シムエル嬢?売る気満々なんじゃがの、ドコへ売るんなら?
ダリルさんの話しを聞いて、シムエル嬢は嬉しそう。
ダリルさんは、戸惑っちょるのぅ。
「どうして、そんなに嬉しそうなのだ?」
そがぁに尋ねるとじゃな。
「商人が商材、しかも高値で売れそうな物が、手元に有るコトをしり、喜ばない訳ないじゃないですか!」
いやいや、そがぁに、興奮せんでもの。
「いや、確かに品質は保証しよう。
品が品ゆえ、安く売られるのは、困るがな。
だからこそ、売り先が限られる。
少量なれば、売るコトも可能だろう。
だが、これだけの量になると、だな」
あー、確かに、のぅ。
品質が良く珍しい希少品じゃ。
そがぁなると、安値ちゅう訳には。
安ぅ無いちゅうコトは、じゃ。
庶民には手が出ん、ちゅうてな。
そがぁなると、仕入れた商人も売るんが。
そがぁに売るのが困難な品を、誰が仕入れるんじゃ?
そう、まさに、それをダリルさんが、懸念しちょった訳じゃな。
したらの。
シムエル嬢が、キョトンとした顔での。
「あら?
商人に卸しませんわよ?」っと。
はい?
商人に売らんで、ドコん売るちゅうんじゃ?
それは、ダリルさんも思うたみたいでのぅ。
「商人以外の誰へ売ると?
市場で自分が売るのか」
したらの。
「まさか、そんなコトは、いたしませんわ。
この様な品を求める先へ、話しをいたします」
「?
その様な場所が?」
皆が首を傾げる。
それをシムエル嬢が、困ったように見てな。
「ですからぁ!
なんで、ハゲルさんや、ロゼッタさんまで、首を傾げているんですかぁ!
これほどの大口となれば、貴族相手に決まっているでしょ!
つまり、ハゲルさん繋がりの侯爵様ですわよ!
燐領の伯爵家も、最近は羽振りが良いみたいですが、流石に伝手がありませんし。
侯爵家ならば、私も多少は交渉したコトもあります。
さらにハゲルさん繋がりで、話しを持って行けば、大量に購入いただけるかと」
そう力説されるとの。
「なるほどぬぇい。
俺ぁよぅい。
武器を納める先、ってぇコトしか、考えて無かったずぇい」
っと、ガハハハハッちゅうて、笑うとるわい。
「しかし、燐領の伯爵家かい?
そんなに、羽振りが良いんだねぇ?」
ロゼッタ嬢が、不思議そうに。
「元々は、伯爵領へ隣接する森の特産が、有名な場所ですね。
ただ、森人と商人が直接交渉しての、買い付けとなっていました。
領地を素通りされる感じです。
ただ、伯爵領は農畜産に力を入れ、加工技術も高いのだとか。
茶などの嗜好品も栽培し、果実なども育てております。
木工細工も素晴らしく、毛織り物だけでなく、特殊な糸で造った織物も素晴らしいのだとか。
これ、森人と協力して、森から得た動植物を領へ取り入れたそうです。
ただ、国の奥地で、交通の便が。
なので、良い品を造っても、知られてなかったのです」
「そうなんけぇ?
だが、よぅい。
なんか、裕福って、言ってなかったけぇ?」
確かに、良い品であろうと、知られちょらんなれば、売れんじゃろうてなぁ。
「それなのですが、この領で茶屋を始め、領地の品をアピールしているみたいなんです。
ある町の茶店らしいのですが、その町が交通の要所らしく、人の往来が絶えないのだとか。
ちょうど、一休みしたくなる場所へ、その茶店が設けられており、一休みした商人達が、店の品を、ですね。
その品の品質や、希少性から、商品についての噂が広まり、伯爵領にも買い付けに行く商人が。
この様な遣り方があるとは、ビックリしたものです」
ふむ、アンテナショップじゃな。
ちゅうか、はて?
なんや知らんが、聞いたコトが、あるみたいな?
「ちょいと!
それって、さぁ。
あの茶店じゃないんさね?」
「あの、茶店ですか?」
ロゼッタ嬢の言葉に、シムエル嬢が首を傾げる。
したらの。
「ん?
あの娘を届けた、茶店のコトか?
まさかな?」
ダリルさんが、疑念を抱くように。
偶然が、過ぎるでなぁ。
まぁ、仕方あるまいて。




