素材余りもじゃが、ラグラクスについても、告げたかえ。
そんな女性陣を横目で見ながらの。
「食材もだが、皮や骨も余り過ぎだな。
工房で活用できる範囲を超えておる。
実はなぁ。
ラグラクスが、また出おったのだよ。
さらに、まだ潜んでおる可能性がな。
どうも、キャツらを捕縛しとる施設だったと、思われるのだ。
詳しいカラクリは、俺にも分からぬのだがな、凍らせておる。
どうも、凍っとる間は寝ておるらしくてな。
溶けると、目覚めて、動き出すようなのだ」
ダリルさんが告げるとの。
ロゼッタ嬢が困った様に。
「おー、ヤダヤダ。
物騒だねぇ。
コッチへ来たりしないのかねぇ?」
困惑顔で告げるとの。
「それは分からんな。
ただ、寒さには弱いと、思われる。
コレから冬に向けて寒くなるゆえ、そうなれば、コチラには来るまい」
「ぬぅ。
だが、よぅい。
寒くなるまでぇ、まだまだ、掛かるずぇい?」
ハゲルさんが、心配そうに。
それへの。
「うむ、そうだな。
ゆえに、放置は出来まいて。
だが、無闇に狩っても、素材を持て余しそうでなぁ。
今でも溢れ気味な状態なのだ。
ゆえに、狩るのに躊躇しとる」
そがぁなん言うんじゃが?
「いやいや。
危険生物が、コチラを脅かす可能性が、あるんですよね?
ならば、駆除するべきでは?」
ファマル嬢が、堪らず苦情を。
したらのぅ、ダリルさんがな。
「なぜ、俺が駆除せねばならん?
俺は狩人だ。
獲物を無為にする狩りはせん」
などとな。
えーっと、え?
いやいやいや。
生活を脅かすなれば、対処するんが。
『マスター』
なんじゃい?
『価値観の相違かと』
はぁ?
なぁーん言うちょるんなら。
『マスター達のような一般的に生きて来られた方々は、生活基盤を重視されます』
はい?
なぁーん、当たり前のコトを、言うちょんなら?
生きてくためにゃあ、当然なコトじゃろがいな。
『そうですね。
ですが、ダリル様の生活は、自然と共にあります。
生活に対する基盤や基準が、まったく異なります。
彼は自然と共にある生き方ゆえに、狩った生き物を、ぞんざいに扱うコトを嫌います。
他人が、その様なコトを行うコトもですね。
ゆえに、危険だから狩り、その素材を、ぞんざいに扱うコトを、容認しないでしょう』
むぅ。
考え方の相違かえ?
生きとし生きる物に対し、感謝の念を。
仏教的な思想じゃったかえ?
うろ覚えじゃて、定かは知らん。
じゃがの、食事の際にじゃがな。
「いただきます」ちゅうんはじゃ。
確か、こん思想から生まれちょる、ハズじゃてな。
こん、命を頂く思想に、食材を作りし作り手、そん食材を使うて調理したモンに対しても、感謝を捧げての、言葉じゃ。
生かして頂き、ありがとう、ございます、ちゅうてな。
なんやら、そん思想にも、近い考えやも、しれんわい。
『マスター』
なんじゃい?
『単なる食いしん坊じゃ、無かったんですね?』
!?
儂を、なんじゃあ、思うちょるんならぁ!
『え?
褒めましたのに?』
嬉しゅうないわい!
ったく。
「けどさ、なんでラグラクスが?
今までは、現れてなかったハズだが?」
ガンレート嬢が、不思議そうに。
それへダリルさんがの。
「うむ。
洞窟内へ野鼠らが、入り込んでな」
「ん?
野鼠が入り込んだのが、なんだてぇのさ?」
ロゼッタ嬢が、首を傾げる。
「おそらくだが、その野鼠達が、ラグラクスらを目覚めさせておるのだろう」
「本気で言ってんのさね?
野鼠なんだよね?」
ロゼッタ嬢が、呆れたように。
それへダリルさんがの。
「ココら辺の野鼠なれば無理だろうよ。
だが、中層獣たる野鼠なれば、別だ。
それは、ジェムを見れば、分かろう」
皆が一斉にジェムを。
見られて、ビックリなジェム君。
ジリジリと、菓子の方へ近寄っておった。
見られて、ソッポを向き、吹けない口笛を吹いておるな。
誤魔化せておらぬが?
「なるほど。
実に人間臭い行動さね。
知能が高いんだったかい?」
「そうだな。
下手な工房見習いよりも、賢いやもしれん」
コヤツが、かい?
そうは、見えんがのぅ。




