ふぅ、ダリルさんが納得したかえ?ようやく交渉かのぅ?
取り敢えずは、ダリルさんから剣呑な気配が薄れたようじゃて。
「しかし、国政を司る者たちに対しては、命乞いせんのだな」
そがぁにダリルさんが尋ねるとの。
「私が申しましても、お止まりになりますまい。
それに、言われておられるコトは、不条理ではございませんもの。
しかも、政を邪魔する物共を排除いただけるのでしよね?
なれば、その支援を受けても正しき政をできぬ者を、擁護する必要がありますでしょうか?
私も一介の商人が妻に過ぎませぬ。
そのような下賎な輩の擁護が必要とも」
言うわえ。
確かに国政にも関わっておらぬ一般人じゃてな。
そのような者に擁護される国賓かえ?
話しにもならん!ちゅう訳じゃな。
とは言え、大半の王族の命が救われちょる。
その功労は大きいじゃろうな。
「あのぉ〜」
「ん?」
「話しを通せそうな方が来られましたので、交渉してよろしいでしょうか?」
シムエル嬢が、恐る恐るとの。
ちゅうかな、なんか知らんが、シムエル嬢とガンレート嬢が、妙に嬉しそうなんじゃが?
「それは、そうでしょうね」
ん?
沙織さん?
どがぁな意味じゃ?
「ダリル様から身内あつかいして頂き、さらに被害者救済を言明しておられるのですよ。
自分達のコトを、それほど迄に気に掛けて頂けたら、それは嬉しいでしょうね」
ふむふむ。
確かにのぅ。
言われてみたら、そうじゃわい。
『マスターは、時々鈍いのですね。
とは言え、人の機微は、私も分かりかねますが』
まぁ、AIじゃけぇ、仕方ないわなぁ。
シムエル嬢が告げるとの。
「あらあら、可愛い子ですわね。
ダリル様の?」
「ん?
俺の連れだな。
ハゲル屋敷にて保護しとる商人でな。
こたびは、狩った素材を扱って貰うため、同行して貰っておる」
う〜むぅ。
ダリルさんや。
おそらく、じゃがな。
尋ねた意味合いが、の。
ほれ、シムエル嬢は察して、真っ赤じゃぞい。
それをリコ嬢の母上が微笑ましそうに。
同時に、ダリルさんには、困り顔でな。
なかなか器用なコトをしよるわい。
「こほん。
あー、ダリル様は、ハゲル様のお屋敷へご逗留されておられます。
狩りに使用される武具について、ハゲル様へご相談なされに来られたのです。
ダリル様も鍛治をなさるため、一緒に鍛治もなされておりますわ。
ですが、狩人が本分ですので、当然ながら狩りもなされます。
そしてダリル様は深層狩人ですので、狩って来られる量もですわね。
ハゲル様にて武具へ仕立てたりしておりますが、他所にも回しては?っとなりましたの。
それで、バルモンテ伯爵領からの出店であるココと、先日に知古を得たと聞きまして、尋ねて参りました」
そう告げ、優雅にカテーシを。
「あらあら。
コチラを頼って頂けるのならば、これほど嬉しいコトは、ございませんわね。
私は商会店主たるカドモスの妻、エスメラルダ・バルモンテと申しますわ」
「これは、ご丁寧に。
私は、ハゲル工房にて会計を任されております、シムエル・ラングロールと、申します」
二人とも微笑んじょるが、なんか怖くないかえ?
「軽い駆け引きが、なされておりましたね」
ん?
ドコがじゃ?
「シムエルさんは、わざと名乗っておりません。
先に相手へ名乗らせています。
これは、コチラが交渉を行うので、名乗れ、っと、言う意味でしょう」
はい?
あん会話で、かい?
「おそらくは、ですが。
それにエスメラルダさんは、全く自己紹介しておりませんから。
相手が深層狩人ならば、エスメラルダさんから名乗るのが筋でしょう。
ですが、いきなり現れ主人を気絶させています。
相当、腹を立てていたのでは?」
はい?
そがぁ風に見えんかったんじゃが?
『私にも、まったく』
「ジェミア様はAIですので、そのような腹芸は無用かと。
ご主人様も、その辺りは経験ないのでは?」
た、確かにのぅ。
ひょっ!?
ちゅうことは、沙織さんは経験あるかいっ!




