも、難手術となる症例じゃな。
それが、中世レベルの文明にて発症かえ?
こりゃ、助からんのぅ。
リコ嬢は、ダリルさんの話しを聞いて気絶したちゅう風に、思っておったようじゃ。
まぁ、儂もなんじゃがな。
リコ嬢は、オロオロするだけじゃな。
まぁ、まだ若い彼女に判断せい、ちゅうのは、のぅ。
ほじゃけぇ、ダリルさんはエスメラルダさんへ。
「商談中に悪いが、少し良いかね?」っと。
話し掛けられ、二人がダリルさんの方をの。
「あら?
どうか、なさりましたか?」
「うむ、コトが急を要するのでな」
ダリルさんの雰囲気から、ただ事ではないコトを察したのじゃろう。
エスメラルダさんの表情が引き締まる。
「カドモス殿が起きぬので、様子を見にな」
「そう言えば、起きませんわね?」
「それなのだがね。
脳内に血溜まりが、できておる。
放置しては危うい状態だな」っと。
イキナリな言葉に、意味が理解できなかったみたいだ。
そんな彼女への。
「俺は晶術にて微電流を操り、体内の状態を探ることが可能だ。
カドモス殿が起きぬゆえ、頭に問題がないかと探ったのだよ。
したら、頭の中に血溜まりがな。
リコ嬢に聞くと、以前に棚から落ちた商品が、頭に当たったコトがあるそうだ。
おそらくは、以前から出血はしておったのだろう。
それが、俺の話しを聞いて悪化した可能性がな。
俺も無関係ではないゆえ、放置もできん。
できんが、俺は医者ではないのでな。
ただ、晶術を用いれば、治癒できるやもしれぬ。
だが、初めての試みであるゆえ、出来るかは保証しかねるのだよ。
ゆえに、どうすべきか、確認にな」
あまりと言えば、あまりな内容である。
だが、放置すれば助からないだろう。
いや、この文明レベルならば、死病じゃな。
助ける術などは無いじゃろて。
「夫は、助かる、ので?」
声が震えておるわい。
「分からん。
試してみても良いが、俺は医者ではないのでな。
保証などできん」
「ですが、処置はできるのですよね?」
「試しに行える手段があるだけだ。
どうなるかは、な」
「それでも!
座して死を見守るよりは、マシでございます!
どうか、どうかぁ!
主人をぉ」
流石に気丈なエスメラルダさんも泣いちょるわい。
まぁ、旦那が死ぬ間際じゃでなぁ。
仕方あるまいてな。




