ん?菓子?素晴らしい芳香じゃっ!えっ!?気付けに使うんかいっ!
ダリルさんが食堂へ戻ってもじゃな。
皆が皆、いまだに惚けちょったわい。
それん無視してな、茶なんぞの仕度を。
で、じゃ、な。
あまぁ〜い芳香を放つ焼き菓子ちゅうんを、じゃな。
い、いや、そのな。
厨房を片付けた後、また材料を用意しだしたでなぁ。
なぁーんしちょんじゃろ?ちゅうて、思っちょったんじゃが。
こん焼き菓子を、じゃな。
気付け薬代わり、ちゅうんかいな?
皆の手が届かず、香りが届くトコへとな。
結構な時間が経ち、覚醒近くちゅうんのも、あったんじゃろうて。
皆が覚醒し始めちゅるわい。
「なんだい、なんだい?
爽やかなのに、凄く甘くて、香ばしい。
なんの香りさねっ!?」
うん。
やはりロゼッタ嬢が、一番に覚醒したわい。
で、カリンちゃんがの。
「オイラ!
この香り好きぃっ!!
わぁ〜
食ったばっかなのにさ。
ヨダレ止まんないやぁ!」
大騒ぎである。
「騒がしいぬぇい。
っか、よぅいっ。
俺ぁ、また惚けてたんけぇ?」
ハゲルさんが困ったように、自分の禿頭を撫でちょるわい。
で、次々に覚醒すんじゃがな。
ダリルさんは、菓子を配らん。
「なんさね?
そんな良い香り、嗅がせておいて、お預けかい?」
ロゼッタ嬢が困ったように。
したらの。
「ああ、また惚けられては堪らんのでな。
相談が終わったら、配らせて貰う」
そがぁなコトをの。
「で、ぬぁんなんでぇい。
その相談てぇんは、よぅい?」
ハゲルさんが、困ったように。
いや、そのな。
皆の視線が、菓子に、じゃな。
「ふむ。
食材が食糧庫へ入り切らなくなってな。
放置して傷ませ、破棄するのは、だっ。
狩人としての矜持として、容認できん」
そうダリルさんが告げるとの。
「なるほど、ぬぇい。
つまり、素材を、どうするか?ってぇ、コトけぇ?」
ハゲルさんが確認するとじゃな。
「そう言うコトだな。
結構な量が、ある。
全て領都で売るのは、相場が下落する可能性がな。
それを踏まえ、卸し先を考えたいのだよ。
俺が晶石を使えば、遠方でも卸しに行ける。
ゆえに、卸す量と卸し先を相談したくてな」
そう告げるとの。
菓子に魅了されちょったシムエル嬢の顔が、グルンって。
いや、チトばかり、ビビったんじゃが?
「なんか、山吹色の香りが、したんですが?」
いや、山吹色の香り、かえ?
どがぁな香りなんなら?
「流石は商人さね。
金の匂いには、敏感かい?」
ロゼッタ嬢が、面白そうに。
「そりゃあ、商人の端くれですから」
薄い胸を張って。
ちゅうても、の。
C寄りのBじゃがな。
まだ若いけぇ、可能性を捨てちょらんみたいじゃぞ。
ちゅうてもの、周りの胸部装甲が、のぉ。
ガンレート嬢なんぞ、鍛錬や戦いの邪魔、ちゅうとる。
そん度に、シムエル嬢から射殺さんばかりの眼差しが。
ガンレート嬢は、全く気付いちょらんでなぁ。
ファマル嬢が、呆れたように見ちょったわい。
そがなガンレート嬢が、じゃがの。
「なぁーにぃが、端くれ、なのやら」
ちゅうてな。
「なんです?」
シムエル嬢がキョトン、ちゅうてな。
したらの。
「今日の取り引きで、何人も相手先を涙目にさせてたじゃない。
なんな交渉ができる商人を、端くれ、とは、言わないわよ?」
あー、そがぁなん、しちょったんかいな?
「それは、相手が悪いだけでは?
コチラが若い女性と侮るのが、悪いのです。
しかも、正当な評価を下しませんでしたし。
ハゲルさんの作品へ、あの値付けは、巫山戯ていますから。
まぁ、バックの侯爵家を知らない新参者達でしたしね。
さらに、深層狩人が滞在と知り、真っ青になっていましたから」
ふむ?
虎の威を借る、ちゅう?
「なぁーにぃ、いってんのよ。
理詰めで追い込んで、最後に、そうそう、なんてさ。
何人か、泡吹いて倒れてたじゃない。
トドメどころか、明らかに、オーバーキルだからね」
ファマル嬢が、呆れたように。
シムエル嬢、恐ろしい、娘っ!




